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「子宮頸がんの精密検査」とはどんな検査をするの?費用や結果の見方も医師が解説!

 公開日:2024/07/02
「子宮頸がんの精密検査」とはどんな検査をするの?費用や結果の見方も医師が解説!

子宮頸がんの精密検査とは?Medical DOC監修医が子宮頸がん検診に引っかかった場合の検査内容や確率、検査結果の見方などを詳しく解説します。

阿部 一也

監修医師
阿部 一也(医師)

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医師、日本産科婦人科学会専門医。東京慈恵会医科大学卒業。都内総合病院産婦人科医長として妊婦健診はもちろん、分娩の対応や新生児の対応、切迫流早産の管理などにも従事。婦人科では子宮筋腫、卵巣嚢腫、内膜症、骨盤内感染症などの良性疾患から、子宮癌や卵巣癌の手術や化学療法(抗癌剤治療)も行っている。PMS(月経前症候群)や更年期障害などのホルモン系の診療なども幅広く診療している。

子宮頸がんの精密検査とは?

子宮頸がんは、早期発見と適切な治療によって予後を大きく改善できる病気です。しかし、多くの場合、初期には症状が現れないため、定期的な検診が非常に重要となります。日本では、20歳を超える女性を対象に子宮頸がん検診が推奨されており、異常が見つかった際には、精密検査に進むことが勧められています。
子宮頸がんの精密検査は、子宮頸部の細胞から、がんやその前段階の異常を見つけ出すために行われる一連の検査のことです。この精密検査には、コルポスコープ(腟拡大鏡)下の組織診、HPV DNAテストなどが含まれ、これらによってさらに詳細な診断が下されます。細胞診の結果に異常があったり、HPV検査で高リスク型のウイルスへの感染が判明したりした場合には、精密検査が推奨されます。
検査は、がんの早期発見だけでなく、前がん状態の診断にも役立ちます。前がん状態を適切に治療することで、がんへの進行を防ぎ、治療の選択肢も広がります。しかし、子宮がん検診の精密検査は怖いのではないか、またどこで受ければ良いかわからないなどのお悩みを抱える方もいらっしゃるでしょう。 そこで、本記事では、この精密検査がどのようなものか、何をするのか、どんなプロセスを経て行われるのか、費用や検査を受ける際の注意点など、子宮頸がんの精密検査について徹底的に解説していきます。

子宮頸がんの精密検査とはどんな検査?

子宮頸がんの精密検査は、初期の子宮頸がんや前がん状態を発見するための詳細な検査です。一般的な子宮頸がんスクリーニングであるパパニコロウ検査(子宮頸部細胞診)で異常が見られた場合に推奨されます。
細胞診の結果は「異常なし」から「異型細胞存在」までの範囲で報告されます。Bethesda(ベセスダ)システムで評価されます。従来のクラス分類では、結果がI,II,IIIa,IIIb,IV,Vと結果が分類されていたものです。子宮頸がんの精密検査では痛みを伴うのではないかと不安になるかもしれませんが、通常は軽い違和感を感じる程度にとどまることが多いです。そして、現在ではベセスダシステムではASC-US(意義不明な扁平上皮細胞)、LSIL(軽度扁平上皮内病変)、HSIL(高度扁平上皮内病変)などに区分されています。
子宮頸がん検診で、NILM(陰性)であれば、異常なしなので、定期検診を受けるようにします。
ASC-USもしくはそれ以上の異常がみつかる場合には、要精密検査となります。
検診の結果、ACS-USだった場合には、ハイリスクHPV検査が勧められますが、病院によっては6ヶ月後・12ヶ月後に再検査を行うこともあります。
ハイリスク型HPVが陰性であれば、1年後に子宮がん検診を受けます。再度陽性であれば、精密検査が勧められます。

検診の結果、ACS-US以外の検査結果には、以下のようなものがあります。
・HSILを除外できない異型扁平上皮細胞(ASC-H)
・軽度扁平上皮内病変(LSIL)
・高度扁平上皮内病変(HSIL)
・異型腺細胞(AGC)
・上皮内がん(CIS)疑い
・上皮内腺がん(AIS)疑い
・腺がん(adenocarcinoma)疑い
・扁平上皮がん(SCC)疑い
・その他の悪性腫瘍[一阿1]
これらのどれかに該当する場合には、コルポスコピー検査もしくは生検を行います。

さて、精密検査については以下のような検査があります。
1. HPV DNA検査
ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を確認するために行われます。特に、高リスク型のHPVに感染しているかを調べ、がんリスクを評価します。

2. コルポスコピー(腟拡大鏡診)
特殊な顕微鏡(コルポスコープ)を使用して、子宮頸部の表面を直接観察し、異常がある領域を特定します。

3. 生検
コルポスコピーで異常が確認された領域から、小さな組織片を採取して病理検査を行います。これにより、細胞ががんや前がん状態であるかを判定します。

4.内診・直腸診
子宮頸がんの精密検査では、内診や直腸診も重要な役割を果たすことがあります。
内診は、医師が手袋をはめた指を患者の腟内に挿入して子宮頸部やその他の生殖器官の異常を触診する検査です。子宮頸部の硬さ、大きさ、形状、そして表面の異常がないかをチェックします。内診はしばしばパパニコロウ検査(細胞診)やHPV検査とともに実施され、異常がある場合はさらなる検査へと進みます。

また、直腸診は、医師が直腸を通じて子宮や卵巣、骨盤内の他の臓器を触診する検査です。これにより、内診では触れることのできない部分の異常を感知することができます。特に卵巣がんや進行した子宮頸がんの場合に、腫瘤(しゅよう)や腫れがないかを確認するのに役立ちます。

精密検査のおおまかな検査の流れは、以下のようになります。

1. 準備
患者は検査(内診)台に横たわり、リラックスした状態で検査を受けます。

2. HPV DNA検査の実施
検査担当者が医療用の綿棒やブラシを使用して子宮頸部からサンプルを採取します。

3.コルポスコピー
子宮頸部に特別な液体(酢酸)を塗布して異常な細胞を見やすくし、コルポスコープで観察します。

4.生検
異常が見られる領域があれば、その場で細かい組織片を採取します。

5.結果の評価
採取したサンプルは病理学的に評価され、細胞の異常を診断します。

検査は比較的短時間で完了し、多くの場合、外来で行われます。検査による不快感はあるものの、大きな痛みを伴うものではありません。ただし、生検を行った後には、少量の出血や軽い痛みがある場合があります。

子宮頸がんの精密検査費用は?

子宮頸がんの精密検査費用は、検査の種類や行う医療機関によって異なります。
子宮頸がん検診を受けたクリニックなどから、精密検査を受けられる病院に対して紹介状が発行されることもあります。
HPV DNA検査は、数千円程度から受けることができる場合が多いです。保険適用外の場合もあります。
コルポスコピー自体は保険適用で受けることが可能で、患者の負担は3割程度です。しかし、保険が適用されるかは施設や検査内容によります。生検も保険の適用を受けることができ、患者負担は検査費用の一部です。
ただし、医療機関によっては、初診料や再診料、処方される薬剤の費用など、検査以外の費用がかかることもありますので、事前に詳細を確認することが重要です。

子宮頸がんの精密検査は婦人科?何科で受けられる?

子宮頸がんの精密検査は通常、婦人科で受けることができます。細胞診やHPV DNA検査、コルポスコピー、生検などの検査は、婦人科医が行うのが一般的です。

子宮頸がんの精密検査結果の見方

子宮頸がんの精密検査結果を理解するには、検査が示す異常の種類と程度を知ることが必要です。以下では検査結果の見方と、それぞれの数値が示す可能性について解説していきます。

1. HPV DNA検査
この検査結果は「陽性」または「陰性」で示されます。陽性は高リスク型HPVの存在を意味し、子宮頸がんのリスクが高いことを示します。

2. コルポスコピー
結果は視覚的な検査に基づき、異常な組織の範囲と特徴を記述する形で報告されます。

3. 生検
CIN1(軽度異型)、CIN2(中等度異型)、CIN3(重度異型または上皮内癌)という分類が用いられます。CIN1やCIN2の場合、半数の患者さんでは自然に治癒する可能性があります。一方、CIN3は子宮頸がんへの進行リスクが最も高いとされています。

子宮頸がんの精密検査で発見できる病気

ここではMedical DOC監修医が子宮頸がんの精密検査で発見できる病気・疾患について解説します。

子宮頸がん

子宮頸部の細胞ががん化する病気で、主にヒトパピローマウイルス(HPV)の持続感染が原因です。早期発見が可能で、治療には手術、放射線療法、化学療法が含まれます。不正出血や性行為の際の出血がある場合、速やかに婦人科を受診する必要があります。

子宮筋腫

子宮の筋肉層に発生する良性の腫瘍です。ホルモンの変動が関係しているとされ、症状には不正出血や月経時の出血過多、下腹部の圧迫感などがあります。多くは経過観察で可能となりますが、症状が重い場合は手術やホルモン療法が選択されます。何らかの症状や貧血がある場合は婦人科を受診することが重要です。

子宮内膜症

子宮内膜症は、子宮の内側にある組織(子宮内膜)が子宮の外で増殖・成長する病態です。子宮内膜組織は通常、月経周期に応じて厚くなり、妊娠が起こらない場合には体外に排出されます。しかし、子宮内膜症の場合は外に排出されることなく体内に残り、炎症や痛みを引き起こします。
痛みや不妊の原因となることがあり、ホルモン療法や手術が治療方法となります。重い生理痛や不正出血がある場合は婦人科を受診してください。

卵巣腫瘍

子宮頸がん検診での精密検査では、エコーや内診などを行う場合があります。その際に、卵巣腫瘍が発見されることもあります。
良性から悪性までさまざまなものがあります。腫瘍によっては無症状のこともありますが、腹部の膨満感や痛み、食欲不振を引き起こすことがあります。治療は手術や化学療法が中心です。症状がある場合は、婦人科または腫瘍科の受診が必要です。

子宮頸がんの前がん病変

前がん病変はCINと分類され、HPV感染によって引き起こされます。CIN1、CIN2、CIN3の段階によって治療が異なります。手術による除去が必要な場合もあります。異常な細胞診の結果が出た場合は、迅速に婦人科を受診してください。

HPV感染症

多くの場合、HPVは無害で自己免疫により排除されます。しかし、持続感染すると子宮頸がんを含むさまざまな病気のリスクを高めます。予防のためにはワクチンが有効です。しかし、細胞診結果の異常や不正出血がある場合は、婦人科を受診しましょう。

「子宮頸がんの精密検査」についてよくある質問

ここまで精密検査について紹介しました。ここでは「子宮頸がんの精密検査」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

子宮頸がん検診に引っかかったらどんな精密検査をするのですか?

阿部 一也医師阿部 一也医師

コルポスコピー検査や生検などが行われます。

子宮頸がんの精密検査結果が異常なしの確率はどれくらいですか?

阿部 一也医師阿部 一也医師

精密検査が必要と判定された人(要精検者)のうち、がん(子宮頸部浸潤がん、AIS、CIN3)が発見された人の割合を調べたデータがあります。令和3年度の地域保健・健康増進事業報告では、全国の20−39歳では5.8%、40−74歳では7.3%という割合でした。
つまり、子宮頚がんで要精密検査となっても、確率的には約9割の方は異常なしとされると考えられます。

子宮頸がんの精密検査結果はどれくらいで出ますか?

阿部 一也医師阿部 一也医師

検査内容にもよりますが、通常数日から数週間(2週間前後)で結果が出ます。

子宮頸がんの精密検査は痛いですか?

阿部 一也医師阿部 一也医師

痛いかどうかについては人によって感じ方は異なりますが、通常は軽い不快感や圧迫感がある程度です。

子宮頸がんの精密検査を受けた後、出血が止まらない場合はどうすればいいですか?

阿部 一也医師阿部 一也医師

子宮頸がんの精密検査として、細胞診などを行なった後に少量の出血が出ることはあります。しかし、出血が止まらない場合はすぐに医療機関に連絡してください。

子宮頸がんの精密検査は、生理中でも受けることができますか?

阿部 一也医師阿部 一也医師

生理中は検査の精度が下がるため、可能であれば避けた方が良いと考えられます。しかし、緊急を要する場合は受けることができます。また、妊娠中の子宮頚がん検診の精密検査については、そのリスクと利益を考慮し、医師により判断されることとなります。

子宮頸がんの精密検査にかかる時間はどれくらいですか?

阿部 一也医師阿部 一也医師

検査自体は数分から30分程度ですが、待ち時間を含めるともう少し時間がかかる場合があります。

まとめ 子宮頸がん検診後の精密検査で病気のリスクを早期発見

子宮頸がんの精密検査は、異常が見つかった場合に行われる細胞診、HPV DNAテスト、コルポスコピーなどが行われます。これらの検査により、がんや前がん状態の診断に繋がり、早期治療が可能となります。
もし子宮頸がん検診で精密検査が必要という結果が出た場合には、速やかに婦人科などでの精密検査を受けるようにしましょう。

「子宮頸がんの精密検査」の異常で考えられる病気

「子宮頸がんの精密検査」から医師が考えられる病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

婦人科の病気

子宮頸がんの精密検査では、上記のような病気が発見できる可能性があります。子宮頸がんで要精密検査になった場合には、きちんと精密検査を受けるようにしましょう。

この記事の監修医師