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「女性でクレアチニンが少し高く」なる原因はご存じですか?考えられる病気も医師が解説!

 公開日:2025/08/18
「女性でクレアチニンが少し高く」なる原因はご存じですか?考えられる病気も医師が解説!

クレアチニンが少し高い女性は、一体どうすれば良い?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

伊藤 陽子

監修医師
伊藤 陽子(医師)

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浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。

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「クレアチニンが少し高い女性」が行うべき対処法と対策

クレアチニンは肝臓で合成されたクレアチンリン酸が筋肉へ運ばれ、筋収縮をする際に分解されクレアチニンという最終産物となります。クレアチニンは腎臓から尿に排出されますが、腎臓の機能が低下してくると尿から排出されづらくなります。クレアチニンが高くなる原因のほとんどが腎臓病です。しかし、脱水や筋肉量の増加など他の原因でもクレアチニンが高くなることがあります。
ここでは、クレアチニンが少し高い女性に考えられる病気や対処法について解説します。

食事が原因でクレアチニンが少し高い女性の対処法と対策

たんぱく質の過剰摂取が多いと、腎障害がある方では腎障害が進行し、クレアチニンが高くなる可能性があります。
日本人の食事摂取基準では、たんぱく質の推奨量は成人女性は50g/日です。年齢や体格など、人によって必要なたんぱく質量は異なります。主食・主菜・副菜・味噌汁などの和定食では、1食およそ20~35gのたんぱく質が含まれます。一日3食、主食・主菜・副菜を揃えてバランスよく摂取すれば、必要量の蛋白の摂取ができるといえます。
食事からの蛋白摂取が少ない方では、プロテインやクレアチンのサプリで、少量で高たんばく質の摂取をすることが可能です。しかし、たんぱく質の摂取量が過剰になる可能性もあり、注意が必要です。腎障害がある場合に、たんぱく質を過剰に摂取すると、腎臓に負担がかかり、腎機能の低下に拍車がかかります。
肉類・魚・大豆製品・卵など、たんぱく質を多く含む食品を毎食摂取できている場合では、プロテインやサプリを追加して摂取するとたんぱく質過剰摂取になる可能性があるため注意が必要です。
健康診断などでクレアチニンが高いと指摘されたら、早めに腎臓内科を受診しましょう。

筋肉量が原因でクレアチニンが少し高い女性の対処法と対策

クレアチニンは筋肉量に比例して多くなります。つまり、体格が大きかったリ、筋トレなどで一般的な女性より筋肉量が多いとクレアチニンは高くなります。
一般的に女性より男性の方が筋肉量が多いため、男性に比べて女性はクレアチニンの基準値が低くなります。男性0.65~1.07mg/dL、女性0.46~0.79mg/dLが基準値です。
筋肉量が多いとクレアチニンは高くなりやすいですが、筋肉量の影響か、腎機能が悪いのか区別はつきづらいです。自己判断せず、健康診断などでクレアチニンの高値を指摘されたら、腎臓内科を受診ましょう。筋肉量に影響されない腎機能の指標であるシスタチンC測定を用いて腎機能を評価することもできます。まず、相談してみましょう。

水分不足が原因でクレアチニンが少し高い女性の対処法と対策

水分不足による脱水はクレアチニンが高くなる原因です。体が脱水の状態になると体内の血液量も減少し、腎臓への血流が低下します。
脱水症は数時間から数日の間に急激に腎機能が低下する、急性腎障害を起こすリスクになります。急性腎障害の症状は尿量の減少・食欲不振・全身倦怠感などです。
頭痛や月経痛など痛みがある時に使用される鎮痛剤は、脱水時に使用すると、急性腎障害の合併症が起こりやすく注意が必要です。鎮痛剤を使用する際には、十分水分摂取をした上で内服しましょう。
急性腎障害は原因の治療によって回復する場合がありますが、慢性腎不全や末期腎不全に進行する場合もあります。脱水症状、尿量の減少などの症状が現れた場合は早急に一般内科・腎臓内科を受診しましょう。

更年期が原因でクレアチニンが少し高い女性の対処法と対策

更年期が原因でクレアチニンは高くなりませんが、更年期におけるホルモンバランスの変化で腎障害が進行し、クレアチニンが高くなる可能性があります。
閉経後の女性は閉経前と比べて、高尿酸血症や痛風を発症しやすくなります。女性ホルモンの減少と共に尿酸が排泄されづらくなり、尿酸値が上がりやすくなるためです。尿酸値が高い状態が長く続くと、痛風腎といって、腎臓に負担がかかり腎臓病の発症リスクが高まります。
また、高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病の発症も更年期ごろより合併することが多くなり、動脈硬化が進行させる可能性があります。動脈硬化の進行は腎機能の低下に影響し、クレアチニンが高くなる原因になります。
健康診断などでクレアチニンの高値や生活習慣病・動脈硬化を指摘されたら、早めに一般内科を受診しましょう。

すぐに病院へ行くべき「クレアチニンが少し高い女性」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

クレアチニンが少し高い女性の原因と改善策とは?

クレアチニンが少し高い女性の原因の多くは腎機能低下によります。血液検査の前日や当日にたんぱく質の過剰摂取や過度な運動をしたり、脱水症状があった場合も一過性にクレアチニンが上昇することがあります。

クレアチニンが高い場合は、整形外科へ

クレアチニンが高い場合、腎臓病が疑われます。腎臓の機能が低下してくると、体内のクレアチニンを尿から排出しづらくなるためです。腎臓の機能が低下してきても自覚症状が現れることが少なく、症状が現れた頃には腎機能がかなり低下していることが少なくありません。腎機能が低下してくると、むくみ・貧血・全身倦怠感などの症状が現れます。
腎臓は機能が失われると元には戻らないため、健康診断などでクレアチニンの高値を指摘されたら、早めに内科を受診しましょう。

受診・予防の目安となる「クレアチニンが少し高い女性」のセルフチェック法

  • 浮腫がある場合
  • 多尿や夜間頻尿がある場合
  • 貧血がある場合

「クレアチニンが少し高い」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「クレアチニンが少し高い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、どのように対策すれば良いのか、など病気について気になる事項を解説します。

慢性腎臓病

慢性腎臓病とは腎臓の機能が3ヶ月以上持続して低下した状態です。
腎臓の機能が低下してくると現れる症状は、むくみ・倦怠感・貧血・夜間尿などです。
尿検査(蛋白尿や血尿の有無)・血清クレアチニン値・eGFR(血清クレアチニンと年齢と性別で算出される推定糸球体ろ過量)などで腎機能の低下レベルを判断します。
慢性腎臓病が悪化すると末期腎不全に移行し透析が必要になります。
慢性腎臓病は高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病が主な発症原因です。
治療は食事療法と薬物療法です。腎機能の状態に応じて食塩・たんぱく質・カリウムなどの制限や適正量のエネルギーを摂取します。
腎臓の機能は一度失ってしまうと元の状態に戻らないため、健康診断などでクレアチニンの高値を指摘されたり、むくみなどの症状が現れたら早めに腎臓内科を受診しましょう。

脱水

脱水とは体内の水分が不足している状態です。体内の5%の水分が失われると、熱中症や脱水症状が現れ、10%失われると循環不全や腎機能不全や筋肉の痙攣が起こります。20%失われると命に関わる場合もあります。
脱水の原因は熱中症・下痢や嘔吐・発熱・二日酔いなどさまざまです。
成人の体の60%は水分です。体格や年齢や生活環境にもよりますが、便・尿・汗・呼吸などで2.5Lの水分が体内から失われます。食事から約1Lの水分を摂取でき、体内で作られる水分量が約0.3Lになるため、1.2L以上の飲水をすれば体内の水分バランスが維持できます。脱水の予防はこまめな水分補給、欠食せず3食バランスよく食べる、飲酒時や飲酒後に十分な水分補給をするなどです。
軽度脱水の場合、飲水で症状が改善することがあります。中等度や高度の脱水にみられる症状がある場合はすみやかに内科を受診しましょう。意識障害・呼吸困難などの症状がある場合は救急要請をしましょう。

ネフローゼ症候群

ネフローゼ症候群とは血液中のたんぱくが大量に尿に出ることで、血液中のたんぱくが減少し、むくみ・体重増加・脂質異常症・腎機能低下などが起こった状態のことです。腎臓の糸球体自体に障害があるものと、膠原病、糖尿病など腎臓以外の病気が原因となる二次性にわかれます。
治療は食事療法では食塩制限をします。むくみが強い場合は水分制限も必要です。病態に応じてたんぱく質の制限、適正量のエネルギー摂取をします。
基本的には、腎生検を行い病態を確認して治療方針が決まります。
健康診断でアルブミン低値やたんぱく尿を指摘されたり、むくみや体重増加などの症状がある場合は早めに腎臓内科を受診しましょう。

「クレアチニンが少し高い女性」の正しい対処法は?

クレアチニンが高くなっている女性は、腎機能が低下している可能性があります。自覚症状がなくても内科を受診し、腎機能を評価してもらうことをおすすめします。
腎機能低下の他にクレアチニンが高くなる原因は、たんぱく質の過剰摂取・過度な運動・脱水症状などです。適正量のたんぱく質摂取や十分な量の水分補給をして、筋力トレーニングは有酸素運動に変えて再検査することをおすすめします。
また、筋肉量の影響で見かけ上腎機能が低くなっている可能性がある場合には、シスタチンCという値により、筋肉量に関係なく腎機能を評価することもできます。まず、腎臓内科を受診した上で相談してみましょう。

「クレアチニンが少し高い女性」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「クレアチニンが少し高い女性」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

女性のクレアチニンの平均値はどれくらいですか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

2019年の国民健康・栄養調査では、20歳以上の女性のクレアチニンの平均値は0.6mg/dlです。

クレアチニンが少し高い原因は何なのでしょうか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

クレアチニンが少し高い原因として考えられる原因は、腎機能の低下・脱水・筋肉量が多いためなどです。

水分不足を克服すればクレアチニンは改善するのでしょうか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

クレアチニンが高い原因が脱水の場合、脱水を解消することでクレアチニンが改善する場合があります。腎機能の低下が原因でクレアチニンが高くなっている場合があるため、むくみなどの症状がある場合は腎臓内科を受診しましょう。

まとめ クレアチニンが高い場合には腎臓内科へ

クレアチニンが高くなる原因の多くは腎機能低下によるものです。腎臓病は軽度の機能低下では自覚症状はなく、症状が現れた時には重症化していることが多い病気です。腎臓の機能は失ってしまうと元には戻らないため、健康診断などでクレアチニン値が高い場合は早めに内科を受診しましょう。

「クレアチニンが少し高い」症状で考えられる病気

「クレアチニンが少し高い」から医師が考えられる病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

腎臓内科の病気

  • 腎臓病

内科の病気

循環器系の病気

内分泌内科の病気

  • 甲状腺機能低下症(橋本病)

クレアチニンが高い場合、脱水などで一時的に高くなる場合もありますが、腎臓病などの病気の可能性もあります。まず内科もしくは腎臓内科を受診して相談してみましょう。

「クレアチニンが少し高い」に似ている症状・関連する症状

「クレアチニンが少し高い」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • むくみがある
  • 筋肉量が多い、体格が大きい
  • 貧血
  • 夜間頻尿
  • 脱水症状

クレアチニンが高い場合いろいろな症状がみられることがあります。クレアチニンが高く、気になる症状がある場合には、腎臓内科で相談しましょう。脱水がある場合には水分を充分摂取することも大切です。

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