健康診断で「中性脂肪が低い」と言われたら病気の可能性が?医師が徹底解説!
健康診断で中性脂肪が低いと言われたらどうすべき?Medical DOC監修医が血液検査の見方や基準値・主な原因と病気のリスク・対処法などを解説します。
監修医師:
金 仁星(医師)
化粧品検定2級、英語発音指導士® 所有
目次 -INDEX-
健康診断・血液検査で「中性脂肪が低い」と診断されたときに考えられる原因と対処法
「中性脂肪が低い」と健康診断で指摘されたことはありますか?中性脂肪は、私たちの体がエネルギーとして利用するために蓄えられている脂質の一種で、体に必要な物質です。
この記事では、中性脂肪が低いと診断されたときに考えられる原因とその対処法について解説します。
中性脂肪が低いと診断されたときに考えられる原因と病気のリスク・対処法
中性脂肪が低いと診断された場合、以下のような原因と病気のリスク、対処法が考えられます。症状の特徴としては、疲れやすさや慢性的な疲労感があります。また、体温調節の異常や末端の冷えも起こることがあります。
すぐにできる処置としては、食事に十分な脂質を摂取することが重要です。栄養バランスの良い食事を心掛けましょう。脂肪分に溶け込んでいる脂溶性ビタミン(ビタミンA、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンD)の吸収を促すために、脂質が必要になります。
考えられる病気や原因としては、食事制限や極度のダイエット、アスリート並みの運動による過度な脂肪消費、肝機能の問題、女性ホルモンや甲状腺の病気が挙げられます。
日常生活で気を付けるポイントとしては、バランスの良い食事や適度な運動を心掛けることが大切です。過度な食事制限や極端な運動は避け、体内に必要なエネルギーをしっかりと供給することが必要です。また、健康診断などで異常値が指摘された場合は、専門医の診察を受けることをおすすめします。
太っていて中性脂肪が低いと診断されたときに考えられる原因と病気のリスク・対処法
中性脂肪が低く、同時に太っている場合、以下のような状況が考えられます。まず、太りすぎで中性脂肪が減少している可能性があります。過度な食事制限や偏った食事により、脂肪摂取量が不足し、中性脂肪値が低下することがあります。また、代謝異常や甲状腺の問題などが原因で、体が脂肪をうまく処理できない可能性も考えられます。
中性脂肪の値が低い場合に気を付けるべきポイントは、食事に注意することです。適度な脂質摂取を心がけ、バランスの取れた食事を意識しましょう。また、身体活動も重要です。適度な運動や筋力トレーニングを行い、代謝を促進させることが大切です。
中性脂肪の値が低い状態で太っていると、心血管疾患や糖尿病のリスクが高まる可能性があります。このため、定期的な健康診断を受け、必要があれば追加の検査を行いましょう。実際の原因や病気のリスクは個人によって異なるため、専門医のアドバイスを受けることが重要です。
日常生活では、バランスのとれた食事や適度な運動を継続することがポイントです。また、ストレスを溜めすぎないように心がけ、十分な睡眠を取ることも大切です。健康的な生活習慣を整えることで、中性脂肪や体重を適正な値に近づけることができます。
中性脂肪が低くコレステロールが高いと診断されたときに考えられる原因と病気のリスク・対処法
中性脂肪が低くコレステロールが高い場合は、食事バランスの乱れやストレス、甲状腺の異常などが原因と考えられ、心臓病や肝疾患のリスクもあります。症状としては、体調の悪さ、疲れやすさ、眠気などが挙げられます。
すぐにできる対処法としては、栄養バランスのとれた食事を心がけ、脂肪分の多い食べ物は控えめにすることが必要です。特に、悪玉コレステロールとなる食べ物は極力避けるようにしましょう。
日常的な生活で注意すべき点としては、食生活の見直し、適度な運動、充分な睡眠、ストレスの発散などがあります。また、中性脂肪が低い場合、食べ過ぎや運動不足のみならず、何らかの内臓疾患や消耗性の疾患、さらにはカロリー不足で栄養状態が悪化していることも考えられます。このため、症状が続く場合や、体調不良が伴う場合には、早急に医療機関を受診し、精密検査を行うことをおすすめします。
中性脂肪が低く体脂肪率が高いと診断されたときに考えられる原因と病気のリスク・対処法
「中性脂肪が低く体脂肪率が高い」状態は、極端な食事制限や過度な運動が原因であることが多いです。体脂肪率が高い場合、肥満や内臓脂肪症候群のリスクも上がります。症状としては、疲れやすさや食欲不振、動悸、便秘などが見られます。
直ちにできる処置としては、一日三回のバランスの良い食事を心掛け、適度な運動を行うことが重要です。特に、糖質や脂質を適度に含む食事を摂ることで、中性脂肪の値を安定させることができます。
この症状には、甲状腺機能亢進症や腎臓病、ストレス、うつ病などの病気が隠れている可能性もあります。したがって、症状が続く場合は医療機関を受診しましょう。
また、日常生活で気をつけるポイントとしては、適度な体重管理と健康的な食生活、ストレスの管理、そして十分な睡眠を取ることが大切です。これらが、中性脂肪の値と体脂肪率のバランスを整えるための基本となります。
中性脂肪が低く血糖値が高いと診断されたときに考えられる原因と病気のリスク・対処法
「中性脂肪が低く、血糖値が高い」という病状は、食事制限やストレス、あるいは甲状腺の異常やがんなどが原因となる場合があります。疲れやすさや眠気、体脂肪率の高さなどが症状として現れることがあります。
すぐにできる処置は、バランスの良い食事や適度な運動、十分な睡眠を意識することです。また、血糖値が高い場合は糖尿病のリスクが考えられますので、食生活の見直しや定期的な健康診断が重要です。日常生活で注意すべきこととしては、ストレスを溜めず、特に糖分の摂取を控えることが挙げられます。また、症状が改善しない場合は、早めに医療機関で再検査を受け、必要に応じて精密検査を受けることも大切です。
中性脂肪が低く疲れやすいと診断されたときに考えられる原因と病気のリスク・対処法
中性脂肪が低く、疲れやすい場合、体内のエネルギー源が不足している可能性があります。甲状腺や女性ホルモンの異常、ストレスや過度なダイエットが原因であることもあります。最も重要なのは、適切な食事と休息です。バランスの良い食生活を心掛け、必要な脂質を摂取しましょう。また、睡眠時間を確保することも大切です。改善しない場合や、他の症状が見られる場合は、再検査や専門医による診断が必要です。日常生活では、食事や睡眠の質、運動習慣を見直すこと、例えば無理なダイエットは避け、ストレス管理に努めましょう。
健康診断の「中性脂肪」の数値の見方と再検査が必要な中性脂肪が低い診断結果
ここまでは診断されたときの原因と対処法を紹介しました。
再検査・精密検査を受診した方が良い結果がいくつかあります。
以下のような診断結果の場合にはすぐに病院に受診しましょう。
健康診断・血液検査の「中性脂肪」の基準値と結果の見方
中性脂肪の基準値は男性で50〜150mg/dL、女性で30〜150mg/dLとされています。特に、20mg/dL未満だと低い、と診断されます。基準値を下回ると体のエネルギー不足や栄養失調、その他の病気の可能性も考慮に入れなければなりません。この場合、再検査や精密検査が必要となるでしょう。
基準値と再検査対象の数値は以下の通りです。
基準範囲 | 要注意 | 異常 |
---|---|---|
30~149mg/dL | 150~499mg/dL | 29mg/dL以下 500mg/dL以上 |
健康診断・血液検査の「中性脂肪が低い」ときの数値と再検査内容
中性脂肪の値が低い場合、再検査や精密検査が必要となることがあります。再検査は早めに行うことが望ましいですが、具体的な期間は病状によります。同じ症状でも背後にある病気の種類や進行度により、再検査や治療の緊急度が異なるからです。再検査結果によって、治療の必要性や内容も変わってきます。特にがんや甲状腺疾患、心臓疾患のリスクがある場合、精密検査の結果によって適切な治療が必要となる場合もあります。
健康診断・血液検査の「中性脂肪が低い」診断・数値の異常で気をつけたい病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「中性脂肪が低い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
低中性脂肪血症(低脂血症)
「低中性脂肪血症」は、血液中の中性脂肪レベルが通常より低い状態を指します。原因はさまざまで、栄養不足や消化器系の疾患、代謝異常などが挙げられます。ストレスや病気が関連して中性脂肪が低下することもあります。治療法は原因によりますので、すぐに一概に決めることは難しいのですが、栄養の摂取を改善したり、既存の合併症を治療したりすることが想定されます。総じて、中性脂肪が持続的に低い場合、または身体的不調が伴う場合は、病院へ行って専門家の意見を求めることをおすすめします。内科や消化器内科が適切な受診先といえるでしょう。低中性脂肪血症の根本的な原因となっている可能性のある疾患を診断、治療することが重要になります。
副腎皮質機能低下症(アジソン病)
副腎皮質機能低下症(アジソン病)は、慢性的に副腎が正常な機能を果たせない状態です。原因は副腎皮質ステロイド合成酵素の欠損や先天性副腎低形成などが考えられます。治療法としては、低下したホルモンを補うホルモン補充療法が主になります。症状が現れてから病院への受診が遅れると、体調を崩す原因になるため、中性脂肪が低いという検査結果が出た場合、その他の病気の可能性について医師に相談することをおすすめします。受診するべき科は内科や内分泌科で、精密検査としてホルモン検査などが行われます。診断がついた場合には適切な治療を行うことが大切です。
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)とは、甲状腺が過剰にホルモンを分泌することで、代謝が高まりすぎる病気です。原因は自己免疫の異常で、遺伝やストレスなどが関係しています。中性脂肪が低いのは、体内の脂肪がエネルギーとして消費されるためです。この病気は、薬物療法や放射性ヨウ素治療、手術などで治療できますが、早期発見・早期治療が重要です。症状としては、手の震えや動悸、発汗、体重減少、眼球突出などがあります。もし中性脂肪が低いだけでなく、これらの症状にも当てはまる場合は、内科や甲状腺専門の医師に相談してください。
「中性脂肪が低い」ときの正しい対処法・改善法は?
食事や運動、ストレスなどが原因であることが多いので、まずは生活習慣の見直しをします。食事はバランスよく摂って、ダイエットや断食はやめましょう。運動は適度にして、無理はしないでください。ストレスはなるべくため込まないようにしましょう。健康診断を定期的に受けて、中性脂肪以外の数値もチェックし、異常があれば、医師に相談して検査を受けましょう。
中性脂肪が低いときには、体温が下がったり疲れやすくなったりします。暖かくして、冷えを防ぎましょう。温かい飲み物やスープも良いです。
またビタミンA,D,E,Kなどの脂溶性の栄養素を旨く吸収できなくなるため、長く続くと肌荒れを起こしたり、白髪が増えたり、免疫力が低下するなど、さまざまな不調を起こす可能性があります。
中性脂肪を上げるには、脂質や糖質を多く含む食事や飲み物が必要です。でもそれだけでは健康に悪いので、バランスよく摂ることが大切です。おすすめの食事や飲み物はこちらです。
– 脂質:オリーブオイルやナッツ類などの良い油を使った料理やサラダなどを食べましょう。動物性の油は悪玉コレステロールを増やすので、少なめにしましょう。
– 糖質:果物や野菜などの自然の糖質を食べましょう。お菓子やジュースなどの加工された糖質は血糖値を上げるので、控えめにしましょう。
– 飲み物:水やお茶などの無糖の飲み物を飲みましょう。アルコールは中性脂肪を上げますが、肝臓に負担がかかります。飲む場合は、ビールや日本酒などの低アルコールのものを選びましょう。
睡眠やストレス緩和やリラックスは、中性脂肪のバランスを整えるために重要です。睡眠不足やストレスは、ホルモンの分泌を乱し、中性脂肪の低下を引き起こします。睡眠やストレス緩和やリラックスの方法はこちらです。
– 睡眠:毎日6~8時間の睡眠をとりましょう。寝る前には、カフェインや刺激物を避けて、リラックスできる環境を作りましょう。温かいお風呂に入ると、眠りやすくなります。
– ストレス緩和:ストレスを感じたら、深呼吸やストレッチでリフレッシュしましょう。音楽を聴いたり、友人と話したりすることも良いです。趣味や楽しいことを見つけて、自分の時間を大切にしましょう。
– リラックス:リラックスする方法は人それぞれですが、マッサージやアロマセラピーなどもおすすめです。
上記の対処法・改善法を実践しても症状が改善しない場合は、背景に病気が隠れている場合があるので医師に相談してください。
「中性脂肪が低い」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「中性脂肪が低い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
健康診断で中性脂肪が低いと言われたら病気の危険性がありますか?
金 仁星 医師
がんや甲状腺機能亢進症などの病気や、ストレスやうつなどの精神的な問題、食事の偏りや過度なダイエットなどの生活習慣が原因で中性脂肪が低くなっている可能性があります。中性脂肪が低いだけでは病気と断定できませんが、他の数値や症状と合わせて判断する必要があります。中性脂肪が低い場合は、精密検査を受けることをおすすめします。また、食事や運動などの改善方法についても医師に相談してください。
中性脂肪が基準値より低い場合どんな改善方法がありますか?
金 仁星 医師
中性脂肪が基準値より低い場合、まずは原因を探る必要があります。中性脂肪が低いということは、体内でエネルギーの代謝がうまく行われていない可能性があります。原因としては、がんや甲状腺機能低下症、うつ病などの病気や、ストレスや過度のダイエットなどの生活習慣が考えられます。原因に応じて適切な治療や対策を行うことが大切です。また、中性脂肪が低いとコレステロールも低くなりやすく、免疫力の低下や動脈硬化のリスクが高まります。そのため、バランスの良い食事を心がけることも必要です。改善しない場合は、再検査や精密検査を受けることをおすすめします。
中性脂肪が低く精密検査を受ける場合は何科を受診したらよいですか?
金 仁星 医師
中性脂肪が低いということは、体内のエネルギー源が不足している可能性があります。その原因は病気やストレス、食生活などさまざまです。一般的には、内科や消化器科、内分泌内科、腎臓科などが関係することが多いです。中性脂肪が低いことは見過ごせないサインですので、早めに医師の診断を受けてください。
ストレスが原因で中性脂肪が低いことはありますか?
金 仁星 医師
ストレスが原因で中性脂肪が低くなることはあります。ストレスは自律神経のバランスを崩し、代謝を低下させることがあります。その結果、中性脂肪の生成や分解が正常に行われなくなり、血液中の中性脂肪が低くなる可能性があります。強いストレスが続くと、免疫力の低下や心身の不調につながることもありますので、適度な休息やリラックス法を取り入れることが大切です。また、ストレスだけでなく、他の病気や食生活の乱れなども中性脂肪が低い原因になることがありますので、不調が続く場合は医師に相談しましょう。
女性で健診結果の中性脂肪が低いことと検査日の生理は関係しますか?
金 仁星 医師
中性脂肪が低いことと生理は関係があります。生理中は女性ホルモンによって中性脂肪の値に影響することがあります。しかし、生理が終わっても中性脂肪が低いままだと、病気の可能性もあります。中性脂肪が低いと、肌荒れや白髪、うつや疲れやすさなどの不調を引き起こす可能性もあります。そのため、生理中以外でも中性脂肪が低い場合は、精密検査を受けることをおすすめします。
編集部まとめ
健康診断で「中性脂肪が低い」と言われた場合、それは必ずしも良いことではありません。中性脂肪が低い場合は背景になんらかの病気が潜んでいる可能性があります。また、ストレスや食生活の乱れ、運動不足などが原因で中性脂肪が低くなることもあります。中性脂肪が低いということは、体に必要なエネルギー源が不足しているということです。そのため、疲れやすくなったり、肌荒れや白髪が増えたりすることもあります。健康診断で「中性脂肪が低い」と言われたら、再検査を受けて原因を調べることが大切です。また、バランスの良い食事や適度な運動を心がけて、中性脂肪の値を正常に保つことが必要です。
自己判断せずに医師に相談するようにしましょう。
「中性脂肪が低い」の異常で考えられる病気
「中性脂肪が低い」から医師が考えられる病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
消化器科の病気
- 肝硬変
- 肝機能障害
精神科・心療内科の病気
上記の疾患が中性脂肪の低下を来す可能性のある代表的な疾患ですが、原因はさまざまです。心配な場合は自己判断せず、医師に相談するようにしましょう。