「男性更年期障害」になりやすい性格はご存じですか? 予防する食べ物やリスクとなる行動も医師が解説!
男性更年期障害は、加齢やストレス、環境要因などによって、男性ホルモンの「テストステロン」が低下することで発症します。また、性格や生活環境も発症リスクに大きく影響するようです。本記事では専門家の堀江重郎先生に取材し、男性更年期障害になりやすい人の特徴を掘り下げるとともに、予防のために重要な栄養素についても解説します。
監修医師:
堀江 重郎(順天堂大学医学部泌尿器科学講座主任教授)
男性更年期障害になりやすい性格
編集部
男性更年期障害の発症と性格特性は関係あるのでしょうか?
堀江先生
はい。そもそも1950年代に心疾患、特に心筋梗塞のリスクを分析する中で、「タイプA」と「タイプB」という性格特性の概念が生まれました。1950年代のアメリカで、目標志向が強く、競争心が旺盛で、ストレスを溜めやすい性格の人が心不全を起こしやすいと指摘され、こうした性格をタイプAと分類しました。その一方で、のんびりと自分のペースで生活を楽しむタイプがタイプBとして区別され、ストレスによる影響を受けにくいとされています。
編集部
どちらのタイプが男性更年期障害になりやすいのですか?
堀江先生
タイプAの人は目標志向が強いため、仕事や家庭で常に高い目標を設定し、それを達成しようと無理をする傾向があります。目標が達成できた場合には問題ありませんが、失敗した場合にはその挫折がストレスとなり、ホルモンバランスに悪影響を及ぼす可能性があるため、タイプAの人の方が男性更年期障害になりやすいとされています。
編集部
反対に、タイプBの人は男性更年期障害になりにくいということですか?
堀江先生
そうですね。タイプBの人はストレスを溜め込みにくく、他人に任せられることは任せるといった柔軟な姿勢が特徴です。例えば、地域のコミュニティ活動を楽しむ人や趣味に打ち込む人は、ホルモンバランスが比較的安定しており、男性更年期障害のリスクも低い傾向にあります。
編集部
タイプAの人において、特にリスクとなるような行動はありますか?
堀江先生
仕事で多くの責任を負い、長時間労働を続けている人や、家庭でも完璧を求められる状況にある人が該当します。こうした状況では、交感神経の緊張が長時間続き、テストステロン分泌の低下が進みやすくなります。さらに、ストレスを抱えたまま孤立してしまうことも、リスクを高める要因です。
環境要因と社会的つながりの重要性
編集部
環境の変化は、男性更年期障害のリスクになりますか?
堀江先生
環境の変化がテストステロンの低下を引き起こす場合もあります。転職や退職、引っ越しなど、慣れない環境に置かれるとストレスが増加し、ホルモンバランスが乱れる原因となります。特に、社会的なつながりを持たない場合、孤立感がストレスを増幅させるため注意が必要です。
編集部
どのように対策すればいいですか?
堀江先生
ストレスマネジメントが重要です。小さな成功体験を積み重ねたり、リラックスできる趣味を持ったりすることで、交感神経の緊張を和らげることが期待できます。また、運動や社会的なつながりを持つことも有効です。特に、自分を評価してくれる環境を作ることが鍵となります。
編集部
男性更年期障害の予防に役立つ社会的なつながりとは、どのようなものでしょうか?
堀江先生
男性更年期障害の予防において、社会的なつながりは非常に重要な役割があります。他者との交流や共同作業を通じて、自己肯定感や満足感を得ることがテストステロンの分泌を促進するためです。例えば、地域の趣味サークルやボランティア活動、スポーツチームへの参加が効果的です。また、家族や友人との定期的なコミュニケーションもストレスの軽減や孤立感の緩和につながります。
栄養素による男性更年期障害予防
編集部
栄養素が男性更年期障害の予防にどう役立つのですか?
堀江先生
「亜鉛」と「ビタミンD」は、テストステロンの生成や免疫機能の維持に寄与する栄養素として注目されています。亜鉛はテストステロンの合成をサポートし、ビタミンDは骨の健康を支えるだけでなく、感染症や慢性疾患のリスク低減に関与すると考えられています。
編集部
ビタミンDを効率的に摂取するには、どうすればいいですか?
堀江先生
ビタミンDは、鮭やイワシ、サンマといった魚類に多く含まれています。また、キノコ類も良い供給源です。食事からの摂取に加えて、適度な日光浴をおこなうことでも、体内でのビタミンD生成を促すことができます。
編集部
亜鉛を豊富に含む食品には何がありますか?
堀江先生
亜鉛は、特に牡蠣やカニなどの魚介類に豊富です。また、肉類やナッツ類などにも含まれています。亜鉛は体内で合成できないため、日々の食事から継続的に摂取することが大切です。
編集部まとめ
男性更年期障害の発症には、性格や環境、栄養といった様々な要因があるとのことでした。本記事を通じて、性格特性や環境の変化がどのようにリスクを高めるのか、また栄養素が予防にどのように役立つのかを深掘りしました。また、ストレスを管理して、社会的なつながりを持つことの重要です今回の内容が、健康維持のヒントとして役立つことを願っています。