「血圧が高いと出る5つの症状」はご存知ですか?高血圧を予防する食べ物も解説!
血圧が高いと出る症状とは?Medical DOC監修医が健康診断で血圧が高いと診断された場合・検査の見方・予防方法・発見できる病気などを解説します。
監修医師:
伊藤 陽子(医師)
目次 -INDEX-
血圧とは?
血圧とは心臓から送り出された血液が血管の内側にかかる圧力のことです。血圧を左右する要因として心拍出量(心臓から押し出される血液の量)、血管の太さ、血管の弾力性によって決まります。心臓はポンプのように収縮や拡張を繰り返して全身に血液を送っています。心臓が収縮して血液を送り出す時の血圧が収縮期血圧(最高血圧)で、血液が心臓に戻ってきて拡張している時の血圧が拡張期血圧(最低血圧)です。診察室で収縮期140/拡張期90mmHg以上の場合、高血圧と診断されます。
血圧が高いと出る症状
血圧が高いと出る症状は、肩こり・頭痛・耳鳴り・めまいなどさまざまですが、高血圧以外の病気でもおこり、区別がつきづらいです。また、高血圧は自覚症状がないことも多くみられます。ここでは、合併症が起こるとみられる高血圧の症状を中心に解説します。
頭痛
頭痛やめまいなどの症状は、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害の合併症を起こしている可能性が考えられます。慢性的な高血圧は全身の動脈硬化を進行させ、脳梗塞や脳出血が起こりやすくなります。頭痛の原因はさまざまありますが、原因不明の頭痛が続くようなら、速やかに脳神経外科を受診しましょう。
激しい頭痛・悪心・意識障害などの症状は脳梗塞や脳出血の可能性があるため、速やかに救急要請しましょう。
夜間頻尿や多尿
夜間頻尿や夜間の多尿は腎臓の合併症を起こしている可能性があります。慢性的な高血圧は夜間の血圧も高い状態になり、夜間の尿量増加の原因です。食事からの食塩の過剰摂取は、ナトリウム(食塩)の排泄を夜間も行うことになり、夜間の多尿や頻尿が発生します。
夜間の頻尿や多尿は、寝る前の水分の摂りすぎ・膀胱容量の減少・糖尿病・睡眠時無呼吸症候群などが原因となることもあります。
夜間頻尿の対策として、減塩食・寝る前に大量の水分補給は控え、利尿作用のあるアルコールやカフェインの摂取を控えましょう。
夜間頻尿の症状が改善されなければ、泌尿器科を受診しましょう。
呼吸困難
呼吸困難・動悸・胸痛などの症状は狭心症や心筋梗塞などの心臓疾患の合併症を起こしている可能性があります。慢性的な高血圧は動脈硬化を進行させ、心臓の血管を狭窄させます。安静にしていても症状が続くようなら循環器科を受診しましょう。激しい胸痛が続くなど緊急性がある場合は速やかに救急要請をしましょう。
また、高血圧に伴って心不全を合併することもあります。この時には、呼吸困難や動悸などの症状がみられます。少し動いただけでも動悸や息切れが強いときには早めに内科を受診しましょう。
視力の低下
視力の低下や視界がぼやけるといった症状は網膜静脈閉塞症を起こしている可能性があります。網膜静脈閉塞症は主に高齢者に起こる病気です。慢性的な高血圧によって動脈硬化が進行し、眼の血管が詰まって網膜が正常に機能しなくなることが原因です。
糖尿病・脂質異常症など動脈硬化を進行させる疾患も原因となります。
治療をしても、視力が完全に回復しないこともあり、治療せず放っておくと失明にまで至る場合もあります。
また、高血圧に伴う網膜症もみられます。多くは症状がありませんが、重症となると視力障害をきたす可能性もあり注意が必要です。
視力の低下や視界がぼやけるなどの症状が現れたら、速やかに眼科を受診しましょう。症状がない場合でも、定期的に眼科の検診をおすすめします。
下肢のしびれや冷感
足の先が冷たい・しびれるなどの症状は末梢動脈疾患(下肢閉塞性動脈疾患)を起こしている可能性があります。慢性的な高血圧により、全身の動脈硬化が進行して足の動脈を狭窄させたり、詰まらせたりして足先への血流が十分に回らなくなることが原因です。
糖尿病・脂質異常症など動脈硬化を進行させる疾患も原因となります。
重症の場合は壊死を起こし切断術が必要になる場合もあります。
足先の冷感やしびれなどの症状があれば速やかに循環器科を受診しましょう。
健康診断で血圧が高いと診断されたら?
健康診断で血圧が高いと診断されたら、早めに医療機関を受診しましょう。受診するまでの間、家庭でも血圧を測定しましょう。毎日朝晩2回の測定がおすすめです。
血圧が高いだけでは自覚症状は現れにくいですが、高い状態を放置すると動脈硬化が進み、合併症を引き起こすリスクが高まります。医療機関を受診し、合併症のリスクや有無を診断してもらいましょう。
血圧検査の結果の見方と再検査が必要な診断結果・所見
ここまでは血圧が高いと出る症状について基本的なことを紹介しました。
血圧検査で再検査・精密検査を受診した方が良い結果がいくつかあります。
以下のような診断結果の場合にはすぐに病院に受診しましょう。
血圧検査の結果や数値の見方・分類と主な所見
日本高血圧学会の高血圧の診断基準は、
診察室では
収縮期血圧が140mmHg以上
拡張期血圧が90mmHg以上
家庭血圧では
収縮期血圧が135mmHg以上
拡張期血圧が85mmHg以上
が高血圧と診断されます。
高血圧は本態性高血圧・二次性高血圧に区別され、およそ90%が本態性高血圧です。主な原因は加齢・遺伝・食生活・肥満・喫煙などです。
二次性高血圧とは高血圧の原因となる病気がある場合で、腎臓病・睡眠時無呼吸症候群・甲状腺の病気などが原因となり二次的に血圧が上昇しています。
血圧検査の結果で精密検査が必要な基準と内容
血圧が高い時の精密検査は血圧測定・尿検査・心電図・胸部レントゲン・眼底検査などです。高血圧の原因や合併症の有無を調べます。費用は保険適用となりますが、医療機関や検査・診察内容によりさまざまです。
健康診断などで血圧が高いと指摘され、再検査や精密検査の結果を受けたら、速やかにかかりつけの医療機関や一般内科を受診しましょう。高血圧の状態を放置してしまうと、動脈硬化の進行や脳・心臓・腎臓などの病気を招く危険があります。症状がない場合でもすぐに再検査・精密検査を受けましょう。
再検査をしても高値の場合、食事・運動・禁煙などの生活改善をします。場合によっては薬物療法を併せて治療していきます。
「血圧検査」で発見できる病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「血圧検査」に関する病気を紹介します。
どのような病気や症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
高血圧
高血圧とは血圧が高い状態です。食塩摂取過剰・肥満・過剰飲酒・ストレス・運動不足・喫煙などが原因です。高血圧を放置すると動脈硬化が進み、脳卒中・心疾患・腎臓病を発症するリスクが高まります。
治療法は食塩制限・標準体重の維持・節酒・禁煙や運動など生活習慣の改善と必要に応じた薬物療法です。
健康診断などで高血圧を指摘される場合や、家庭での血圧が繰り返し基準値を越える状態が続くようなら早めに内科を受診しましょう。
動脈硬化
動脈硬化とは血管の弾力の低下や、動脈の壁にコレステロールがたまり、血管が厚くなって血管内が狭くなった状態です。動脈硬化は心疾患・脳卒中・腎臓病などの発症に関連しています。動脈硬化の原因は加齢や高血圧・脂質異常症・糖尿病などの生活習慣病やメタボリックシンドローム、喫煙や運動不足などです。
動脈硬化の危険因子である生活習慣病を改善することで動脈硬化の進行を抑えられます。健康診断などで生活習慣病やメタボリックシンドロームを指摘されたら、速やかに一般内科を受診しましょう。
脳卒中
脳卒中とは脳の血管が詰まって起こる脳梗塞と脳の血管が破裂して起こる脳出血・くも膜下出血があります。
症状は半身のまひやしびれ、ろれつが回らない、立てない・歩けない、視野が欠けるなどの症状が現れます。脳梗塞の主な原因は動脈硬化や不整脈で、脳出血は高血圧が主な原因となります。くも膜下出血は脳の血管にできた動脈瘤の破裂が原因です。
脳卒中を予防するために、生活習慣の改善と薬物療法が必要です。
疑わしい症状があれば早急に救急要請をしましょう。
腎不全
腎不全とは腎臓の機能が低下した状態です。
腎臓の機能が低下してくると、むくみ・倦怠感・貧血・夜間尿などの症状が現れます。
急激に腎機能が低下する急性腎障害や腎障害が3ヶ月以上持続した慢性腎臓病があります。これらの腎臓病が悪化すると、透析が必要になる末期腎不全に移行します。
急性腎障害は急激な腎障害により、体液の維持や調節ができなくなった状態です。原因疾患を治療することで腎障害の改善が期待できます。高血圧緊急症という急激な血圧上昇により急性腎障害が起こることもあります。
慢性腎臓病の発症の主な原因は高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病です。
主な治療法は食事と薬物療法です。腎機能の状態に応じて食塩・たんぱく質・カリウムなどの制限や摂取エネルギーの確保が必要になります。また高血圧や糖尿病を合併している場合はそれらの治療も併せて行います。
腎臓の機能は一度失ってしまうと元の状態に戻りにくいため、健康診断で腎機能の低下を指摘されたら速やかに腎臓内科を受診しましょう。
大動脈瘤
大動脈瘤とは大動脈の一部が拡張または突出した状態のことです。
大動脈瘤が発生する主な原因は動脈硬化で、高齢者・高血圧・脂質異常症・喫煙などが危険因子です。多くの場合症状はなく、健康診断などで発見されることがよくあります。
破裂すると激しい痛みと体内で大量の出血が生じ、急激なショック状態や突然死に至ることもあります。
診断のために行うのはX線、CT、エコー、MRIなどの検査です。
健康診断などで指摘されたら、速やかに心臓血管外科を受診しましょう。精密検査での動脈瘤の大きさや場所により治療方針が決まります。激しい痛みなどがある場合は早急に救急要請しましょう。
高血圧を予防する食べ物・食生活
野菜や果物の摂取を増やしましょう
生野菜や果物、海藻などに多く含まれるカリウムは尿中にナトリウムを出してくれる働きがあります。カリウムとナトリウムは体に必要なミネラルの一つで、ナトリウムは食品からは食塩として摂取されます。
日本人(20歳以上)の一日のカリウムは、令和元年の国民健康・栄養調査では男性2439mg、女性2273mgです。
日本人の食事摂取基準(2020年版)ではカリウムの摂取目標を成人男性3000mg以上、成人女性2600mg以上としているため、積極的な摂取をおすすめします。
カリウムは以下のような食品に多く含まれます。
- ・野菜:ほうれん草や春菊など
- ・果物:バナナやリンゴなど
- ・海藻:昆布やひじきなど
- ・いも類:じゃがいもやさつまいもなど
カリウムは水に溶けやすい特徴があるため、野菜や果物は生のまま食べることがおすすめです。
腎臓病の方ではカリウムの摂取制限が必要な場合があります。主治医に確認しましょう。
果物は糖質を多く含むため、肥満・糖尿病の方は摂りすぎに注意が必要です。
大豆製品の摂取を増やしましょう
大豆製品はカリウム・マグネシウムを多く含む食品です。マグネシウムは血圧の調整に必要なミネラルです。また、大豆製品に含まれるイソフラボンという成分は血圧降下作用があるといわれています。
納豆・豆腐・豆乳・枝豆などの摂取を増やしましょう。
納豆1P(40g)76kcal、木綿豆腐½丁(150g)110kcal、無調整豆乳コップ1杯(180mL)79kcalあります。肥満がある方は、今の食事にプラスするのではなく、置き換えることをおすすめします。
魚の摂取を増やしましょう
魚に多く含まれるEPAやDHAといった、n-3系脂肪酸には血圧降下作用があるとされています。
n-3系脂肪酸を一日3g以上摂ると、降圧効果が期待できるとの報告があります。
n-3系脂肪酸を多く含む食品は、青魚(サバやイワシ)・サーモンなど脂質の多い魚などです。
EPAやDHAと同じn-3系のαリノレン酸は体の中でEPAやDHAに変わります。大豆油やアマニ油の摂取もおすすめです。
脂質は少量で高エネルギーの栄養素です。肥満がある方は、今の食事にプラスするのではなく、置き換えることをおすすめします。
高血圧の正しい対策・予防法
減塩食・標準体重の維持・節酒
食塩の過剰摂取は高血圧の原因となります。
食塩の過剰摂取によって、体内の塩分濃度が高まると、塩分濃度を一定にするために水分量を増やします。そのため血液量が増え、血管にかかる圧力が増加するためです。
日本人(20歳以上)の一日の食塩摂取量は、令和元年の国民健康・栄養調査では男性10.9g、女性9.3gと非常に多いです。
米国心臓病学会/米国心臓病協会の2017年ガイドラインでは、減塩の目標を一日のナトリウム摂取量を1000mg(食塩換算で約2.5g)減らすことで降圧効果があるとしています。
食塩は様々な食べ物に含まれています。食塩含有量が多い食品は調味料、梅干しや漬け物、味噌汁などの汁物、麺類、加工品、外食などです。摂取頻度や量に注意しましょう。
市販品や外食の塩分表示を見ることで、食塩含有量を確認できます。目標は一日6g未満ですが、まずは減塩を意識して今より少しでも食塩摂取量を減らしましょう。
・適度な体重を維持しましょう
肥満は高血圧発症のリスク因子です。特に内臓脂肪が蓄積された状態は、ホルモンのバランスを乱し高血圧を招きやすくなります。
日本肥満学会ではBMI(体格指数)が22を標準体重としています。統計上、高血圧や糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病になりにくい体重です。
BMIの正常範囲は18.5~25です。25以上は肥満と判定されます。
BMIの算出式
BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
例)160cmで65kgの場合
BMI=65kg÷1.6m÷1.6m=25.4
体重を3%以上減少すると降圧の効果が期待できます。標準体重を維持することが理想ですが、BMIが25以上の肥満の方は、まずは体重の3%減量を目標にしてください。
・過剰飲酒があれば節酒しましょう
飲酒の習慣は高血圧の原因となります。また、多量飲酒は脳卒中や心疾患を引き起こすリスクを高めます。
一日の摂取量は男性ではビール中瓶1本、日本酒1合、焼酎半合、ワイン2杯、女性は男性の半量程度に制限することがおすすめです。
節酒継続後、1~2週間で降圧効果が認められるため、推奨されている摂取量の達成が難しい場合は、現状より少しでも節酒しましょう。
適度な運動の継続
運動すると、直後から血圧降下作用があり、その後22時間程度降圧効果が期待できます。
速歩やスロージョギングなどの有酸素運動を毎日30分以上または週180分以上行うことが目安です。
合併症があると、高強度の運動の制限が必要になる場合があります。運動を始める前に医療機関を受診し、メディカルチェックを受けましょう。適切な運動量や運動の種類で運動療法に取り組むことをおすすめします。
禁煙
タバコの煙に含まれるニコチンには、交感神経を刺激して血圧を上げる作用があります。
紙タバコを1本吸うと15分以上持続して血圧を上昇させます。
慢性的な喫煙は動脈硬化を進行させ、脳卒中や心疾患のリスクを高めるため、高血圧予防・合併症予防のために禁煙をおすすめします。
「血圧が高いと出る症状」についてよくある質問
ここまで血圧が高いと出る症状について紹介しました。ここでは「血圧が高いと出る症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
血圧が一気に上昇するとどんな症状が現れますか?
伊藤 陽子(医師)
血圧が一気に上昇すると、脳に障害が起こり、脳浮腫が起こる「高血圧性脳症」になる場合もあります。慢性的な高血圧がある場合、220/110mmIg以上、正常血圧の場合、160/100mmHg以上で発症しやすいとされています。発症の主な原因は慢性的な高血圧や腎不全などです。激しい頭痛・嘔吐・視力障害・意識障害や、脳出血・腎不全・循環器疾患を引き起こし、命に関わる可能性もあります。異常な高血圧と激しい頭痛・嘔吐・視力障害・意識障害などの症状が現れたら速やかに救急要請しましょう。
血圧が高くなったらどのように対処すればいいですか?
伊藤 陽子(医師)
健康診断などで高血圧を指摘されたら、まずは医療機関を受診しましょう。減塩にするなど食生活の改善や運動習慣の見直し、標準体重の維持、禁煙・節酒に取り組みましょう。
編集部まとめ 高血圧に頭痛などの症状が出た場合には、早急に内科受診を!
血圧が高いだけでは自覚症状が現れることは少ないですが、慢性的な高血圧は全身の動脈硬化を進行させ、脳や心臓や腎臓など、さまざまな臓器に負担がかかり、合併症を引き起こすリスクが高くなります。健康診断で高血圧を指摘されたり、家庭での測定値が高い場合は一度医療機関を受診しましょう。
「血圧が高いと出る症状」の異常で考えられる病気
「血圧が高いと出る症状」から医師が考えられる病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
腎臓科の病気
神経内科の病気
眼科の病気
- 高血圧網膜症
- 網膜静脈閉塞症
自覚症状がないからといって、血圧が高い状態を放置してしまうと、様々な合併症を引き起こす危険があります。健康診断などで血圧が高いと指摘されたら、早めに医療機関を受診しましょう。