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「心電図検査」で何がわかる?発見できる心臓の病気等を解説!【医師監修】

 更新日:2025/07/16
「心電図検査」で何がわかる?発見できる心臓の病気等を解説!【医師監修】

心電図検査で何がわかる?Medical DOC監修医が検査でわかることや所見の見方・前日当日の注意点や発見できる心臓の病気などを解説します。

木村 香菜

監修医師
木村 香菜(医師)

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名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。

心電図検査とは?

心電図検査とは、心臓が収縮・拡張する際に発している微量の電気を測定するための検査です。心臓がきちんと動いているか、心筋に何かトラブルが起きていないか、などを調べることが目的です。 皆さんも健康診断などで、ベッドに横になって身体のあちこちに電極を付けた経験があるかと思います。この方法は12誘導心電図検査と呼ばれます。12誘導心電図検査は心電図検査のなかでもっともポピュラーなものです。さまざまな角度から心臓の電気的現象をとらえ、出力された波形をもとに診断します。 このほか、心電図検査の種類としては、24時間続けて心電図を計測するホルター心電図、何か症状が出た時にピンポイントで測定できるイベント型心電計、身体を動かした際の状態を調べる運動負荷心電図などがあり、調べたい状態や症状に合わせて検査方法を適切に選択します。

心電図検査とは心臓の何を調べる検査?何がわかる?

ここでは心電図検査で何がわかるのか、ということについて解説していきます。心電図検査は心臓の動きをつかさどる電気信号を調べる検査です。心電図検査では主に2点の変化を調べます。1つは脈のリズム、もう1つは心臓の筋肉の状態です。1つ目の脈のリズムについてですが、心電図検査が最も得意としているのが不整脈の診断です。心電図の波形を見ることで、脈のリズムがきちんと規則的に刻まれているかどうかがわかり、不整脈の発見に役立ちます。もう1点の心筋に関してですが、心電図では直接的に心臓の形を確認することはできません。 しかし、心筋の状態をある程度評価することもできます。例えば、心筋梗塞が起こると、心臓の一部の筋肉が酸素不足で壊死します。これにより、心電図に特有の変化(ST上昇、T波の逆転、異常Q波など)が現れます。これらの変化を確認することで、心筋梗塞の診断が可能です。さらに、心臓の一部が一時的に酸素不足になると、虚血性変化が心電図に反映されます。これには、ST部分の変化やT波の異常などがあります。心筋が肥大している場合(例: 高血圧や心臓弁疾患による左室肥大)、心電図にその特徴が現れます。具体的には、R波の高さやS波の深さの増加、QRS波形の幅が広がるなどの変化が見られることがあります。 以上のことから、心電図検査では脈のリズムの乱れを検出し、心筋の状態に関連する多くの疾患の発見に役立つと言えます。

心電図検査は何科の病院で受けることができる?

心電図検査を専門に扱う診療科は循環器内科です。心電図検査を含む一般的な健康診断は、診療科に関わらず、いろいろな病院で受けることができます。しかし、心電図に異常が見つかった場合は循環器内科や心臓内科で精密検査を受診するようにしてください。

心電図検査の前日・当日の注意点とは?

心電図検査に限らず、病院での検査は内容によって前日や当日に取れる行動に制約があります。ここでは心電図検査を受ける際の注意事項についてご紹介していきます。

心電図検査前日に食事を摂っても大丈夫?

心電図検査単体で考えた場合、前日の食事の制限はありません。通常通り食事を摂っていただいてかまいません。ただし、受ける予定の健康診断で血液など他の検査項目がある場合は、そちらの検査の指示に従ってください。

心電図検査の何時間前から食事は控えた方がいい?

12誘導心電図検査であれば、当日の食事も普通に摂っていただいてかまいません。 運動時の心電図を計測する運動負荷心電図検査の場合は、検査1時間前の食事は控えた方がよいでしょう。飲水は問題ありません。

心電図検査前に食事をしてしまった場合はどうしたらいい?

前項の通り、12誘導心電図検査の場合は検査前の食事に制限はありません。運動負荷心電図を受ける直前に食事を摂ってしまった場合は、その旨を申し出て検査担当者の指示を仰いでください。

心電図検査の何時間後に食事はできるの?

心電図検査後の食事について制限はありませんので、検査を受けた後に通常通り食事を摂っていただいてかまいません。

心電図検査前後に薬の服用や喫煙はしてもいいの?

食事や飲水と同じく、心電図検査の前後で薬の服用の制限はありません。喫煙に関しては、タバコを吸った際の心電図の変化はありますが、これは交感神経の緊張に伴う反応とされています。タバコに特徴体な心電図変化があるわけではありません。しかし、心電図に何らかの影響を与える可能性があります。そのため、心電図検査の前にはタバコを吸うことは避けましょう。また、喫煙自体が心臓疾患の危険因子となり得ますので、健康を考えた場合は喫煙を控えた方が好ましいと思われます。

「心電図検査」で発見できる病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「心電図検査」に関する病気を紹介します。どのような病気や症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

不整脈

不整脈とは、脈が通常より早くなったり遅くなったり、あるいは不規則になった状態のことです。脈が速い状態を頻脈、遅い状態を徐脈といいます。また、脈が不規則になる状態を期外収縮と呼び、不整脈の中で最もよく見られる症状です。いずれも心臓を動かすための電気信号が乱れることで起こります。 不整脈には、期外収縮のように一般的には危険性が少ないものもあります。一方、心室細動や心房細動など治療が必要なものもあります。不整脈の治療には薬の服用、ペースメーカーの埋め込み、カテーテルアブレーションなどの方法が症状に合わせて検討されます。動悸、息切れ、失神といった症状がある場合や、自覚症状が無くても健康診断で異常を指摘された場合は循環器内科を受診してください。

狭心症

狭心症とは、心筋が滞りなく働くために血液を供給する冠動脈(心筋の表面を走っている動脈)が何らかの理由で狭くなることで、心筋の酸素不足により胸の痛みや圧迫感を感じる状態を指します。冠動脈が狭くなる原因の大半は動脈硬化です。その他の原因としては、一過性の冠動脈のけいれんによる冠動脈攣縮性狭心症があります。狭心症による胸の痛みなどは通常であれば数分以内に収まることが多いです。しかし、症状が進み、完全に冠動脈が詰まると心筋の壊死が起き、心筋梗塞となり死に至る場合もあります。 治療には薬物療法のほか、カテーテルでの治療やバイパス手術が必要となることもあります。安静時、運動時を問わず、胸の痛みや苦しさが気になるようでしたら、循環器内科を受診してください。

心筋梗塞

狭心症の症状が進み、冠動脈の血流がなくなってしまった状態が心筋梗塞です。心臓に酸素と栄養を運ぶ冠動脈が詰まり、心臓に血液が流れなくなると、時間とともに心筋が壊死していきます。壊死した心筋が再生することはなく、対処を怠ればそのまま心臓が停止し、死に至ります。 心筋梗塞のほとんどは突然症状に襲われる急性心筋梗塞です。原因の大半は狭心症と同じく動脈硬化です。狭心症の段階では冠動脈の狭窄が完全ではなく、いくらかの血流があります。一方、心筋梗塞では冠動脈が完全に閉塞を起こしているため、完全に血流が断たれており、一刻も早く治療を行う必要があります。動脈硬化以外の原因は、冠動脈の攣縮、炎症、大動脈解離、心原性の塞栓症などです。

「心電図検査で何がわかる」についてよくある質問

ここまで心電図検査でわかることについて紹介しました。ここでは「心電図検査で何がわかる」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

心電図検査を行う目的について教えてください。

木村 香菜木村 香菜 医師

心電図検査は、心臓の電気的活動を記録するための検査で、脈が正常に刻まれているか、心臓の筋肉に異常がないかを調べます。

心電図検査で引っかかる原因について教えてください。

木村 香菜木村 香菜 医師

<心電図検査で異常が現れた時の主な原因としては、不整脈、狭心症、心筋症、電解質異常などが挙げられます。これらの異常が検出された場合、精密検査が必要となることもあります。

心電図検査で異常があると言われたらどんな治療が必要ですか?

木村 香菜木村 香菜 医師

異常の種類や原因によって必要な治療が異なります。それぞれの状態に応じた薬物の使用のほか、不整脈であればカテーテルアブレーションやペースメーカーの装着、狭心症や心筋梗塞であればバイパス手術やステント留置などの外科的方法が採用されます。

心電図検査は異常がないのに動悸がする場合何科を受診すべきですか?

木村 香菜木村 香菜 医師

まずは循環器内科を受診してください。心臓に何か問題がないかを詳しく調べることができます。心臓そのものに問題がない場合は、ストレスなどが原因の可能性もありますので、心療内科の受診も選択肢に入れてみてもよいかもしれません。

まとめ 心電図検査は心臓の健康状態がわかる検査

心臓の病気には、自覚症状に乏しいものもあります。特に、無症候性心筋虚血といった病態などでは自分では気づかないまま病状が進行することもあります。そのため、健康診断などで定期的な心電図検査を受けることをおすすめします。心電図検査は被ばくや痛みの心配もなく受けられ、検査も短時間で終わります。心臓の健康状態を確認するため、また、病気の早期発見のため、年に1回は心電図検査を受けるようにしましょう。

「心電図検査」の異常で考えられる病気

「心電図検査」から医師が考えられる病気は11個ほどあります。 各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器系の病気

  • 不整脈(期外収縮、心房細動、心室細動など)
  • 心筋症
  • 心臓弁膜症

心療科系の病気

呼吸器系の病気

心電図検査では心臓関係のほか、甲状腺や肺の異常がわかることもあり、有用な検査として広く活用されています。

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