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【闘病】『子宮肉腫』で多発転移。仕事を奪われた母が味わう、杖必須の終わらぬ副作用

 公開日:2026/05/15
【闘病】『子宮肉腫』で多発転移。仕事を奪われた母が味わう、杖必須の終わらぬ副作用

希少がんである子宮肉腫(子宮の筋肉にできる悪性腫瘍)と診断され、抗がん剤治療を続けている目片さん。子宮肉腫は良性腫瘍の子宮筋腫と鑑別が難しい病気で、早期発見できるかどうかが治療の鍵となります。目片さんは生理痛のような腹痛や多量の出血など、普段と少し違う症状から病気の発見に至りました。早期発見・治療において何が重要になるのか――。彼女の体験談から子宮肉腫への理解を深めましょう。

※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2025年11月取材。

目片さん

体験者プロフィール:
目片多美子さん

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1970年生まれ、神奈川県在住。夫、息子2人の4人家族。診断時は公務員。2018年、「子宮肉腫」と告知され、手術と抗がん剤治療を実施。2021年に再発。度重なる転移により、手術、放射線治療、抗がん剤治療、ラジオ波焼灼治療を繰り返している。

がんと診断されても希望と未来を感じてほしい

がんと診断されても希望と未来を感じてほしい

編集部

いつごろ自覚症状が出始めたのでしょうか?

目片さん目片さん

2018年の夏ごろです。生理痛がひどいときのような腹痛があり、出血が多かったので、近所の婦人科を受診しました。内診をしてもらったところ、「更年期だからね」と言われて薬を処方されただけで終わりました。それでも症状が一向に良くならないので、近所にある別の婦人科を受診することにしたのです。今度は子宮肉腫の疑いがあると診断され、すぐに大きな病院を紹介してもらいました。

編集部

大きな病院では、どのような説明を受けたのでしょうか?

目片さん目片さん

病院ではMRIの結果、「子宮肉腫の疑いが強いけれど、手術で全摘し、病理検査(採取した組織を顕微鏡などで調べる検査)に出さないと、はっきりした病名は分からない」「命に関わる病気なので、すぐに手術しましょう」と説明されました。
近所の婦人科の先生も病院の先生も、「子宮肉腫なら命に関わる」とは言っていましたけど、珍しい病気だったので実感も悲しみもなく、自分事とは思えませんでした。「ただただ無感情だった」というのが告知を受けた際の正直な感想です。

編集部

病名が判明してから、生活はどう変わりましたか?

目片さん目片さん

検査と治療に多くの時間を使うことになり、大好きな仕事をやめなければいけませんでした。それが一番悔しかったですね。外に出て仕事をしたり、人と関わったりすることが大好きなタイプなので、病気と共存しながら自分らしい生き方を模索する日々がしばらく続きました。

治療を続けながらでも元気に活動できる

治療を続けながらでも元気に活動できる

編集部

現在の体調はいかがですか?

目片さん目片さん

骨に6カ所、肝臓に2カ所、肺に1カ所腫瘍がある状態です。多発転移を繰り返し、局所治療も限界になってきたので、2025年4月から抗がん剤をスタートしました。薬の増量による副作用に困っていて、足の裏にたくさんできたできものがとにかく痛く、杖がなければ歩けない日もあります。
ほかにも手先・足先・舌のしびれ、味覚障害、多数の口内炎、薄毛、体毛が全て白くなる、足がつる、吐き気、倦怠(けんたい)感、ふくらはぎが重だるい、ひどい飛蚊症(視界に糸くずや虫のようなものが飛んで見える症状)など、あらゆる症状が表れています。骨にもたくさん転移しているので、その痛みもあります。

編集部

つらい状況下にもかかわらず、前を向き続けている目片さんの原動力を教えてください。

目片さん目片さん

初めのころは子どもたちが学生だったこともあって、「この子たちが高校を卒業するまでは見ていたい」という気持ちが原動力になっていたと思います。私の気持ちを尊重しつつ、全面的にサポートしてくれる夫には感謝しかありません。彼がそばで大きな支えになってくれているのも私の原動力の一つです。
今は、再発時の半年の余命宣告よりかなり長く生きられていることもあり、同じ病気で悩む患者さんたちに、明るく幸せに過ごしている私という人間の存在を知って、未来を感じ、笑顔になってもらえることが生きる喜びとなっています。

編集部

目片さんは、ボランティア活動にも力を入れているそうですね。具体的に、どのようなことをしているのでしょうか?

目片さん目片さん

マギーズ東京(がんを経験した人とその家族や友人が無料で訪れ、相談できる施設)、日本肉腫学会、がんノート(がん経験者のインタビュー番組を発信するNPO法人)のボランティア活動に従事し、絶望的になっている同病の患者さんの相談に乗ったり、ブログやインスタグラムを通じて、さまざまな情報発信をしたりしています。“スーパーポジティブウーマン”になるべく、生き生きと口角上げて、なりたい理想の自分を夢見て、日々行動しているのです。

編集部

もし過去の自分に声を掛けられるとしたら、何と伝えますか?

目片さん目片さん

「再発したら危ない」とずっと言われてきたので、再発した時は、未来が全く見えなくなりました。あの時の自分に、「同じ病気でもちゃんと長く生きている人がいる。大丈夫だよ。子宮肉腫でも、ずっと楽しんで生きている人がいるよ」と言ってあげたいですね。

編集部

医療従事者に望むこと、期待することはありますか?

目片さん目片さん

子宮肉腫という希少がんについて、詳しい知識のない先生も多いのが現状です。分からないことがあったら、正直に「分からない」と言ってもらえると非常に助かります。
主治医が再発時に「うちでもこの先の治療をできないことはないけれど、もっと経験がたくさんある病院へのセカンドオピニオン(主治医以外の医師に意見を求めること)の選択もあるよ」と言ってくれました。柔軟に対応してくれたからこそ、私は今こうして生きていられるのだと思います。

編集部

最後に読者へ向けてのメッセージをお願いします。

目片さん目片さん

子宮肉腫は予後不良の希少がんで、エビデンス(科学的根拠)も少なく治療選択肢も限られた病気です。私はそんな病気をある日突然告知され、絶望的になり、少し先の未来さえ見えなくなりました。しかし再発転移、治療を繰り返しながら、7年たっても明るく前向きに幸せに生きています。同じ病気で悩んでいる人には、私のような未来もあることを知ってほしいですね。私は再発転移しても大丈夫だと信じていますし、探せば肉腫に精通した先生もいます。
子宮肉腫は一人で闘うにはあまりにも再発転移が多い病気です。心身共にしんどいときもあります。だからこそ、同じ病気で闘う人たちと励まし合いながら、前を向いて歩いていくことが大切です。“戦友”の存在が自分の生きる糧となるはずです。

編集後記

子宮肉腫は子宮筋腫との鑑別が難しい病気です。早期発見できるほど、治療の選択肢が増えることもあり、「おかしいな」と感じたときには、すぐ婦人科受診することが大切です。「自分がなるはずない」と思い込むのではなく、「もしかしたら」と疑うことで、早期発見につなげましょう。

本稿には特定の医薬品、医療機器についての記述がありますが、情報提供のみを目的としたものであり、医療上の助言や販売促進などを目的とするものではありません。

なお、メディカルドックでは病気の認知拡大や定期検診の重要性を伝えるため、闘病者の方の声を募集しております。皆さまからのご応募お待ちしております。

鈴木 幸雄

記事監修医師
鈴木 幸雄(産婦人科専門医・婦人科腫瘍専門医)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。

この記事の監修医師