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胃カメラ・大腸カメラ検査を受けるベストタイミングはいつなのか

 更新日:2023/03/27

消化器の内視鏡検査が有用であることはわかっていても、なかなか行動に移せないものです。そこで、色々な観点から受診の「きっかけづくり」を、「鎌倉逗子胃腸肛門内視鏡クリニック」の道躰先生にお願いしてみました。

道躰先生

監修医師
道躰 幸二朗(鎌倉逗子胃腸肛門内視鏡クリニック 院長)

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東邦大学医学部卒業。東邦大学医療センター大橋病院などで内視鏡・肛門診療を中心に臨床経験を積む。2021年、神奈川県鎌倉市に「鎌倉逗子胃腸肛門内視鏡クリニック」を開院。幅広い診療科目で地域医療に尽くしている。日本外科学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医。日本臨床肛門病学会会員。

初めて受ける場合の年齢的なベストタイミング

初めて受ける場合の年齢的なベストタイミング

編集部編集部

胃や大腸の検査を「受けるタイミング」って、なかなか自分では決められません。

道躰先生道躰先生

ベストタイミングや受け時には色々な意見があると思うのですが、まずは「年齢」という切り口から考えていくのがいいと思います。自覚症状のない人がはじめて大腸カメラを受けるとしたら、「40歳」が統計上の目安となります。

編集部編集部

大腸がんなどの好発年齢が40歳だからですか?

道躰先生道躰先生

いいえ、それはもう少し後です。ただ、がんはなってからだと遅いので「好発年齢の少し前」を推奨タイミングにしています。とくに大腸がんは、大腸にできたポリープが長年をかけて育ち、やがて悪性化していくと考えられています。ですから、ポリープの段階で見つけて切除することが、大腸がん予防に直結するのです。

編集部編集部

だとすると、胃がんと分けて考える必要がありそうです。

道躰先生道躰先生

そうですね。胃カメラのベストタイミングは、「ピロリ菌が疑われたらすぐ」ですね。胃がんの原因のほとんどは、ピロリ菌感染によるものということが判明しています。加えて、除菌しても胃がんのリスクが残ることもわかっているのです。ピロリ菌の有無そのものが問われるので、健康診断のメニューなどで「ピロリ菌検査」を積極的に受けてください。

自覚症状で考えるベストタイミング

自覚症状で考えるベストタイミング

編集部編集部

続いて自覚症状のある場合です。内視鏡検査を受けた方がいい固有の症状はあるのですか?

道躰先生道躰先生

症状の中身より期間の方が重要です。同じ症状が「2週間~1カ月」以上続いていたら、念のため、胃カメラ・大腸カメラを受けましょう。なお、受診して出された処方薬では改善しなかった場合も同様です。

編集部編集部

一般的な健康診断などで「要精密検査」を指摘された場合は必須ですよね?

道躰先生道躰先生

はい。必ず受けるようにしてください。昨今、最初から内視鏡で検査する健康診断も増えてきました。近々、バリウムによる画像検査はなくなっていくと思っています。なお、一部の特殊な胃がんは「バリウム検査をしないと発見しにくい」と以前はされてきましたが、大幅な解像度UPにより、内視鏡でも発見できるようになりました。

編集部編集部

ピロリ菌感染や自覚症状があった場合、胃カメラ・大腸カメラは保険で受けられるのでしょうか?

道躰先生道躰先生

保険適用になります。その一方でピロリ菌もなく無症状の場合は「人間ドック」と同様、自費扱いになるかもしれませんが、自治体によっては特定健診という形で費用助成が受けられる場合もあります。

編集部編集部

無自覚・自費でも「40歳で受ける」意義はありますか?

道躰先生道躰先生

一度は受けることを推奨します。40歳を過ぎると、胃がん・大腸がんに限らず、消化器系疾患の罹患率が上昇しはじめます。他方、「健康である」という確証を得られれば、その後のお仕事や生活に自信やゆとりが生まれる側面もあるのではないでしょうか。

再診までのベストタイミング

再診までのベストタイミング

編集部編集部

一度受けた後、次に検査を受けるまでのベストタイミングも知っておきたいです。

道躰先生道躰先生

引き続き内視鏡検査を続けていくつもりでしたら、ベストな受診の間隔を担当医とすりあわせておきましょう。そのときの胃や大腸の状態によりますが、おおむね「2~3年ごと」の検査を推奨されるはずです。ただし、ピロリ菌を除菌した人や大腸ポリープ切除などをした場合は、検査間隔がもっと短くなるかもしれません。

編集部編集部

先生が診ている患者さんで「胃カメラ・大腸カメラを受けるきっかけ」は何でしょうか?

道躰先生道躰先生

無症状の場合は、知り合いや友人の発症が一番多いですね。また、自分の症状をネットで調べて「胃がんかもしれない」と受診される若い人も増えてきている印象です。受診した結果、仮に胃がんではなく心因性の失調であっても、胃の調子は自律神経に大きく左右されるため「健全であることが判明したことで治る」場合もあります。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

道躰先生道躰先生

大腸カメラや胃カメラの検査を受けることに対して、ハードルが高いと感じてしまう人もいらっしゃいます。しかし、思っているほど怖い検査ではなく、鎮静剤の使用によって眠っている間に検査をおこなうこともできます。また、医療機関サイドもできる限り痛みや苦しみをなくせるように心がけているはずです。気になることがあれば、いつでも内視鏡検査を受けにいらしてくださいね。

編集部まとめ

無症状で初回検査の場合、大腸カメラは「40歳」、胃カメラは「ピロリ菌が疑われたとき」に、率先して受けるべきということでした。一方、自覚の伴う場合は、同じ症状が「2週間~1カ月」以上続いていたら内視鏡で調べてみましょう。また、次回の内視鏡検査までの間隔は、そのときの所見によります。

医院情報

鎌倉逗子胃腸肛門内視鏡クリニック

鎌倉逗子胃腸肛門内視鏡クリニック
所在地 〒248-0006 神奈川県鎌倉市小町2-14-10鎌倉メディカルサプライビル2・3F
アクセス JR「鎌倉駅」 徒歩5分

診療科目 内科、消化器内科、内視鏡内科、循環器内科、呼吸器内科、肛門外科、アレルギー科、泌尿器科、皮膚科

この記事の監修医師