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「乳がんの精密検査」はどれくらいで結果がでるの?費用についても医師が解説!

 公開日:2024/06/14
「乳がんの精密検査」はどれくらいで結果がでるの?費用についても医師が解説!

乳がんの精密検査とは?Medical DOC監修医が乳がん検診で異常が見つかった場合の検査内容や精密検査が必要な割合等を詳しく解説します。

山田 美紀

監修医師
山田 美紀(医師)

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慶應義塾大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、総合病院や大学病院にて形成外科、外科、乳腺外科の研鑽を積んできた。医学博士。日本外科学会 外科専門医、日本乳癌学会 乳腺認定医、検診マンモグラフィー読影認定医(A判定)の資格を有する。

乳がんの精密検査とは?

乳がん検診で悪性(がん)を否定できない腫瘤(しこり)や石灰化などがみつかった場合、要精密検査となります。その場合、良性か悪性かの診断を行うために、乳腺外科で精密検査をうける必要があります。乳がんの精密検査では何をするのか、結果はいつでるのか、内容や流れについてご紹介します。また、乳がんの精密検査の費用や病院選びについてもご紹介します。

乳がんの精密検査はどんな検査をする?(マンモグラフィ・乳腺超音波・細胞診など)

乳がんの精密検査では、まずマンモグラフィや乳腺超音波検査を行います。検診でこれらの検査を行っても、再度確認する場合があります。画像検査として必要があれば、さらに情報を得るために造影MRI検査を行います。これらの画像診断では良性か悪性かの判断が難しい場合、一定の期間をおいて再検査または、細胞診や組織診を行います。
良性を疑うしこりに対しては、費用も安く、侵襲も少ない細胞診が有用です。局所麻酔を行わずに超音波でしこりを確認しながら、乳腺に細い針を刺して、細胞を採取します。一方、触知できない石灰化病変や悪性が疑われる腫瘤(しこり)は、細胞診を行わずに、組織診を行います。組織診はやや太い針を使用するため、局所麻酔を行います。バネ式の針を使用する針生検や、より多くの組織を採取できる吸引式乳房組織生検があります。ほとんどの場合は診断がつきますが、診断が難しかった場合に、しこり全体を切除する摘出生検を行う場合があります。細胞診や組織診で採取した細胞や組織は顕微鏡で検査を行うため、結果が出るまでに1-2週間程度かかります。

乳がんの精密検査費用は?

乳がんの精密検査は保険診療です。費用は保険の種類によって1~3割の自己負担となります。マンモグラフィと乳腺超音波検査を行った場合、3割負担で約3,500~5,000円程度です。造影MRI検査は約7,000~13,000円です。細胞診は約3,000円、組織診は針生検の場合は約8,000円、吸引式乳房組織生検の場合は約23,000円です。乳がんの診断となり、組織診でホルモン受容体やHER2の免疫組織化学法を行った場合は、さらに追加費用が発生します。

乳がんの精密検査は婦人科?乳腺外科?何科の病院で受けられる?

乳がんの精密検査は乳腺外科で受けることができます。婦人科では乳がんの精密検査は行いません。お近くのブレストクリニックや乳腺外科のある病院で精密検査が可能かどうかお問い合わせください。

乳がんの精密検査結果の見方

マンモグラフィ検査の結果は5段階に分類されます。
カテゴリー1:「異常なし」、カテゴリー2:「良性」、カテゴリー3:「良性、しかし悪性を否定できず」、カテゴリー4:「悪性疑い」、カテゴリー5:「悪性」です。
腫瘤(しこり)や石灰化などの所見を総合的にみて、最終的なカテゴリーを決定します。マンモグラフィ検査で、左右の乳房で非対称な腫瘤よりも淡い影がうつるFAD(局所的非対称性陰影)はカテゴリー3となり、乳腺超音波検査で病変があるかどうかを確認する必要があります。また、構築の乱れがある場合の多くはカテゴリー4となり、さらに検査する必要があります。乳腺超音波検査でもマンモグラフィ検査と同様に、腫瘤などの所見をカテゴリー1~5の5段階で判定します。造影MRI検査では、カテゴリー1~5に加えて、カテゴリー6:「生検で悪性と診断されている」の6つに分類します。また、細胞診の結果は、正常あるいは良性、鑑別困難、悪性の疑い、悪性に分類されます。採取された細胞が少ない、または損傷があるなどの理由で診断が難しい場合は、検体不適正となります。細胞診で検体不適正や悪性の可能性が否定できない場合は、組織診が必要となります。組織診では検体が適正であった場合、浸潤性乳管癌や線維腺腫などというように確定診断の結果がでます。

乳がんの精密検査で発見できる病気

ここではMedical DOC監修医が乳がんの精密検査で発見できる病気・疾患について解説します。

乳がん

乳がんは乳腺の組織に発生する悪性腫瘍です。乳腺は乳管と小葉からできており、多くは乳管から発生します。主な症状は乳房のしこりです。乳がんの発生には、女性ホルモンが関係しています。経口避妊薬やホルモン補充療法、初経が早い、閉経が遅い、出産歴がない、初産年齢が高い、授乳歴がないなどが乳がん発症リスクを高めます。飲酒、喫煙、閉経後の肥満などの生活習慣も乳がん発症リスクを高めます。また、血縁者に乳がんの方がいる女性は乳がん発症リスクが高いです。遺伝性乳がんの多くでBRCA1遺伝子またはBRCA2遺伝子の変異があることがわかっています。治療は、手術、放射線治療、薬物療法(内分泌療法、化学療法、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害剤)などがあります。しこりなどの症状がある場合は、早めに乳腺科を受診しましょう。乳がんは早期発見、早期治療で完治できる病気なので、乳がん検診を受けて症状が出る前に対処することが大切です。

乳腺線維腺腫

線維腺腫は10歳代後半から40歳代の人に多い良性腫瘍です。女性ホルモンのバランスが原因ではないかと考えられています。ころころとよく動くしこりです。しこりに気が付いた段階で乳腺科を受診しましょう。画像検査や針生検などで線維腺腫と診断された場合は、治療は必要ありません。しかし、しこりが大きくなった場合は、摘出手術を行うことがあります。

乳腺症

乳腺症は乳腺の良性変化の総称で、30~40歳代に多いです。囊胞(のうほう)、乳管内乳頭腫、腺症などのさまざまな病態を含みます。症状として乳房のしこり、硬結、痛み、乳頭分泌などを自覚する場合があります。乳腺症は女性ホルモンが関係しており、閉経後に症状がなくなることが多いです。乳腺症は特に治療は必要ありません。硬結や痛みは月経前に増大し、月経後に縮小します。月経周期と関係のないしこりがある場合は、早めに乳腺科を受診することをおすすめします。

「乳がんの精密検査」についてよくある質問

ここまで精密検査について紹介しました。ここでは「乳がんの精密検査」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

乳がん検診が要精密検査の場合すぐに精密検査を受けるべきですか?

山田 美紀山田 美紀 医師

乳がん検診で「要精密検査」の場合は、なるべく早く精密検査を受診しましょう。乳がんは早期発見、早期治療で完治を望める病気ですので、早めに行動することが重要です。また、要精密検査となった方の大半は良性の診断です。良性であっても定期検査など今後の対処を専門家と相談することが大切です。

検診で乳がんの精密検査を薦められたらブレストクリニックを選ぶべきですか?

山田 美紀山田 美紀 医師

どこで精密検査をうけるべきか、病院選びに悩まれると思います。まずはお近くのブレストクリニックの受診をおすすめします。ブレストクリニックで精密検査をした結果、万が一乳がんの診断となった場合、乳腺外科のある病院に紹介状を書いてもらい、手術などの治療を行います。

乳がんの精密検査は細胞診・組織診などの生検が必要ですか?

山田 美紀山田 美紀 医師

画像検査では良性か悪性かの判断が難しい場合に、細胞診や組織診が必要になります。要精密検査になった方全員に必要ではありません。良性を疑うしこりの場合は、侵襲が少なく、費用も少ない細胞診を行うことが多いです。触知できない石灰化病変や悪性を疑うしこりに対しては細胞診は行わずに、組織診を行うことが多いです。

乳がんの精密検査結果が異常なしの確率はどれくらいですか?

山田 美紀山田 美紀 医師

要精密検査=乳がんでは決してありません。カテゴリー3(良性、しかし悪性を否定できず)以上を要精密検査とします。2021年のデータで精密検査の結果、乳がんと診断された方は乳がん検診受診者の0.33%、精密検査受診者のうちの5.25%でした。95%程度の割合で異常なしとなります。

乳がんの精密検査結果はどれくらいで出ますか?

山田 美紀山田 美紀 医師

マンモグラフィや乳腺超音波検査は当日中に結果が出ます。細胞診や組織診などを行った場合は顕微鏡で病理診断を行うため、約1~2週間後に結果がでます。

乳がんの精密検査は痛いですか?

山田 美紀山田 美紀 医師

細胞診や組織診などの針を刺す検査では多少の痛みを伴います。細胞診は細い針を使用するため、麻酔を行いません。組織診ではやや太い針を使用するため、局所麻酔を行ってから検査します。痛いと感じるかどうかは個人差がありますが、各医療機関では最大限に和らげる配慮を行って検査をしますので、ご安心ください。

まとめ 乳がんの精密検査で乳腺の病気リスクを早期発見

乳がんの精密検査の内容や流れ、病院選びや費用についてご紹介しました。乳がんは早期発見と早期治療で完治できる病気です。まずは乳がん検診を受け、要精密検査の判定となった場合はなるべく早く乳腺外科を受診することが大切です。要精密検査となった方のうち、ほとんどは良性ですが、専門家と相談し、適切にフォローしていくことが重要です。

「乳がんの精密検査」の異常で考えられる病気

「乳がんの精密検査」から医師が考えられる病気は3個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

乳がん検診で悪性を否定できない腫瘤や石灰化などの異常所見がみつかった場合、「要精密検査」となります。精密検査を受診し、乳がんと診断される割合は約5%です。その他、乳腺線維腺腫や乳腺症などの良性乳腺疾患が指摘されることがあります。

この記事の監修医師