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「子宮頸がん検診」はがん以外もわかる?結果の見方や検査の流れを解説!

 公開日:2023/08/21
「子宮頸がん検診」はがん以外もわかる?結果の見方や検査の流れを解説!

子宮頸がん検診では何がわかる?Medical DOC監修医が子宮頸がん検診で発見できる病気や費用・再検査の内容などを解説します。

浅野 智子

監修医師
浅野 智子(医師)

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日本産科婦人科学会専門医。手術とお産と患者さんとの会話が好きな女医。市民病院や大学病院の勤務、個人病院の当直などで様々な経験を積む。

子宮頸がん検診とは?

そもそも検診って必要なの?と思っている方も。必要とは思いつつ時間がないし痛そうだし、と気が引けている方も。
今回は子宮頸がん検診について解説していきます。

まず子宮のがんには、子宮の入り口付近に発生する子宮頸がんと、子宮内膜から発生する子宮内膜がん(子宮体がん)の二種類があり、これらは全く別の病気です。
子宮頸がんは20代から40代までの若い女性におおく、近年は罹患率も死亡者数も増えています。
子宮頸がんの原因の95%以上は、HPV(ヒトパピローマウイルス)であると分かっています。HPVはヒトにのみ感染できるウイルスで、200種類以上の型が判明しています。その中でも特にがんから検出されるHPVをハイリスクHPV、尖圭コンジローマなどの良性の病気から検出されるHPVをローリスクHPVと呼びます。
性交渉経験がある人の約80%はHPVに感染したことがありますが、そのうちごく一部が数年から10数年の時間をかけて異形成とよばれる前がん病変に移行します。さらに異形成の90%ほどは自然免疫で排除されます。異形成から進行するとがんになります。

早期の子宮頸がんは自覚症状がなく、進行してから不正出血や帯下異常、腹痛などの症状が見られます。

子宮頸がん検診とはどんな検査?

子宮頸がん検診に事前の準備は必要ありません。
膣から診察しますので、下着をとり内診台に座ると自動で内診台が動き砕石位という体勢になります。検査をする子宮頸部は膣の奥にあるので、膣を少し広げて見やすくします。性交渉経験や経膣分娩経験がないと、このときに痛みを感じることがあります。緊張して力が入ると検査が難しくなるので、口から息を吐きおなかとおしりの力を抜いてリラックスしましょう。
子宮頸部を視診した後、専用のブラシで軽くこすり細胞を採取し、それを顕微鏡で調べます。細胞を採取するので「細胞診」と呼ばれます。
検査自体は1分程度で終わります。
検査後に少量の出血が見られることがありますが問題ありません。大量出血が持続するときは病院を受診しましょう。

子宮頸がん検診の費用・保険適用の有無

検診は症状のない方に行う検査なので、保険適応ではありません。
しかし、自治体や会社から検診の案内とともに費用補助が出ることがありますので、ご自身で調べるのがよいでしょう。

子宮頸がん検診はいつから・何歳からどれくらいの頻度で受けるべき?

国が推奨しているのは、20歳以上の女性が、2年に一度の頻度で検診を受けることです。
市町村など自治体や会社から検診のお知らせが来ると思いますので、指定された医療機関を受診してください。

子宮頸がん検診で引っかかる確率(発見率)は?

厚生労働省が発表した平成30年(2018年)の子宮頸がん検診の受診者と要精密検査の状況では、受診者362万人に対して、要精密検査者数は82,306人(2.27%)、がんであった者は1,031人(0.028%)となっています。

子宮頸がん検診の結果の見方と要精密検査・異常ありと言われたら

ここまでは子宮頸がん検診について基本的なことを紹介しました。
再検査・精密検査を受診した方が良い結果がいくつかあります。
以下のような診断結果の場合にはすぐに病院に受診しましょう。

子宮頸がん検診の結果の見方(クラス・分類等)

クラス分類は従来より日本で使われていた判定方法でClassⅠ.Ⅱ.Ⅲaなどと表示されます。べセスタ分類は近年世界基準として使用されており、NILM,ASC-USなどと表示されます。
検査結果は、例えば「NILM(ClassⅡ)」といったようにベセスタ分類とクラス分類がともに表記されていることが多いです。
ベセスタ分類でそれぞれの検査結果の解釈を示します。

ベセスタ分見 検査結果の解釈
NILM 「陰性」 正常細胞のみ
ASC-US 異形成とまで言えないも、細胞に変化がある
ASC-H 高度な細胞異型の可能性がある
LSIL HPV感染や軽度異型性がある
HSIL 中等度異形成、高度異型性、上皮内癌の可能性がある
SCC 明らかな扁平上皮癌と考えられる

子宮頸がん検診の再検査内容

NILMは異常なしですので次回の定期検診で結構です。
ASC-USやそれ以上なら異常がありますので、早めに産婦人科を受診し詳しい検査をする必要があります。

大きく分けてベセスタ分類の結果が、ASC-USかそれ以外かでどのような検査をするか違います。

ASC-US→ハイリスクHPV検査を行います。子宮頸部から専用のブラシで採取します。ハイリスクHPVが検出された場合はコルポスコピー生検を行います。ハイリスクHPVが検出されなかった場合は1年後の細胞診となります。
ASC-US以外→コルポスコピー生検を行います。

コルポスコピー生検とは、コルポスコープ(膣拡大鏡)で子宮頸部の観察を行い、異常所見があれば一部の組織を採取して調べる検査です。細胞診はブラシで軽くこする検査でしたが、コルポスコープ生検は検査時間が少し長くなり、組織を採取する際に痛みを感じやすいのと、検査後の出血が起きやすいです。組織診の結果も2週間程度で判明します。

子宮頸がん検診でわかる病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「子宮頸がん検診」で発見できる病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

子宮頸がん

子宮の入り口付近に発生するがんを子宮頸がんと言います。20代から40代の女性に多い病気です。原因の95%以上はHPV感染です。
性交渉経験がある人の約80%はHPVに感染したことがありますが、そのうちごく一部が数年から10数年かけて異形成とよばれる前がん病変に移行します。さらに異形成の90%ほどは自然免疫で排除されます。異形成から進行するとがんになります。
子宮頸がんは初期では自覚症状がほとんどありません。かなり進行してから、不正出血や帯下異常、腹痛といった症状が出現します。このような症状があれば産婦人科を受診しましょう。

子宮筋腫

子宮筋腫は良性の病気で、約30%の女性に発症すると言われているとても身近な病気です。女性ホルモンによって成長するので、ホルモン分泌が盛んな30代から多く見られるようになり、閉経後には縮小します。
筋腫ができる位置によって、粘膜下筋腫、筋層内筋腫、漿膜下筋腫と分類されますが、必ずしも症状が出るわけではなく、大きさや個数、できる位置によって症状は非常に様々です。最も多い症状は生理の量が増え貧血になったり生理痛が強くなります。大きくなった筋腫が周囲の臓器を圧迫することで、頻尿や便秘、腰痛が出現することもあります。また流産や不妊症の原因にもなります。
上記のような症状があれば、診断や治療のために産婦人科を受診してください。問診、超音波検査、必要に応じてMRI検査をすることもあります。
治療法は、年齢や挙児希望の有無によってさまざまです。筋腫を小さくする薬物療法がありますがこれはあくまで筋腫を小さくするのもです。子宮筋腫のみを摘出する手術も再発の可能性があり、根治治療は子宮摘出となります。

子宮内膜症

本来子宮の内にある子宮内膜組織が、子宮の表面や卵巣などに定着することで起こると考えられています。子宮筋層内にできると子宮腺筋症、卵巣内にできるとチョコレート嚢胞があります。症状は月経困難症、性交痛、腹痛、腰痛などです。さらに不妊症や卵巣がんを引き起こすことも分かっています。
日常生活に支障が出るほどの月経困難症や貧血、不妊など気になることがあれば産婦人科を受診しましょう。病院では問診、内診、超音波検査が行われることが多いです。治療法は年齢や挙児希望の有無によって内服治療から手術治療までさまざまあります。特に低用量ピルは子宮内膜症に対して有効な薬ですが、年齢や喫煙習慣、がんがあると使えませんので、担当医とよく相談して決めましょう。

「子宮頸がん検診」についてよくある質問

ここまで検診の内容や発見できる病気などを紹介しました。ここでは「子宮頸がん検診」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

健康診断や婦人科の子宮頸がん検診は何歳から受けるべきですか?

浅野 智子浅野 智子 医師

日本で推奨されている子宮頸がん検診の対象は20歳以上の女性です。頻度は2年に1回です。

子宮頸がん検診の結果はどのくらいでわかりますか?

浅野 智子浅野 智子 医師

おおよそ2週間で細胞診の結果がわかります。

性行為が未経験の場合は子宮頸がん検診を受けなくてもいいですか?

浅野 智子浅野 智子 医師

性交渉経験のある人の約80%がHPVに感染するといわれます。性的接触で皮膚や粘膜にできた微小な傷から入り込むことで感染します。温泉やプールなどでは感染しません。
性行為が未経験の場合HPVに感染することはほとんどありませんが、HPV以外が原因の子宮頸がんもありますので、検診は受けましょう。

生理中に子宮頸がん検診を受けても問題ないでしょうか?

浅野 智子浅野 智子 医師

生理中の子宮頸がん検診は控えましょう。子宮内膜の細胞が採取されると判定が困難になることがあります。

まとめ 子宮頸がん検診で子宮の病気を早期発見

子宮頸がんは、HPVワクチンと検診で予防をし、また早期発見、早期治療が可能な病気です。
自治体などの補助を有効活用し、症状がなくても検診を受けましょう。

「子宮頸がん検診」で発見できる病気

「子宮頸がん検診」から医師が発見できる病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

内診で腹部を触ると、子宮筋腫を触れることがあります。また、子宮頸部ポリープは子宮頸部にできるもので、がん検診時に偶然見つかることが多いです。また性交渉時の出血が見られることもあります。摘出し病理検査を行います。

この記事の監修医師