【独占密着】本当に痛くない? 山賀琴子の大腸カメラ検査現場に潜入!前編(密着編)
近年、急速にリスクが高まっている大腸がん。その早期発見には不可欠だと言われているのが大腸カメラ(大腸内視鏡検査)です。皆さんは大腸カメラにどんなイメージをお持ちですか? 「痛そう」「怖い」「大変そう」……。そんなイメージが先行していますが、その実態はあまり知らないという方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、中学生の頃から下痢に悩まされ、過敏性腸症候群(IBS)と診断されたこともある、モデルの山賀琴子さんに大腸カメラを受けてもらい、ご自身の腸内をくまなくチェックするとともに、その検査の様子を密着レポートさせていただきました。
山賀琴子(モデル・ブランドプロデューサー)
1995年1月23日生まれ。北海道出身、青山学院大学卒業。2015年ミス青山グランプリに選ばれ、2016年に大手芸能プロダクションに入社、女優として活動したのち2019年1月23日に株式会社COTOCOTOを設立。アクセサリーブランド ENELSIA のクリエイティブディレクターを務める。
監修医師:
寒河江三太郎(厚木胃腸科医院長)
2007年、北里大学医学部医学科卒業。慶應義塾大学一般・消化器外科教室に所属し、慶應大学病院や平塚市民病院などの基幹病院で、消化器疾患を中心に幅広く診療に携わってきた消化器病の専門医。苦痛の少ない大腸カメラを身近な医院で受けられるよう尽力中。
目次 -INDEX-
山賀琴子が内視鏡検査を受けるワケ
寒河江先生
山賀さんは、過去に腸に関して何か診断を受けたことはありますか?
山賀さん
過敏性腸症候群(IBS)と診断を受けたことがあります。
寒河江先生
その時、検査は受けましたか?
山賀さん
問診のみでした。精密検査をしたことがなかったので、この機会に自分の腸の状態をしっかりチェックしてみたいと思います!
不安を軽減!検査前に行う準備を知ろう〜下剤の作り方〜
山賀さん
検査をする前に、飲まなくてはいけないお薬があるので、作って飲んでいきたいと思います。
寒河江先生
①まずはキャップを空け、星印のあるラインまで水を入れます。
②キャップをきちんと閉め、Aの上から両手で押し、Bとの壁を貫通させます。
③容器を良く振り、薬を混ぜます。最初は白く濁っていますが、溶けてだんだん透明になっていきます。
④粉末が溶けたら、2リットルのラインまでお水をさらに追加します。
⑤キャップを閉めて軽く振り、お薬が完全に溶けたら完成です。
山賀さん
お薬ができました。見た目はお水と変わりませんね。匂いも無いですね。これをコップ一杯あたり、約10~15分かけて飲んでいきます。ではいただきます!
山賀さん
あ! 甘酸っぱくて、梅のような味がします。梅のシロップみたいな感じです。うん。飲めそうですね。もっとマズイものを想像していました。この味が好きだという人も、意外と多いかもしれません。
不安を軽減!検査前に行う準備を知ろう〜大腸カメラの検査内容を専門医に取材〜
寒河江先生
下剤、お疲れ様でした。どうでしたか?
山賀さん
意外とスルスルと飲めたんですが、便を出すのに、思ったより時間がかかりました。
寒河江先生
そうですよね。下剤は、胃を通って、小腸を通って、大腸を通って便と一緒に出て来るので、10メートルくらい旅をしているんです。だから思った以上に時間がかかるんです。ただ、ここまで来てしまえば、検査自体は、麻酔が効いて、ウトウトしている間に終わってしまうと思います。
山賀さん
検査中も私は、検査の様子を見ていられるんですか?
寒河江先生
お話もできるし、見ることもできると思います。ただ、人によって麻酔の効き方が違うので、寝てしまう方もいますし、お話はできても、ほとんど記憶が残らないという方もいます。
山賀さん
麻酔は吸入と注射のどちらですか?
寒河江先生
注射です。1時間ほど麻酔の効果が続きますので、その間に検査をしていきます。検査中にポリープがあったら、切除しますね。
山賀さん
ポリープを取るのはどれくらいかかるんですか?
寒河江先生
ほんの一瞬ですよ。
山賀さん
痛くないですか?
寒河江先生
痛みはないのでご安心ください。大腸自体には痛覚がないので痛みは感じません。
山賀さん
便が残っていることもあるんですか?
寒河江先生
形のある便が残っていることはほとんどないですが、カスのようなものが残っていることはあります。
山賀さん
それは恥ずかしいですね(笑)。それらはどうするんですか?
寒河江先生
大腸カメラの良いところは、それらを吸って腸内をきれいにしながら観察ができることなんです。でも、みなさんがイメージしているような汚いイメージのものではなく、きれいなカスが残っているだけですので、安心してください。
山賀さん
はい、分かりました。
寒河江先生
では、今から検査をしていきましょう。
本当に痛くなかった!?検査直後の山賀琴子に感想を聞いてみた
寒河江先生
お疲れ様でした。ご気分はいかがですか?
山賀さん
ピンピンしてます(笑)
寒河江先生
今回、体内にカメラを入れるという怖さは感じましたか?
山賀さん
私は好奇心が旺盛なので、怖さは全くありませんでした。検査自体に対してネガティブな感情はなかったです。もちろん、病気が見つかったら怖いなとは思っていました。
寒河江先生
今回の検査では1m60cmくらい、お尻から大腸の一番奥までカメラを入れて、小腸の出口のところまで観察して検査を終了しましたが、特に異常はありませんでしたので、ご安心ください。
では、写真を見ながら、結果を見てみましょう。
寒河江先生
ツルっとしていて、血管が透けて見えるのが正常な大腸の粘膜になります。
ここの色の違うところが見えますか? NBIという特殊な光を当てた画像で見ると分かりやすいでしょうか?
寒河江先生
サイズとしては2~3mmのものなんですが、少しポコっとしているのが分かると思います。これは過形成性ポリープといいます。
山賀さん
カケイセイセイ……?
寒河江先生
はい過形成性ポリープと言って、明らかに良性のポリープになります。これは治療する必要のないポリープなのでご安心ください。例えばこのサイズが10mmを超えていたり、大腸の一番奥にあったりする場合は切除することもありますが、このケースはその必要のないポリープになります。
山賀さん
これが悪化するという可能性はあるんですか?
寒河江先生
このポリープが将来的に悪化することはほぼないと考えてもらって大丈夫です。
山賀さん
じゃあ、取らないといけないポリープとは何が違うんでしょうか?
寒河江先生
ポリープにも種類がありまして、大きくは腫瘍性ポリープと非腫瘍性ポリープとに分かれています。大腸がんは腫瘍性ポリープの一種です。過形成性ポリープは非腫瘍性のポリープになります。基本的に5mm以下のサイズの小さいものは、将来的に大きくなる可能性はかなり低いのでご安心いただいて大丈夫です。また、今回の検査からは、下痢の原因となる大きな異常も見つからなかったのでご安心ください。
山賀さん
幼い頃から続いている下痢の原因は何なのでしょうか?
寒河江先生
器質的な病気がないのに、継続的に3カ月以上、下痢や腹痛の症状が続く場合は、過敏性腸症候群という病気を疑います。本来であれば、採血で甲状腺機能を調べたり、糖尿病など、他の原因も調べたりする必要はありますが、そうした病気がない場合は、過敏性腸症候群と診断します。
山賀さん
過敏性腸症候群とはどんな病気なのでしょうか?
寒河江先生
食事を食べると便になって出てきますが、自分で意識して腸を動かしてはいないですよね。脳が自律的に、副交感神経や交感神経を使って腸を動かし、食べ物が運ばれていきます。この動きを蠕動(ぜんどう)運動といいますが、ストレスや生活習慣の乱れなどによって、その動きがコントロールできなくなってしまいます。動きが過剰になり過ぎると、食べ物が早く流れてしまい下痢になってしまいますし、その流れに食べた物がうまく乗れないと便秘になってしまいます。
そのほかにも、腸管のわずかな刺激を痛みとして感じてしまう、知覚過敏のような状態を引き起こすこともあります。たとえば普通なら、2日間くらい便秘になっても「少しお腹が張るな」と感じる程度なのに、すごく痛く感じてしまうのも過敏性腸症候群の症状です。
山賀さん
腸が思ったよりもきれいだったので嬉しいんですけど、あまりにもお腹が弱いので、何か原因が分かるかなって、ちょっと期待もしていたんですよ(笑)。もちろん、何もないのが一番なんですけどね。
過敏性腸症候群はどうしたら治るんですか?
寒河江先生
治療方法はいくつかあって、若い方の場合は、睡眠時間が短いなど、生活習慣が乱れているケースが多く見られます。また、中高生でも同じ症状で悩んでいる方には、睡眠時間をしっかりとってもらうように案内しています。例えば、朝は同じ時間に起き、夜は眠くなったらベッドに座るようにするだけでも生活習慣が改善され、症状がおさまる場合もあるので、ぜひ取り入れてみてもらいたいですね。
あともう1点は、朝ごはんをしっかり食べるということです。
山賀さん
やはり、朝ごはんはしっかり食べた方がいいんですね。
寒河江先生
少量でもいいんですが、しっかり食べて欲しいですね。バナナやヨーグルトだけでもいいので、3食を毎日必ず摂る習慣をつけてもらいたいですね。また、朝に運動するのも効果的です。最近は、若い人でも運動不足の方が多くいます。生活リズムを整えるために、朝にテレビで放送されているラジオ体操番組の活用をオススメしています。
山賀さん
生活習慣を整えるのが大切なんですね。
寒河江先生
はい、それでも良くならない場合は、お薬の処方をすることもあります。例えば、腸の運動を整える薬や、プロバイオティクス(ビフィズス菌や乳酸菌の製剤)、お腹を温めてくれる漢方薬など、いくつか試してみることをご提案しています。
山賀さん
お薬はすぐに効果が出るんですか?
寒河江先生
今日飲んで明日よくなるということはまずないので、2週間から1か月ほど飲んでみて、少しでも症状が緩和されたら継続してみましょうとご提案しています。何回か試して、ご本人に合う処方を探していくことになります。
山賀さん
わたしも、生活習慣から見直していこうと思います。