「大腸がん検診」の検査内容とは?内視鏡検査との違いなど医師が解説!
大腸がん検診で何がわかる?Medical DOC監修医が消化器内科や健康診断の大腸がん検診で発見できる病気や検査結果の見方・再検査の内容などを解説します。
監修医師:
金 仁星(医師)
化粧品検定2級、英語発音指導士® 所有
目次 -INDEX-
大腸がん検診とは?
大腸がん検診とは、大腸がんの早期発見や予防のために行われる検査です。大腸がんは、大腸の内壁にできるポリープと呼ばれるしこりが悪性化することで発症します。ポリープは初期段階では自覚症状がないことが多いので、定期的に検査を受けることが重要です。具体的にどのような検査があるのか解説していきます。
大腸がん検診とはどんな検査?
大腸がん検診とは、大腸にがんがあるかどうかを調べる検査です。大腸がんは早期に発見すれば治療が可能な病気ですが、症状が出るのは進行してからのことが多いです。だからこそ、定期的に検診を受けることが大切です。
大腸がん検診には、便に隠れた血を調べる便潜血検査と、内視鏡で直接大腸の内部を見る内視鏡検査の2種類があります。便潜血検査は自宅で便を採取して病院に送る方法と、病院で便を採取する方法があります。内視鏡検査は、前日から下剤を飲んで腸をきれいにし、当日は絶食して病院に行きます。内視鏡は肛門から挿入され、大腸全体を観察します。異常が見つかった場合は、その場で生検やポリープの切除などの処置が行われます。
大腸がん検診の費用・保険適用の有無
大腸がん検診の費用は、便潜血検査で約500円から1,000円程度、内視鏡検査で約1万円から3万円程度です。ただし、これらの費用は、自治体や医療機関によって異なります。また、年齢や収入などの条件によっては、無料や割引で受けられる場合もあります。
大腸がん検診は、一般的には自費で受ける必要があります。しかし、40歳以上の人は、国の健康保険制度の一環として、便潜血検査や内視鏡検査などの大腸がん検診を費用補助ありで受けることができます。自治体や医療機関によって提供される内容や負担金額が異なるので、詳しくは自分の住む地域の保健所や市町村役場に問い合わせてください。
大腸がん検診はいつから・何歳からどれくらいの頻度で受けるべき?
大腸がんは、早期に発見すれば治療が可能な病気ですが、進行すると命に関わることもあります。大腸がん検診は、一般的には40歳から受けることが推奨されています。便潜血検査で陽性となった場合や、便の形や色に変化がある場合は、内視鏡検査を受ける必要があります。内視鏡検査とは、カメラ付きの細い管を肛門から入れて大腸の内部を直接見る検査です。内視鏡検査は、2年に1回程度の頻度で受けることが勧められています。大腸がん検診は、自分の健康状態や家族歴などによっても変わる場合がありますので、かかりつけの医師に相談してください。
大腸がん検診の種類
大腸がん検診には、便潜血検査と内視鏡検査の二つの方法があります。前述の通り、便潜血検査は、便に血が混じっているかどうかを調べる検査です。内視鏡検査は、内視鏡を肛門から入れて、大腸の内部を直接観察できる検査です。この二つの検査には、それぞれメリットとデメリットがあります。
便潜血検査による大腸がん検診
便潜血検査とは、便に隠れている血液を検出する検査です。大腸がんは、腫瘍が出血しやすいので、便に血液が混ざることがあります。便潜血検査では、この血液を見つけることで、大腸がんの可能性を判断します。便潜血検査は、自宅で行うことができます。検便のやり方ですが、検査キットをもらって便を採取して、専用の紙につけて色が変わるかどうかを確認します。色が変わった場合は、便に血液があるということです。その場合は、詳しい検査を受ける必要があります。便潜血検査は、簡単で安価な大腸がん検診の方法です。
内視鏡検査による大腸がん検診
内視鏡検査は、大腸の内部を直接観察することで、がんやその前段階のポリープを見つける検査です。検査では、細い管状のカメラ付きの器具を肛門から挿入し、大腸の壁を映像で確認しながら進めていきます。検査中にポリープが見つかった場合は、その場で切除することもできます。内視鏡検査は、大腸がんの早期発見に有効な方法ですが、絶食の上、下剤や浣腸などで事前に大腸をきれいにする必要があります。また、検査には痛みや不快感が伴うこともあります。検査時間は約15分から30分程度ですが、切除などの処置が必要な場合にはさらに時間がかかる場合もあります。
大腸がん検診の結果の見方と要精密検査と言われたら
ここまでは大腸がん検診について基本的なことを紹介しました。
再検査・精密検査を受診した方が良い結果がいくつかあります。
以下のような診断結果の場合にはすぐに病院に受診しましょう。
大腸がん検診の結果・判定の見方
大腸がん検診の結果は、検査した便に血液が混じっているかどうかで判定されます。血液が混じっている場合は、大腸に何らかの異常がある可能性が高くなります。検査結果は、陽性(+)や陰性(-)で表されます。通常、2日に分けて検査が行われますが、1日でも陽性となった場合には精密検査が勧められます。大腸ポリープや炎症性腸疾患などが原因の場合もありますが、これらは大腸がんの原因になることもありますので、早期発見・治療が重要です。
大腸がん検診の再検査・精密検査内容
大腸がん検診で要精密検査と言われた場合、再検査・精密検査を受ける必要があります。再検査・精密検査では、大腸内視鏡検査という方法で、大腸の内部をカメラで直接見て、異常な部分があるかどうかを確認します。また、異常な部分が見つかった場合は、その部分を切り取って病理検査を行います。これらの検査は、大腸がんの早期発見・治療のために非常に重要です。できるだけ早く受けることをおすすめしますが、最長でも2ヶ月以内に受けるようにしてください。再検査・精密検査の結果によっては、手術や抗がん剤などの治療が必要になる場合があります。その際は、医師と相談しながら最適な治療法を選択してください。
大腸がん検診でわかる病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「大腸がん検診」で発見できる病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
大腸がん
大腸がんとは、大腸の粘膜にできる異常な細胞の塊(腫瘍)が悪性化した病気です。がん別の診断された数では男性女性ともに二番目に多いがんです。発症の原因は、遺伝的な要素や食生活、喫煙などが関係しています。大腸がんは早期に発見すれば内視鏡のみでの治療が可能ですが、進行すると手術や抗がん剤などの治療が必要になります。また、転移や合併症のリスクも高まります。大腸がん検診では、便中に隠れた血を検出する便潜血検査や、内視鏡を使って大腸の内部を直接観察する大腸内視鏡検査などが行われます。便潜血検査で陽性反応が出た場合や、下血、便秘、下痢、おなかの痛みなどの症状がある場合は、早めに消化器内科や外科などの専門医に受診しましょう。
直腸がん
直腸がんとは、直腸の粘膜にできる悪性腫瘍のことです。発症の原因は、遺伝的な要素や食生活、喫煙などが関係しています。直腸がんは、早期に発見すれば根治治療が可能です。治療法は、手術や放射線治療、抗がん剤などがあります。大腸がん検診では、便中に隠れた血を調べる便潜血検査や、直腸内の様子を見る内視鏡検査などが行われます。便潜血検査で陽性反応が出た場合や、便の形や量に変化がある場合は、内視鏡検査を受けることをおすすめします。内視鏡検査で直腸がんが確認された場合は、消化器外科や大腸肛門科などの専門医に相談してください。
大腸ポリープ
大腸ポリープとは、大腸の内壁にできるイボのようなものです。ほとんどの場合は良性ですが、放置すると悪性化する可能性があります。原因は、遺伝や加齢、食生活などが関係しています。自覚症状はほとんどありませんが、便に血が混じることがあります。大腸がん検診では、便潜血検査や内視鏡検査で大腸ポリープを発見できます。大腸ポリープの対処法は、内視鏡で切除することです。切除後は定期的に再発の有無を確認する必要があります。大腸ポリープが見つかった場合は、消化器内科や外科などの専門医に相談してください。
「大腸がん検診」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「大腸がん検診」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
大腸がん検診は何歳から受けた方がいいですか?
金 仁星 医師
大腸がん検診は、大腸がんの早期発見や予防に効果的な検査です。一般的には、40歳から受けることが推奨されています。しかし、家族に大腸がんの方がいる場合や、炎症性腸疾患などのリスク因子がある場合は、もっと早く受ける必要があります。自分のリスクレベルに応じて、医師と相談して受ける時期を決めましょう。大腸がん検診は、便潜血検査や内視鏡検査などの方法があります。どの方法が自分に適しているかも、医師と相談して決めましょう。
大腸がん検診は便潜血検査と内視鏡検査どちらも受けた方がいいですか?
金 仁星 医師
便潜血検査は簡単で安価ですが、大腸がんの早期発見には限界があります。内視鏡検査はより精度が高く、大腸ポリープなどの前がん病変も除去できますが、費用や負担が大きいです。そのため一般的には、便潜血検査で陽性となった場合や、家族歴や遺伝性のリスクが高い場合には内視鏡検査を受けることをおすすめします。自分に合った検診方法を選ぶためには、医師と相談することが大切です。
大腸がん検診は大腸がん以外の病気も発見できますか?
金 仁星 医師
大腸がん検診は、大腸がんだけでなく、その前段階となるポリープや炎症性腸疾患などの病気も発見できます。ポリープは、大腸の内壁にできるイボのようなもので、放置すると大腸がんに進行する可能性があります。炎症性腸疾患は、大腸の粘膜が炎症を起こす病気で、長期間にわたって慢性的に炎症が続くと大腸がんのリスクが高まります。大腸がん検診では、便中に隠れた血液を調べたり、内視鏡で直接大腸の内部を観察したりして、これらの異常を見つけることができます。
大腸がん検診は保険適用されますか?
金 仁星 医師
一般的には健康保険の適用範囲内で受けることができます。ただし、受けられる検査の種類や回数、負担金額などは、年齢や保険の種類によって異なります。詳しくは、かかりつけ医や保険者にお問い合わせください。また、自治体によっては、無料や割引で受けられる制度がありますので、住んでいる地域の保健所などにも確認してみてください。
大腸がん検診はどのくらいの頻度で受けるべきですか?
金 仁星 医師
一般的には、40歳以上の人は、毎年定期的に便潜血検査を受けることが推奨されています。内視鏡検査は3~5年に1回程度受けることが望ましいとされています。
まとめ 大腸がん検診で大腸がんはじめ大腸の病気を早期発見!
この記事では、大腸がん検診の重要性と内容ついて説明しました。大腸がんは早期発見すれば根治が期待できる病気ですが、進行すると命に関わることもあります。そのため、定期的に検診を受けることが重要です。大腸がんの症状は、便の色や形の変化、便血、腹痛、体重減少などです。これらの症状がある場合は、すぐに検診を受ける必要があります。また、年齢や家族歴によっても検診の頻度や方法が異なります。一般的には、40歳以上の人は毎年便潜血検査を受けることが推奨されています。対象の方は忘れずに検診を受けるようにしましょう。
「大腸がん検診」で発見できる病気
「大腸がん検診」から医師が考えられる病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
大腸がん健診では大腸がん以外にもこれらの疾患が見つかる可能性があります。いずれも早期発見が重要な疾患ですので、毎年の検診をお勧めいたします。
参考文献