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「アルブミンが低い」原因はご存知ですか?増やす食べ物も医師が徹底解説!

 公開日:2024/12/19
「アルブミンが低い」原因はご存知ですか?増やす食べ物も医師が徹底解説!

アルブミンが低いとどうなる?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

伊藤 陽子

監修医師
伊藤 陽子(医師)

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浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。

「アルブミンが低い」原因と対処法

健康診断や血液検査の項目の一つにアルブミン(Alb)があります。アルブミンが低いと指摘された場合に考えられる病気や、低いとどうなるかなどについて解説します。

アルブミンが低い原因と対処法

アルブミンとは、血液に含まれるもっとも多いたんぱく質です。アルブミンは体内で水分量を調整する働きと、体内の物質(カルシウムや亜鉛などの微量元素・脂肪酸・ホルモン・薬など)と結合し、体内の必要なところに運ぶ働きがあります。
低栄養・肝硬変・ネフローゼ症候群・慢性膵炎・熱傷などがアルブミンの低くなる原因です。体内でのアルブミンは通常4.1~5.1g/dLに保たれていますが、体内での合成や分解のバランスが崩れてしまうと、アルブミン値が低下します。
食事摂取量が少なく体重減少もあるなど、低栄養の疑いがある場合はエネルギーやたんぱく質の摂取量を増やしましょう。
食事摂取が良好で低栄養の疑いがない場合は、肝臓・腎臓などに病気がある可能性があるため、早めに一般内科を受診しましょう。

高齢者でアルブミンが低い原因と対処法

高齢者でアルブミンが低い原因は、食事摂取量の低下や摂取たんぱく質の質の変化です。
70代以降からエネルギーやたんぱく質摂取量が減少し、アルブミン値も低下します。たんぱく質の中でも、魚介や大豆製品の摂取量は低下しませんが、肉類の摂取量は加齢と共に低下します。魚介類中心の食事より、肉類中心の食事の方がたんぱく質の消化吸収率が良好という報告があり、消化吸収率が良い肉類の摂取低下もアルブミンが低くなる原因です。高齢者でアルブミンが低くなると、筋肉量や筋力の低下・感染症にかかりやすく治りにくい・むくみなどの症状が現れます。
高齢者でアルブミンが低いと指摘されたら、肉・魚・大豆製品・卵などのたんぱく質の摂取量を増やし、毎食摂るようにしましょう。
むくみや息苦しいなどの症状がある場合は他の病気を併発している可能性があるため、早めに内科を受診しましょう。

女性でアルブミンが低い原因と対処法

特に若い女性に多い、痩せ願望により極端な食事制限や、それが進行した神経性やせ症は、アルブミンが低くなる原因となります。
神経性やせ症は摂食障害の症状の一つです。主症状は自らの意思での摂食拒否・著しいやせ・体重増加への強い抵抗などです。心理的・社会的などさまざまな原因があります。現れる症状は、低血圧・脱水・浮腫・低体温などです。
食事制限を中止し、適正なエネルギーやたんぱく質を十分摂取することでアルブミンの改善が見込めます。神経性やせ症を発症している場合は、専門の医療機関での治療が必要になります。神経性やせ症が疑われる場合は、すみやかに心療内科や精神科を受診しましょう。

食事が原因でアルブミンが低い原因と対処法

たんぱく質はアルブミンを体内で合成するのに必要な栄養素です。欠食・摂取不足・栄養素が偏った食事は、たんぱく質が不足するため、アルブミンが低くなる原因となります。
アルブミンが低くなると、現れる症状はむくみや筋力低下などです。
たんぱく質は穀類や野菜類などさまざまな食品に含まれていますが、体内でのたんぱく質の利用効率がよい、肉類・魚介類・大豆製品・卵・乳製品などの食品の摂取を増やすことをおすすめします。たんぱく質の吸収には限度があるため、毎食1種類以上は摂取しましょう。日本人の食事摂取基準では、たんぱく質の推奨量は成人男性65g/日(65歳以上で60g/日)、成人女性50g/日とされています。体格や年齢などが関係するため、必要量は個々で異なります。アルブミンが低いと指摘されたら、たんぱく質の摂取量を今までより増やしましょう。腎臓病などでたんぱく質制限が必要な方は、医師の指示に従ってください。むくみや息苦しいなどの症状がある場合は他の病気を併発している可能性があるため、早めに内科を受診しましょう。

主な食品のたんぱく質含有量(g)

食品名 1回使用量(g) 1回当たりエネルギー(kcal)
目安量 含有量
若鶏ささみ 80 18.4 84
若鶏ささみ 80 18.4 84
若鶏もも肉(皮なし) 80 15.2 102
若鶏胸肉(皮なし) 80 18.6 93
豚もも肉(赤身) 80 17.7 102
牛もも肉(赤身) 80 17.5 112
まぐろ赤身 100(刺身5~7切れ) 26.4 125
さけ 100(1切れ)0 22.3 124
鶏卵 50(1個) 6.2 76
納豆 50(1個) 8.3 95
木綿豆腐 100(⅓丁) 6.6 72
牛乳 210(コップ1杯) 6.9 141
プロセスチーズ 80 18.4 84
若鶏ささみ 20(1切れ) 4.5 68
ヨーグルト(全脂無糖) 100 3.6 62

アルブミンが高い原因と対処法

アルブミンが高くなる原因の1つが脱水です。
脱水になると、血液中の水分量が減少して血液が濃縮され、アルブミンの濃度が上昇します。脱水が進行すると、口の渇き・めまい・こむら返り・意識障害・頻脈・血圧低下などの症状が現れます。水分摂取不足・下痢や嘔吐などが脱水の主な原因です。
軽度の脱水では水や経口補水液などを摂取し、不足した水分を補います。重度の場合は点滴をして、水分と電解質を補います。
脱水の症状が現れたら、まずは十分な量の水分補給をして、それでも症状が改善されない場合は一般内科を受診しましょう。意識障害などの症状の場合は救急要請してください。

すぐに病院へ行くべき「アルブミンが低い」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

アルブミンが低いとどうなる?

アルブミンが低いと、低栄養状態の可能性があります。高齢者でアルブミンが低く、体格指数であるBMIが20以下は軽度、BMIが18.5以下は重度の低栄養になります。BMIが低くなるほど死亡率は上がります。
肝臓病やネフローゼ症候群が原因でアルブミンが低くなると、むくみや腹水・胸水や低血圧といった症状が現れます。

アルブミンが低い場合は、内科へ

アルブミンが低い場合、低栄養・肝臓病・ネフローゼ症候群の可能性があります。それぞれの疾患により、治療方針が異なります。自分で区別をつけることは難しいため、自己判断せずまず内科を受診することがお勧めです。
健康診断や血液検査などでアルブミンが低いと指摘され、むくみが持続するなどの症状がある場合はすみやかに内科を受診しましょう。

受診・予防の目安となる「アルブミンの低さ」のセルフチェック法

  • むくみがある場合
  • 体重が増加した場合
  • 息苦しさを伴う場合

「アルブミンが低い」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「アルブミンが低い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、どのように対策すれば良いのか、など病気について気になる事項を解説します。

肝硬変

肝硬変とは慢性肝疾患などさまざまな原因により、肝臓細胞が減少した状態です。自覚症状がほとんどみられない代償期から、肝不全症状(浮腫・腹水・黄疸・肝性脳症)を伴う非代償期があります。非代償期へと進展すると予後が悪くなり、命に関わります。
主な症状は、むくみ・腹水や胸水・黄疸・傾眠傾向や意識障害を起こす肝性脳症などです。また、肝硬変が進行すると血液中のアルブミン値が3.5g/dL以下に減少します。
肝硬変は肝臓の細胞が機能しなくなった状態です。失われた機能は元には戻らないため、治療は食事療法と薬物療法を併用した対処療法になります。
むくみや腹水予防のために減塩食にして、適量のエネルギーとたんぱく質の摂取が基本の食事療法です。
低アルブミン血症がある場合は、肝性脳症を起こしやすくなるため、食事のたんぱく質を制限して、分岐鎖アミノ酸(BCAA)製剤を使用します。
むくみや腹水がある場合は利尿剤を使用し、大量に腹水が溜まっているときなどはお腹に針を刺して水を取り除く場合もあります。
健康診断などで、肝臓の数値の異常を指摘されたり、むくみ・息苦しい・黄疸などの症状がある場合は早めに内科を受診しましょう。

低栄養

低栄養とは主にエネルギーとたんぱく質の不足により、必要な栄養素が不足した状態です。原因は、栄養素の摂取不足・体内での栄養素の吸収障害や代謝障害などです。
高齢期でBMIが20以下、アルブミンが3.8g/dL以下で低栄養のリスクが高まります。
症状は体重減少・筋力低下・むくみなどです。免疫力が低下し、感染症にもかかりやすくなります。
治療法は食事療法です。一日3食、主食・主菜・副菜をそろえた食事にして、エネルギー・たんぱく質・ミネラル・ビタミンなどの栄養素を十分に摂取します。体内でのたんぱく質の消化吸収率がよい、肉類を中心とした食生活はアルブミン値の上昇に効果的です。低栄養の原因となる病気がある場合は、その治療を行います。
食欲不振が続いたり、体重減少・むくみなどの症状がある場合は一般内科を受診しましょう。

ネフローゼ症候群

ネフローゼ症候群とは尿に大量のたんぱくが出てしまい、血液中のアルブミンが減ることで、むくみ・体重増加・脂質異常症などが起こった状態のことです。腎臓の糸球体自体に障害があるものと、糖尿病・がん・妊娠高血圧症候群などの二次性のものがあります。
たんぱく尿3.5g/日以上が持続する・血清アルブミン値3.0/dL以下の低アルブミン血症の両方を満たすことが診断基準です。
血清総たんぱく量6.0/dL以下・浮腫・高LDLコレステロール血症も診断の参考になります。治療は対処療法として、食塩制限を行います。また、腎生検により原因となる疾患を鑑別することが重要となります。原因により治療法が異なるためです。
健康診断でアルブミン低値やたんぱく尿を指摘されたり、むくみや体重増加などの症状がある場合は早めに腎臓内科を受診しましょう。

「アルブミンが低いとき」の正しい対処法は?

健康診断や血液検査でアルブミンが低いと指摘されたら、低栄養・肝臓病・ネフローゼ症候群の可能性があります。
食事摂取不足による低栄養の場合は、たんぱく質や他の栄養素・エネルギーを適正量摂取することで改善が見込めます。アルブミンの半減期(体内で働いて分解されるまでの期間)は2~3週間のため、反映されるまで2~3週間以上は必要となります。
肝疾患や腎疾患や他の病気が原因でアルブミンが低くなっている場合があるため、浮腫が強い・息苦しいなどの症状がある場合は早めに内科を受診しましょう。

「アルブミンが低いとき」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「アルブミンの低さ」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

アルブミンを増やすにはどんな食事をすれば良いですか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

アルブミンはたんぱく質を元に体内で合成されます。食事からのたんぱく質摂取が不足した状態が続くと、アルブミンが低くなる原因となります。
アルブミンを増やすには、肉類・魚介類・卵・大豆製品など、たんぱく質を多く含む食品を毎食摂取しましょう。特に肉類は体内での利用効率がよいため、積極的に摂取することをおすすめします。しかし、ネフローゼ症候群や肝臓病の病期によっては蛋白摂取の制限を行うこともあります。まずは原因を調べるために内科を受診しましょう。

アルブミンの異常値はいくつからですか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

アルブミンの基準値は4.1~5.1g/dLです。3.5g/dL以下は低栄養や肝硬変、3.0g/dL以下ではネフローゼ症候群が疑われます。脱水症の場合は高い値になります。

アルブミンが低いと余命にも影響しますか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

低栄養では、アルブミン・BMI・ヘモグロビン・総コレステロールの数値が低いと生存率が低くなります。肝硬変ではアルブミンが3.5g/dL以下で生存率が低下するという報告があります。個々の病態や状態により異なりますが、アルブミン値が低いことは余命に影響するといえます。

まとめ アルブミンが低い場合、大きな病気が潜んでいる可能性も。内科を受診しよう。

アルブミンが低い原因に、低栄養や肝硬変やネフローゼ症候群などの病気があります。むくみや腹水など、症状が現れたときにはすでに病気が進行していることが少なくないため、健康診断などでアルブミンの低値を指摘されたら、症状がなくとも早めに内科を受診しましょう。

「アルブミンが低い」症状で考えられる病気

「アルブミンが低い」から医師が考えられる病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

内科系の病気

  • 低栄養

消化器系の病気

内分泌内科の病気

アルブミンが低い場合には、さまざまな病気が考えられます。それぞれの病気により治療方針が異なります。健康診断や血液検査でアルブミンが低いと言われた場合には、まず内科を受診して相談してみましょう。

「アルブミンが低い」に似ている症状・関連する症状

「アルブミンが低い」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • むくみ
  • 体重増加
  • 息苦しさ、動悸
  • 腹水や胸水
  • 腹部のはり

アルブミンが低いと言われ、上記のような症状がある場合には何かしら病気が隠れている可能性が高いです。まず内科を受診しましょう。

この記事の監修医師