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健康診断で「尿酸値が高い」と言われたら?医師が病気のリスクなどを徹底解説!

 公開日:2023/07/21
康診断で尿酸値が高いと言われたらどうすべき?Medical DOC監修医が検査結果の見方や基準値・主な原因と病気のリスク・対処法などを解説します。

健康診断で尿酸値が高いと言われたらどうすべき?Medical DOC監修医が検査結果の見方や基準値・主な原因と病気のリスク・対処法などを解説します。

村上 友太

監修医師
村上 友太(東京予防クリニック)

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医師、医学博士。福島県立医科大学医学部卒業。福島県立医科大学脳神経外科学講座助教として基礎・臨床研究、教育、臨床業務に従事した経験がある。現在、東京予防クリニック院長として内科疾患や脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、抗加齢医学専門医。日本認知症学会、日本内科学会などの各会員。

健康診断・尿検査で「尿酸値が高い」と診断されたときに考えられる原因と対処法

痛風発作を起こして辛い思いをした経験がある方はいらっしゃいませんか。
尿酸(Uric acid; UA)は新陳代謝の結果、プリン体から作られる老廃物です。尿酸値が高い場合、食事や運動不足などの生活習慣、遺伝的要因などが関与していますが、痛風や高尿酸血症、尿路結石などの疾患のリスクが高くなるため、対処が必要です。
この記事では、尿酸値が高い場合の原因や日常生活で注意すべきポイント、受診すべき診療科などについて解説していきます。

男性で尿酸値が高いと診断されたときに考えられる原因と病気のリスク・対処法

男性は女性に比べて尿酸値が高くなりやすいと言われています。
腎臓の機能低下や糖尿病などの病気がある場合には、尿酸値が高くなることがあります。病気の存在以外にも、プリン体を多く含む食事やアルコールの過剰摂取、肥満、ストレス、喫煙といった環境要因や遺伝要因などは、尿酸値を上昇させることがいわれています。尿酸値が異常に高い状態を高尿酸血症といい、長期間放置することで痛風、尿路結石などの疾患を引き起こすことや、血管へのダメージが蓄積することで腎臓病や虚血性心疾患のリスクが高まるということもいわれています。日常生活で気を付けるポイントは、食生活の改善やアルコールの制限、適度な運動、ストレスの軽減などです。

女性で尿酸値が高いと診断されたときに考えられる原因と病気のリスク・対処法

女性の場合、女性ホルモンの働きにより尿酸の排泄が促されるため、男性と比較して尿酸値は高くなりにくいと言われています。しかし、閉経後は女性ホルモンの低下によって尿酸値が高くなることがあります。また男性と同様に、食生活や肥満、過剰なアルコール摂取、ストレス、喫煙といった生活習慣や、遺伝的要因で尿酸値が高くなる場合もあります。
男性の場合と同様に、普段から食事や運動などの生活習慣を改善することが必要です。

健康診断の「尿酸値」の見方と再検査が必要な「尿酸値が高い」に関する数値・結果

ここまでは診断されたときの原因と対処法を紹介しました。
再検査・精密検査を受診した方が良い結果がいくつかあります。
以下のような診断結果の場合にはすぐに病院に受診しましょう。

「尿酸値」の基準値

尿酸値は、7.0mg/dlを越えると高尿酸血症と言われています。
高尿酸血症の場合には、生活習慣の改善が必要です。特に9.0mg/dlもしくは8.0mg/dlで腎臓病、高血圧、肥満、糖尿病などを合併する場合は、薬物療法の適応になります。
治療中の場合、尿酸値は6.0mg/dl以下になるようにコントロールするのが理想です。

判定 尿酸値
高尿酸血症
(生活習慣の改善が必要)
7.0mg/dl以上
薬物療法の適応 8.0mg/dl~9.0mg/dl

「尿酸値が高い」ときの再検査内容

健康診断で「尿酸値が高い」と診断された場合、再検査が必要になりますが、再検査は通常の保険診療で行うことが可能です。
内容は健康診断での尿酸値や病歴などによって異なりますが、血液検査の再検や尿検査、超音波検査などが行われます。これらは高尿酸血症や痛風、尿路結石、腎臓病などの病気の有無や進行状況を確認するために行われます。
検査費用は検査項目の数やご自身が何割負担するかによって変わります。3割負担の方が初診で糖尿病の検査をした場合は、5000円〜7000円程度となる可能性があります。
無症状なら緊急性は高くありませんが、早めに検査を受けることをお勧めします。再検査で異常が見られた場合は、一般内科や腎臓内科の診療を受ける必要があります。

健康診断・尿検査の「尿酸値が高い」で気をつけたい病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「尿酸値が高い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

高尿酸血症

高尿酸血症は、尿酸の値が基準値を超えた状態を指します。尿酸はプリン体という物質から作られ、食べ物や飲み物にも含まれます。通常、体内に吸収されたプリン体は肝臓で代謝され、腎臓や腸で処理されて尿や便として排泄されます。このバランスが崩れて、尿酸の生成量が多すぎたり、排泄量が少なすぎたりすると高尿酸血症になります。高尿酸血症は長期間放置すると、痛風や尿路結石、腎臓病などの疾患の発症リスクが上がるため、治療が必要です。まずは食生活の改善や減量、適度な運動、節酒などの生活習慣の改善を行いますが、尿酸降下薬により尿酸値を下げる治療が必要になることもあります。異常値を認めた場合は速やかに一般内科や腎臓内科を受診して相談することをお勧めします。

痛風

痛風は、高尿酸血症が原因で、体内の尿酸が結晶化して関節に集積し、急性の炎症を引き起こす病気です。特に足の親指の付け根が好発部位で、俗に「風が吹いただけでも痛い」と言われるほどの激しい痛みや腫れを伴います。治療法は、急性期の場合は主に非ステロイド性抗炎症薬(ロキソニン®など)やコルヒチンといった炎症を抑える薬が処方されます。
予防的な治療は、生活習慣の改善や尿酸降下薬の投与です。尿酸値をしっかりと低下し続けることが再発予防に重要です。急激に関節の痛みが生じた場合や、再発を繰り返す場合は、一般内科や腎臓内科を受診しましょう。

尿路結石

尿路結石とは、尿中に含まれるミネラルや有機物が結晶化し、尿路内に固まってできる石です。主に腎臓や尿管、膀胱で発生し、激しい腰痛、下腹部痛、排尿時痛、血尿などが現れます。治療法は、自然排石が期待できる場合には、多量の水分を摂取したり、排石を促す薬剤を内服します。また、結石が排出できない場合には、レーザーや衝撃波による破砕術を行います。激しい腰痛や腹痛、尿の出が悪くなった場合や血尿が出た場合には、早めに泌尿器科を受診することが必要です。

「尿酸値が高い」ときの正しい対処法・改善法は?

尿酸値が高い状態を改善するには、まず生活習慣を見直すことが大事です。食生活の改善や適度な運動、ストレスの軽減などが必要です。
食事については、プリン体を多く含む食品、特にレバーなどの内臓類、白子や一部の魚介類、ビールなどは摂取を控えると良いと言われています。
肥満や糖尿病がある人は、その病状を改善させるために適切なエネルギー量の食事が必要です。また、ビールなどのアルコール類にも多くのプリン体が含まれているため、適正な飲酒量にとどめることが大切です。
積極的に摂ると良い栄養素は、ビタミンCや食物繊維などで、これらは体内の尿酸の排出を促す効果があります。
また、排尿によって尿酸の排泄を促すことができるため、飲水は意識的に行うのが良いでしょう。適度な運動も効果的ですが、既に痛風が発症しており発作が起きている場合には、過度な運動は関節に負荷がかかります。
早めに医師の診断を受け、適切な生活指導や治療を受けることが勧められます。

「尿酸値が高い」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「尿酸値が高い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

尿検査の尿酸値はどのくらいの数値を超えると高いのでしょうか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

尿酸値の正常値は7.0mg/dl以下です。尿酸値が7.0mg/dLを超えると異常値とされ、治療が必要になります。

健康診断で尿酸値が高い男性には痛風の危険性がありますか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

尿酸値が高い男性は、痛風の発症リスクが高いとされています。尿酸が過剰に体内に蓄積され、関節などに沈着することで痛風が発症するため、治療を受けつつ日頃の生活習慣を改善していくことが重要です。

女性で尿酸値が高い場合どんな病気のリスクがありますか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

一般的に、女性は男性と比較して尿酸値が低い傾向にあります。尿酸値が高い場合には、男性と同様に高尿酸血症や痛風、尿路結石などの病気を発症する危険性があります。また、尿酸値が高いと腎臓病や虚血性心疾患のリスクも上がる傾向にあります。

尿酸値が高いとき、控えたほうが良い食べ物はありますか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

プリン体はレバーなどの内臓類、白子や一部の魚介類、ビールなどのアルコール類に特に多く含まれていると言われています。尿酸値が高いときは、これらの食品を控えるようにすると良いでしょう。

遺伝が原因で尿酸値が高くなることはありますか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

遺伝的な要因によって尿酸値が高くなることがあります。両親や兄弟などの家族歴がある場合には注意が必要です。

尿酸値が高いのですが運動をした方がいいのでしょうか。

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

適度な運動は尿酸値を下げるのに有効です。しかし、痛風発作を発症している場合には、関節に負担がかかる運動は控える方が良いかもしれません。医師の指導のもと、適切な運動量を決めることが重要です。

まとめ 健康診断で尿酸値が高いと言われたら、痛風発症の予防のために食事内容の見直しを!

高尿酸血症の初期段階では症状はありませんが、のちに痛風などのさまざまな疾患のリスクとなります。これらを予防するためには、医師の指導のもとで生活習慣の改善に努め、適切な治療を行うことが必要です。健診で尿酸値が高いと指摘された方は、ぜひ一度病院の受診を検討してください。

「尿酸値が高い」で考えられる病気

「尿酸値が高い」から医師が考えられる病気は3個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

腎臓内科の病気

泌尿器科の病気

  • 尿路結石症

痛風発作は何度も再発を起こす可能性のある病気なので、尿酸値が高くて痛風発作を経験したことのある場合には、しっかりと予防治療を行うことをお勧めします。

この記事の監修医師