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「偽膜性腸炎」という抗菌薬の使用で発症する病気はご存知ですか?医師が監修!

 更新日:2024/01/10
「偽膜性腸炎」という抗菌薬の使用で発症する病気はご存知ですか?医師が監修!

偽膜性腸炎とはどのような病気なのでしょうか?
本記事では、偽膜性腸炎について以下の点を中心にご紹介します!

・偽膜性腸炎とは
・偽膜性腸炎の診断と治療
・偽膜性腸炎の予防と注意点

偽膜性腸炎について理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

偽膜性腸炎とは

偽膜性腸炎とは

偽膜性腸炎について教えてください

偽膜性腸炎は、大腸に炎症を引き起こす疾患で、主に下痢の症状を伴います。この病気の背後には、クロストリジオイデス・ディフィシルという特定の細菌が関与しています。この細菌は、嫌気性の性質を持ち、酸素のない環境でつくられます。多くの場合、偽膜性腸炎は抗菌薬の使用後に発症します。抗菌薬は、病原菌を排除するために使用されるものの、同時に腸内の正常な細菌のバランスも変えてしまうことがあります。この結果、クロストリジオイデス・ディフィシルが異常に増殖し、毒素を産生することで、腸の炎症が引き起こされるのです。症状の程度は人それぞれ異なり、軽度の腹部不快感から、重度の血性の下痢や腹痛、発熱まで幅広く現れます。診断は、症状の確認や便の検査、大腸の観察を通じて行われます。
治療に関して、症状が軽微であれば、原因となる抗菌薬の使用を中止し、必要に応じて別の治療法を適用することで、多くの患者が回復の道を辿ります。この疾患の予防や早期発見、適切な治療の選択が重要であることを理解し、健康を守るための知識を持つことが求められます。

クロストリジウム・ディフィシル菌とはどのような細菌ですか?

クロストリジウム・ディフィシルは、特有の特性を持つ細菌の一つです。この菌は偏性嫌気性の性質を持ち、酸素の少ない環境で最も活発に活動します。また、芽胞形成性のグラム陽性桿菌として知られ、これにより厳しい環境条件下でも生存する能力を持っています。
この菌は、ヒトの腸内だけでなく、自然環境、例えば河川や海水、土壌にも存在します。さらに、愛玩動物や家畜の腸内にも見られることが知られています。特に小児、1歳未満の乳幼児の腸内には、この菌が保菌されていることが確認できます。感染の経路としては、医療機関の利用や他のクロストリジウム・ディフィシル感染者、無症候性キャリアとの接触が主な原因とされています。特に、抗菌薬の使用に関連した下痢症の主要な原因としてこの菌が挙げられます。また、高齢者や過去の入院歴、消化管手術歴を持つ人、基礎疾患を抱える人、特定の薬物を使用している人などは、この菌による感染のリスクが高まるとされています。総じて、クロストリジウム・ディフィシルは、私たちの身の回りに広く存在し、特定の条件下で健康を害する可能性を秘めた細菌であると言えます。

偽膜性腸炎の原因について教えてください

偽膜性腸炎は、特定の細菌によって引き起こされる腸の疾患です。主な原因として挙げられるのは、クロストリジウム・ディフィシルという細菌を産生する毒素です。この細菌は、特定の環境下で大腸の粘膜に偽膜と呼ばれる特徴的な膜を形成します。健康な人の腸内には、さまざまな細菌が共存し、腸の健康を維持する役割を果たしています。しかし、抗生物質の投与などにより、このバランスが崩れると、通常は少数派である細菌が増殖する現象、いわゆる「菌交代現象」が起こります。この現象の中で、クロストリジウム・ディフィシルが増加し、毒素を大量に産生することで、偽膜性腸炎が発症するのです。特に、広域ペニシリンや一部のセファロスポリンなどの抗生物質の使用は、偽膜性腸炎のリスクを高めることが知られています。また、抗がん剤や抗ウイルス薬も、稀にこの疾患の原因となることがあります。偽膜性腸炎は、特に入院患者の中で発症が多く報告されています。Clostridium difficileは外部環境においても非常に安定しており、医療従事者や介護者の手を介して、感染が拡大するリスクがあるため、十分な予防策が求められます。

偽膜性腸炎の主な症状について教えてください

偽膜性腸炎は、特定の細菌や薬剤の影響により腸内で発症する疾患で、その症状は多岐にわたります。この疾患は、特にクロストリジオイデス・ディフィシルという細菌の影響を強く受けるものとして知られています。症状の発現は、原因となる薬剤や細菌の接触から数日から数週間後に現れることが一般的です。最も初期に現れる典型的な症状は、水様性の下痢や粘液便、そして場合によっては血便です。これに加えて、発熱が伴うこともあります。特に高齢者や長期入院をしている患者さんは、この疾患にかかりやすいとされており、脱水や電解質の異常が続発するリスクが高まります。さらに、症状が進行すると、麻痺性イレウスや中毒性巨大結腸症などの重篤な状態を引き起こすことがあります。これらの症状は、腸の動きが鈍くなる、腸が異常に拡張するなどの状態を指します。また、嘔吐、腹痛、腸の穿孔や血圧の低下など、生命を脅かすような症状も現れることがあります。
クロストリジオイデス・ディフィシル感染症の場合、症状の発現は抗菌薬の投与開始から5〜10日後が一般的ですが、時には投与直後や、数カ月後にも症状が現れることが知られています。細菌が引き起こす炎症の程度によって、症状の重さや種類が異なります。偽膜性腸炎の症状は、その原因や背景、患者の体質などによって異なるため、症状が現れた際は速やかに医師の診断を受けることが重要です。早期の対応と適切な治療が、回復への鍵となります。

偽膜性腸炎の診断と治療

偽膜性腸炎の診断と治療

偽膜性腸炎の診断や検査について教えてください

偽膜性腸炎は、特定の症状や背景を持つ患者において疑われる疾患です。特に抗菌薬の使用後や入院後に下痢の症状が現れた場合、クロストリジオイデス・ディフィシル腸炎の可能性が高まります。診断の主要な手段としては、便検査が行われます。この検査では、クロストリジオイデス・ディフィシルが産生する特定の毒素や、菌自体が放出する酵素の存在を確認します。さらに、菌の遺伝物質を特定するための高度な技術、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法も使用されることがあります。これにより、感染の有無や菌の種類を正確に特定できます。また、大腸の状態を直接観察するための検査も行われることがあります。S状結腸鏡や大腸内視鏡といった機器を使用して、大腸の内部を詳しく調べられます。特に、偽膜性大腸炎という特有の炎症が見られる場合、クロストリジオイデス・ディフィシル腸炎の診断が確定されることが多いです。ただし、これらの内視鏡検査はすべての患者に行われるわけではなく、症状や状態に応じて選択されます。さらに、重篤な合併症が疑われる場合、例えば大腸穿孔や中毒性巨大結腸症など、迅速な対応が必要な状況では、腹部のX線やCT検査が実施されることもあり、腸の状態や合併症の有無を詳しく確認します。偽膜性腸炎の診断は、患者の症状や背景、そして各種検査結果を総合的に評価して行われます。早期の発見と適切な治療が、患者の回復と健康を保つための鍵となります。もし疑わしい症状が現れた場合は、速やかに医師の診察を受けることをおすすめします。

偽膜性腸炎の治療方法について教えてください

偽膜性腸炎治療の第一歩は、原因となる抗菌薬の使用を中止することです。多くの場合、この対応だけで症状は改善します。しかし、症状が持続する場合や重症化する場合、クロストリジオイデス・ディフィシルに効果的な抗菌薬、例えばバンコマイシンやメトロニダール、フィダキソマイシンなどが投与されます。再発する患者には、さらなる治療として便移植が検討されることもあります。この方法は、健康なドナーの便を患者の腸に移植し、腸内の細菌のバランスを正常化することを目的としています。また、ベズロトクスマブというモノクローナル抗体が使用されることもあり、これはクロストリジオイデス・ディフィシルの毒素に結合し、再発のリスクを低減します。重症の場合、入院や輸液、輸血が必要となることもあります。また、極端に重篤な状態では、大腸の一部を切除する手術が検討されることもあります。

偽膜性腸炎は再発する可能性がありますか?

偽膜性腸炎は、治療後に再発するリスクがあります。特に、バンコマイシンやメトロニダールで治療した場合、再発率は10〜25%とされています。一度再発すると、その後の再発率は65%と非常に高くなることが知られています。再発の危険因子として、憩室の存在、再感染、Toxin Aに対する低抗体価、高齢者であることなどが挙げられます。再発の多くは治療終了後の1〜2週間以内に見られますが、1〜2ヶ月後に発症することもあります。
再発した場合の治療には、まずクロストリジオイデス・ディフィシル感染の確認が必要です。確認後、初回の再発で症状が軽い場合は経過観察が選択されることがありますが、中等症以上の場合や特定のリスク群では、Vancomycinやmetronidazoleを再度使用することが推奨されます。

偽膜性腸炎の予防と注意点

偽膜性腸炎の予防と注意点

偽膜性腸炎の予防策について教えてください

偽膜性大腸炎は、大腸の粘膜に特有の偽膜が形成される疾患で、主にクロストリジウム・ディフィシルという菌が原因で発症します。この病気の背景には、抗生物質の使用による腸内細菌のバランスの乱れがあります。健康な腸内には多種多様な細菌が共存しており、これらのバランスが保たれていることが健康維持の鍵となります。予防策として、まず抗生物質の適切な使用が重要です。不要な抗生物質の使用を避け、医師の指示に従って正確に服用することで、腸内細菌のバランスを維持できます。また、クロストリジウム・ディフィシルは外部環境でも生存する能力があるため、日常的な手洗いや清潔な生活環境の維持も予防に役立ちます。特に、公共の場所や医療施設を訪れた後の手洗いは徹底的に行うことが推奨されます。これにより、この耐久性の高い菌の感染リスクを低減することが期待されます。

偽膜性腸炎の高リスク群に該当する場合の注意点を教えてください

偽膜性腸炎のリスクが高まるのは、抗菌薬の服用中に下痢の症状が現れた場合です。このような状況に直面した場合、最も重要なのは、抗菌薬の服用を直ちに見直すことです。もし、その抗菌薬が絶対的に必要でない場合、医師の指示のもとで服用を中止することを推奨します。中止後、症状は大体10〜12日で改善することが多いです。したがって、抗菌薬を服用している方は、下痢の症状に特に注意を払い、症状が現れた場合は速やかに医師に相談することが大切です。早期の対応が、症状の悪化を防ぎ、回復を早める鍵となります。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

偽膜性腸炎は、私たちの日常生活に潜むリスクの一つです。特に、抗菌薬の使用が関連していることから、医薬品の適切な使用と理解が非常に重要です。病気の予防や早期発見のためには、自身の体調の変化に敏感であること、そして医師や薬剤師とのコミュニケーションを大切にすることが求められます。下痢や腹痛などの症状が現れた場合、過去の抗菌薬の使用歴や症状の変化を医師に正確に伝えることで、適切な診断と治療が受けられます。

編集部まとめ

偽膜性腸炎
ここまで偽膜性腸炎についてお伝えしてきました。
偽膜性腸炎の要点をまとめると以下の通りです。

・偽膜性腸炎は、クロストリジオイデス・ディフィシルという細菌が引き起こす疾患
・感染の主な経路は、保菌者や感染者との接触、医療機関の使用、または無症候性キャリアとの接触である
・偽膜性腸炎は、治療後に再発するリスクがある

これらの情報が皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事の監修医師