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「眼底検査ができない人」の特徴はご存知ですか?医師が徹底解説!

 公開日:2024/11/21
「眼底検査ができない人」の特徴はご存知ですか?医師が徹底解説!

眼底検査ができない人の特徴とは?Medical DOC監修医が健康診断や眼科の眼底検査で発見できる目の病気や検査結果の見方などを解説します。

栗原 大智

監修医師
栗原 大智(医師)

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2017年、横浜市立大学医学部卒業。済生会横浜市南部病院にて初期研修修了。2019年、横浜市立大学眼科学教室に入局。日々の診察の傍らライターとしても活動しており、m3や日経メディカルなどでも連載中。「視界の質=Quality of vision(QOV)」を下げないため、診察はもちろん、SNSなどを通じて眼科関連の情報発信の重要性を感じ、日々情報発信にも努めている。日本眼科学会専門医。

眼底検査とは?

今まで眼科を受診したことがある方は、眼底検査という検査をしたことがあるでしょうか。眼底検査は、眼球の奥にある「眼底」と呼ばれる部分にある、網膜や視神経の状態を観察する検査です。眼科の検査の中でも特に重要で、緑内障や加齢黄斑変性、網膜剥離などの病気を診断するためには欠かせない検査です。この記事では眼底検査の全容を解説していきます。

眼底検査で目の何がわかる?

眼底検査では、視力で重要な網膜や黄斑、視野に重要な視神経、動脈や静脈の状態を確認することができます。そのため、加齢黄斑変性や緑内障の有無や進行の程度が分かります。さらに、網膜血管は肉眼で観察できる唯一の血管であるため、高血圧や動脈硬化などの情報を知ることが可能です。

眼底検査の費用は?

眼底検査の費用は、医療保険が適用されるため、自己負担が3割の場合は片目で450円、両目で900円程度です。ただし、通常は眼底検査以外の検査を行うため、この費用に加えて費用がかかります。

眼底検査前日や当日の注意点

眼底検査では瞳孔を開く目薬を使用して、眼底を観察します。瞳孔を開く目薬を用いると、ピント調整や光が入る量を調整することができなくなるため、ピンボケの状態やまぶしさを強く感じる場合があります。その結果、車やバイクなどの運転ができなくなったり、手元の作業が難しくなったりする場合があります。そのため、眼底検査を行う日は、車やバイクなどは使わず、バスやタクシーなど公共交通機関で来院するようにお願いいたします。また、仕事や発表会など重要な作業に支障が出る場合があるため、眼底検査後の予定の調整をお願いしています。

眼底検査の結果の見方と再検査が必要な診断結果・所見

ここまでは眼底検査について基本的なことを紹介しました。
再検査・精密検査を受診した方が良い結果がいくつかあります。
以下のような診断結果の場合にはすぐに病院に受診しましょう。

眼底検査の結果の見方・分類と主な所見

眼底検査の結果は、さまざまな所見が結果として示されます。例えば、視神経乳頭陥凹拡大は、視神経の構造の一部あるいは全てが萎縮し、緑内障を示唆する所見であることを表しています。また、ドルーゼンは、加齢黄斑変性の前段階あるいは発症を意味しています。さらに、動脈や静脈の状態を表すScheie分類を所見として書くことがあります。

眼底検査の結果で精密検査が必要な基準と内容

眼底検査で異常を指摘されれば、眼底カメラや光干渉断層計(OCT)、視野検査などの精密検査を行います。さまざまな検査を行うため、その費用は1000円~5000円程度かかります。眼底検査で指摘できる疾患の多くは早期発見、治療が重要であるため、眼底検査で異常を指摘されたら、できるだけ早い時期に眼科受診をおすすめします。

眼底検査ができない人の特徴

白内障や角膜の濁りが強い場合

白内障の程度や角膜の濁りが強い場合は、そもそも眼底を観察することができません。この場合は眼底カメラやOCTなど他の検査を行うことも難しいため、眼球の超音波検査などで間接的に目の中を観察します。

目薬のアレルギーがある場合

瞳孔を開く目薬は薬であるため、目薬自体にアレルギーを生じる患者さんがいます。1つの目薬にアレルギーがあっても、別の瞳孔を開く目薬を使うことで眼底検査を行うことができる場合があります。しかし、その場合は瞳孔を開く効果が弱いことが多く、十分な眼底検査を行うことができない場合があります。

浅前房の場合

浅前房とは、角膜と虹彩の間にある前房の空間が狭い状態を指します。この場合は瞳孔を開く目薬が使えません。しかし、この浅前房は特殊なレーザー治療や白内障手術を行うことで、その状態を改善することができるため、いずれかの治療を選択すれば眼底検査を行うことが可能となります。

「眼底検査」で発見できる病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「眼底検査」に関する病気を紹介します。
どのような病気や症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

緑内障

眼底検査で視神経乳頭陥凹拡大などの所見があれば緑内障を疑うことがあります。緑内障は視神経や視野に異常がある病気で、日本の成人の失明原因の1位となっています。40歳以上では約5%が緑内障とされており、早期発見と早期治療が重要な病気です。初期の頃は自覚症状が乏しいため、40歳以上では眼底検査を含めた眼科検診が推奨されています。治療は目薬によって眼圧を下げる治療が行われます。しかし、目薬の効果が乏しい、アレルギーや副作用があり、目薬の治療が難しい場合にはレーザーや手術による治療が行われることがあります。

白内障

白内障は目の中の水晶体が濁ることで、視界がかすんだり、視力が低下したりする病気です。主な原因は加齢であり、80歳以上になるとほぼ100%が白内障になるとされています。その他にも、紫外線や糖尿病、ステロイドの使用によって白内障は進行します。主な治療は目薬と手術ですが、目薬は進行を止めることが期待されているだけであり、根本的な治療は手術を行う必要があります。眼底検査では白内障の有無は分かりませんが、白内障が進行すると、眼底検査を十分に行うことができなくなります。

高血圧

高血圧は、心臓から送り出される血液が動脈を流れる際、血管の内側にかかる圧力が高い状態が慢性的に続く病気です。心筋梗塞などさまざまな病気の原因になることが知られており、その治療と予防が重要です。高血圧は血圧を測定することで発見できますが、眼底検査でも発見できる場合があります。眼底検査では、網膜にある血管を観察することができます。網膜血管は、直接目で見ることのできる体内唯一の血管系で、その状態から高血圧の有無を予測することが可能です。眼底検査で高血圧性の変化を指摘された場合は、できるだけ速やかに内科を受診するようにしましょう。

動脈硬化

動脈硬化とは、血管が硬く、もろくなる状態です。動脈が硬くなると、血液が送り出される圧力によるダメージを受けやすくなり、動脈の先にある心臓や脳などの臓器に悪影響を及ぼします。前述した高血圧の原因にもなりますが、動脈硬化は通常観察することはできません。しかし、眼底検査では、網膜にある血管の状態を評価することが可能なため、動脈硬化の有無だけでなく、その程度を観察することが可能です。動脈硬化を疑う所見が指摘された場合は、内科で高血圧やそれに関連する病気がないかを調べることが重要です。

「眼底検査できない人」についてよくある質問

ここまで眼底検査できない人について紹介しました。ここでは「眼底検査できない人」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

飛蚊症の人は眼底検査ができないのでしょうか?

栗原 大智栗原 大智 医師

飛蚊症があれば、その原因を調べるために、眼底検査を行います。飛蚊症の主な原因は生理的な飛蚊症とされ、目の中の硝子体という透明なゼリー状の物質が濁ったり、その後ろの部分がしぼんだりして発症します。しかし、中には網膜が剝がれたり、目の中で強い炎症が起きたりすると、飛蚊症を生じる場合があります。その原因を調べるために、眼底検査は必須の検査になります。

検査後すぐに車を運転する必要がある人は眼底検査ができないですか?

栗原 大智栗原 大智 医師

はい、眼底検査を行う際は、必ず瞳孔を開く目薬を用います。瞳孔を開く目薬を使うと、4-6時間はその効果が続き、まぶしさが強く、ピントの調節ができなくなります。そのため、運転はもちろん、細かな作業なども困難になります。眼底検査をする場合は、車やバイクなどで来院せず、バスや電車など公共交通機関、タクシーなどで来院するようにしましょう。

眼底検査を受診した方がいい人の特徴について教えてください。

栗原 大智栗原 大智 医師

見えづらさや飛蚊症の症状がある場合は、眼底検査を含めた眼科検査を行いましょう。また、糖尿病と診断されている方は、糖尿病の合併症である糖尿病網膜症の有無、進行度を確認するために眼底検査を定期的に行うことが推奨されています。

眼底検査は目薬がなくても受診することはできますか?

栗原 大智栗原 大智 医師

眼底検査には特別な目薬は必要ありません。目の状態や目薬へのアレルギーなどに応じて、目薬を使い分けることで眼底検査を行います。

眼底検査は何年おきに受診すればいいのでしょうか?

栗原 大智栗原 大智 医師

眼底検査はさまざまな目の病気の早期発見に繋がります。代表的なものは緑内障や加齢黄斑変性、高血圧などが挙げられます。これらの病気はいずれも、初期の変化によって、症状が出ることはほとんどありません。これら病気のスクリーニングのためには、1年に1回眼底検査を含めた眼科検査を行うことが理想です。

編集部まとめ

眼底検査を行うことで、目のさまざまな病気の早期発見に役立ちます。中には眼底検査を行うのが難しい場合もありますが、眼科にはさまざまな検査があり、それらを組み合わせて診断できる場合が少なくありません。目の見えづらさや視野の欠けなどの症状がある場合はもちろん、そうでなくても40歳を超えたら人間ドック等で眼科検診を行うことをおすすめします。

「眼底検査」の異常で考えられる病気

「眼底検査」から医師が考えられる病気は10個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

眼科の病気

眼底検査では網膜や黄斑、視神経、血管を観察することができます。これら組織に関連する病気は多いため、代表的な病気を列挙しました。眼底検査は簡便な検査ですが、さまざまな病気の診断に役立つ重要な検査です。

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