「大腸内視鏡検査前日の食事」はどうしたらいい?当日や検査後の食事メニューも解説!
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)の食事はどうすべき?Medical DOC監修医が前日の食事メニュー・消化の良い食べ物・悪い食べ物や発見できる病気などを解説します。
監修医師:
岡本 彩那(淀川キリスト教病院)
目次 -INDEX-
大腸内視鏡検査の前日の食事はどうしたらいい?
大腸内視鏡検査では先端にカメラがついている1.6m程度の長さのスコープを腸の中に入れていき、粘膜を直接観察する検査です。そのため、腸の中に便が残っていると粘膜を十分に観察することができません。検査の前に下剤で便を出したり、腸の壁にこびりついている便を全て洗い流したり(前処置)するのですが、それ以外にも検査前の食事に気を付けることも重要です。ここでは検査前の食事について解説していきます。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)とは?
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)とは、大腸全体と小腸の出口付近(回腸末端)を先端にカメラがついている検査機器(スコープ)で直接観察する検査です。CT検査やレントゲン検査でははっきりとわからない腸粘膜の状態や、小さなポリープ、癌などの病変も、直接見ることにより評価・診断することができます。また、必要があればカメラの先端から処置具を出して、組織検査を行ったり、病変の治療を行うこともできます。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)前日の食事メニュー
大腸内視鏡検査の前日は一日中絶食する必要はありません。ただし、何を食べてもよいというわけではなく、消化に良いものを腹八分目程度食べ、水分も多めにとるようにしましょう。食物繊維の多いものなどは、大腸に食べカスとして残ってしまうため、検査の妨げになることがあるので避けるようにします。また、アルコールは控えるようにしましょう。
食事メニューをどうすれば良いかどうしてもわからないという人には、「大腸前処置用検査食」として前日一日分の食事が1箱に詰まったものも販売されています。病院の売店などで購入できることが多いため、検査を受ける病院に聞いてみましょう。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)の何時間前から食事は控えた方がいい?
大腸内視鏡検査を受ける当日の朝は絶食です。前日は夜早い時間なら食事をとっても構いませんが、それ以降は水、お茶などの水分のみとなります。前日夜20~21時ごろまでに食事を終え、それ以降は食べないようにしましょう。どうしても仕事などで食事をしなければならないという場合は、遅くても22時まで、消化にいいものを少量のみとしましょう。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)当日の食事メニュー
大腸内視鏡検査の当日の朝は絶食です。コーヒーなども控えるようにしましょう。水やお茶は飲めますが、検査2時間前ぐらいまででやめておきましょう(下剤を飲むときの水やお茶はまた別です)。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)前に食事をしてしまった場合はどうしたらいい?
大腸内視鏡検査の前に食事をしてしまった場合、食べたものや便が胃や腸の中に残ってしまいます。検査の準備として便を出そうと下剤を飲んでも、胃に溜まっている食物が大腸に流れるため、全て出さなければなりません。十分な検査が行えなくなってしまうので、検査の延期などが必要となります。検査を受ける病院と相談しましょう。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)何時間後に食事はできるの?
検査の時に麻酔(鎮静)を使っているかなどの状況にもよりますが、麻酔を使った場合は検査後1時間程度安静にします。その後、水を飲んでみて特にお腹の張りや吐き気などの症状がなければ食事をすることは可能です。
大腸内視鏡検査では検査中に腸の中に空気をたくさん入れて行います。この空気が腸に溜まることによりお腹の張りや吐き気などが出てくることがあります。この状態で飲食をすると症状がひどくなってしまいます。この症状は排ガスなどで腸の空気がなくなってくれば徐々に治まってきます。水などを飲んでも症状がひどくならない、治まってきていることを確認できれば、食事をすることができます。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)後の食事メニュー
大腸内視鏡検査後の食事については検査で何を行ったかによって異なります。単に腸の中を観察しただけであれば、飲酒を含めて特に制限はありません。検査後に水を飲んでみて、特に症状がなければ普段通りの食事をして構いません。ただ、腸が空っぽの状態からいきなり油物や刺激物を摂ると下痢などの症状が出る可能性もあるので、初めは消化に良いものからとっていく方が無難です。
生検した場合や小さなポリープを取った場合は、検査当日はアルコールや刺激物、脂物などは控えるようにしましょう。少し大きめのポリープを切除した場合は、周囲の粘膜ごと焼き切る形で取っている(内視鏡的粘膜切除術:EMR)ことがあります。その場合は刺激によって傷口から出血してしまうことがあります。1週間ほど刺激物、飲酒などは控えるようにしましょう。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)前後に薬の服用や喫煙はしてもいいの?
大腸内視鏡検査前の食事についてはお伝えしました。では、薬やタバコはどうでしょうか。
まず、タバコについては少なくとも、当日朝は禁煙となります。喫煙をすることで胃や腸の血流が悪くなるなどの影響が出てしまうことがあります。できれば検査の1週間前からはやめたほうが無難です。また薬の服用についてですが、これはどんな薬かにもよります。基本的に医師から処方されている薬は、普段から継続して服用することが必要なものです。例えば喘息の薬であれば止めることはできません。高血圧の薬を飲まない状態では血圧が高くなってしまいますし、検査の時にも血圧が高すぎて検査を行うことができないということにもなりかねません。そのため、医師からの処方薬については基本的に検査2時間ほど前までに服用しましょう。ただし、例外はあります。例えば糖尿病の薬は血糖を下げる作用がありますが、検査の日は食事をしていないので糖尿病の薬を飲むと血糖が下がりすぎて低血糖になってしまうことがあります。そのほか、血液をサラサラにする薬などは検査の内容によっては中止しなければなりません。検査前にどの薬を服用してどの薬を中止すればよいか、医師に確認するようにしましょう。
消化の良い食べ物
検査の2、3日前からは大腸に残りにくい消化の良い食べ物を取るようにしましょう。ただし、食事量には気を付けて、食べ過ぎないように気を付けましょう。
うどんや白米
うどんやごはん(白米)、食パンなどは消化に良い食べ物で、食べかすも残りにくいので検査前の食事にも適しています。お米は消化に良いようにお粥にして取るようにするとより良いでしょう。
豆腐や白身魚
タンパク質は、絹ごし豆腐や脂肪分の少ない白身魚などで摂るのが適しています。赤身肉も脂肪分が少なく、食べることは可能です。
ポタージュやジュース
ポタージュやジュースなど裏ごしされているものは、繊維質が取り除かれているので食べても特に問題ありません。
消化の悪い食べ物
可能であれば検査の2、3日前からは、大腸に残りやすい消化の悪い食べ物は避けるようにしましょう。
キノコ、ネギ、わかめ、豆、キウイなど
キノコ類、ネギなどの繊維質が多い野菜やわかめなどの海藻類、ゴマやナッツ類、エンドウ豆などの豆類、キウイなど果物の種は消化されず、大腸に残りやすくなってしまいます。そのため、これらの食材は検査の3日前頃より控えたほうが良いでしょう。大腸に残ってしまうとその残りかすが検査の邪魔になり、検査時間が長くなる、観察が十分できないなどの影響が出る可能性があります。
揚げ物や香辛料
揚げ物などの脂肪分の多い食べ物、香辛料などの刺激の強い食品は、消化に影響を及ぼす可能性があるため避けたほうが良いでしょう。
アルコールや野菜ジュース・果実入り飲料
大腸内視鏡検査前は前日から下剤など薬を服用しますが、アルコール類は薬に影響を及ぼす可能性もあるため、控えるようにしましょう。また、検査前日の20-21時以降は、できれば水やお茶、スポーツドリンクなどにして、野菜ジュースや果実入り飲料などは控えましょう。
「大腸内視鏡検査(大腸カメラ)」で発見できる病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「大腸内視鏡検査(大腸カメラ)」に関する病気を紹介します。
どのような病気や症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
大腸がん
大腸がんは大腸に発生する悪性腫瘍です。大腸がんは大腸の粘膜から発生するものと、大腸ポリープが大きくなり癌化するもの等があります。はじめは症状もほとんどなく、内視鏡を行ったら見つかったという場合もありますが、癌がかなり大きくなり進行している場合は血便、便が細くなる(細小化)、お腹の張り、腹痛、吐き気、貧血、体重減少など様々な症状を認めます。
内視鏡を行ってわかったような早期がんで、大腸の粘膜にとどまり、あまり大きくないものなどは内視鏡治療で切除できることがあります。癌がある程度まで進行し、内視鏡で摂り切れない場合は手術を行います。また、手術でも取り切れないような状態まで進行してしまった場合は抗がん剤などでの治療になりますが、この状態になると、全てとは言えませんが根治が難しくなります。
大腸がんは早期に見つかれば根治も目指せるため、無症状でも健診で引っかかるなどあれば、消化器内科を受診し検査を受けることが重要です。
大腸ポリープ
大腸ポリープは大腸の粘膜にできる良性腫瘍です。ポリープは大腸粘膜にできる隆起性の病変ですが、中には大きくなると癌化するタイプのもの(腺腫)もあります。ポリープの多くは遺伝子の異常により発生すると考えられており、基本的には無症状です。健診などで引っかかり、大腸内視鏡検査を受けると見つかったという場合がほとんどです。ポリープは大きさにもよりますが内視鏡で治療できることが多いです。ただし、一度切除し治療してもその後でまた再発することも多々あります。一度ポリープが見つかった場合は定期的に内視鏡検査を受けることが推奨されます。消化器内科で相談しましょう。
炎症性腸疾患や感染性腸炎など
その他、大腸内視鏡検査では炎症性腸疾患や感染性腸炎など、様々な疾患を評価・診断することに有用です。時には下痢や便秘、腹痛などの症状が続くため大腸内視鏡検査を行い、内視鏡検査上では明らかな原因がないことを確認することで診断・治療できる病気もあります。
腹痛や下痢が続く、逆に便秘が続くなど不調があれば一度検査を検討するのもよいでしょう。
「大腸内視鏡検査(大腸カメラ)の食事」についてよくある質問
ここまで大腸内視鏡検査(大腸カメラ)の食事について紹介しました。ここでは「大腸内視鏡検査(大腸カメラ)の食事」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)の3日前はどんな食事をすればよいですか?
岡本 彩那 医師
大腸内視鏡検査の3日前には厳密な食事制限はありません。ただし、食物繊維の多い食べ物などを摂ってしまうと、3日後の検査時にも大腸に食べ物のカスが残ってしまうことがあるので、繊維質の多い食べ物は避けたほうが無難です。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)は何日前から食事制限すればいいのでしょうか?
岡本 彩那 医師
大腸内視鏡検査前は、前日からアルコールや脂肪分、食物繊維の多い食べ物を控えるなどの制限を行った方が良いでしょう。また、検査2、3日前は食物繊維の多い食べ物は避けたほうが無難ですが、厳密な制限はありません。
編集部まとめ 大腸内視鏡検査(大腸カメラ)前の食事には注意!
大腸内視鏡検査は大腸がんや、その「癌の卵」に当たるポリープを見つけるのにかなり有用な検査です。特に大腸がんの場合は早期であれば内視鏡治療ができるものの、多くは自覚症状がありません。たまたま健診などで引っかかり、大腸内視鏡検査を行って発見されるということも多い病気です。そのため大腸内視鏡検査はかなり重要な検査と言えます。
なお、大腸内視鏡検査を行い、ポリープをとったら安心というわけではなく、そのまま放置しておくとポリープが再発して年数が経過すると癌になる可能性もあります。そのため、定期的に内視鏡検査を受けることも重要です
その重要な検査を行うにあたり、検査前に腸の状態を整えておくことは重要です。食事など少しの注意で検査の精度が変わってくるため、大腸内視鏡検査の前は食事などに注意するようにしましょう。
「大腸内視鏡検査(大腸カメラ)」で考えられる病気と特徴
「大腸内視鏡検査(大腸カメラ)」から医師が考えられる病気は8個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
婦人科系の病気
大腸内視鏡検査を定期的に受けることで疾患の早期発見、治療につなげましょう。