「男性更年期障害」の症状チェックリスト 当てはまる人にはどんな治療法があるの?
更年期障害というと、女性が患うものというイメージが強いですが、実は、男性も更年期障害を発症することがあります。しかも、女性と違って期限がなく、長引くのが特徴なのだそう。そこでどのような症状や治療法があるのかなどを、みらいメディカルクリニックの松本先生に教えてもらいました。
監修医師:
松本 昌和(みらいメディカルクリニックグループ)
男性の更年期障害とは?
編集部
男性にも更年期障害があるのですか?
松本先生
はい、あります。更年期障害というと女性のイメージが強いと思いますが、実は、男性でも更年期にさまざまな不調を訴えることがあります。男性の更年期障害は、加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)とよばれています。
編集部
男性の更年期障害の原因はなんですか?
松本先生
男性の更年期障害は、主に精巣で分泌される男性ホルモン「テストステロン」が減少するために起こります。テストステロンには筋肉や骨を強くしたり、性機能を正常に維持したりするほか、認知機能や血管の健康にも関係しています。しかし、加齢とともにこの分泌量が減少するため、さまざまな症状が起きるのです。
編集部
加齢のほかに原因はありますか?
松本先生
そのほか、ストレスや睡眠不足など生活習慣の乱れによってもテストステロンが減少します。
編集部
何歳ごろから症状が見られ始めるのですか?
松本先生
テストステロンは20代が分泌のピークとされています。その後、徐々に分泌量が減少していき、40代くらいになると更年期障害が見られ始めるといわれています。
男性更年期障害の症状と特徴
編集部
男性の更年期障害を発症すると、どのような症状が見られるのですか?
松本先生
- ほてり、のぼせ、多汗
- 全身倦怠感
- 頭痛
- めまい
- 耳鳴り
- 吐き気
- 筋力低下
- 腰痛
- 手足のこわばりやしびれ
- 筋肉や関節の痛み
- 頻尿
- ED(性機能低下)
- リビドー(性的欲求)の低下
そのほか、代謝が落ちるのでコレステロール値が上昇したり、耐糖能が低下したりすることがあります。
編集部
一方、精神症状にはどのようなものがあるのですか?
松本先生
- うつ症状
- 気分が沈む
- イライラ
- 怒りやすくなる
- くよくよしやすくなる
- 不眠
- 無気力
- 記憶力や集中力の低下
- パニック障害(車の運転ができなくなる) など
編集部
女性の更年期障害と似ているのですね。
松本先生
はい。男女で症状は似ていますが、異なるのは、女性に比べて男性の更年期障害は長引くことがあるということです。
編集部
それはなぜですか?
松本先生
なぜなら、女性の更年期障害は閉経の前後5年間に発症のピークを迎えるとされ、閉経後5年で次第に落ち着いていくことが多いとされています。一方、男性の場合は40代以降ならいつでも発症する可能性があり、しかも、女性と違って閉経というイベントがないため、終わりがありません。そのため、人によっては長期間、苦しむこともあるのです。
男性更年期障害の治療法とは
編集部
どうやって治療するのですか?
松本先生
血液検査の結果により、著しくテストステロンの分泌量が低下していることが明らかな場合には、テストステロン補充療法(ホルモン補充療法)を行います。経口剤、注射剤、経皮吸収型製剤がありますが、保険が適用となるのは注射のみとなっています。
編集部
即効性はあるのですか?
松本先生
はい、多くの人が治療を開始して1ヶ月以内で効果を感じられると思います。
編集部
そのほか、どのような治療法があるのですか?
松本先生
そのほか漢方薬を処方することもあります。また、性機能が低下している場合にはED治療薬を併用することもあります。
編集部
男性の更年期障害が疑われる場合には、何科を受診したら良いのでしょうか?
松本先生
一部の泌尿器科や内科で診てもらえることがありますし、また医療機関によってはメンズヘルス外来などを設けていることもあります。ただし、一部の治療は自由診療となることもあるので、治療にあたってはしっかり医師に確認することが大切です。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
松本先生
男性の更年期障害の症状は多岐に渡り、身体的なものから精神的なものまでさまざまです。そのため、「うつっぽい」という理由で精神科などを受診する人も多いのですが、実は、原因は精神的なものではなく、男性の更年期障害だった、ということも少なくありません。また、抗うつ剤や抗不安薬を服用すると、更年期障害の症状が悪化することもわかっており、一旦抗うつ剤などの服用を中断し、ホルモン補充療法などを行うと1ヶ月くらいで効果が見られ、症状から解放されるケースも多く見られます。40代以上の男性で、仕事などでうつっぽい症状が見られるときには精神科だけでなく、男性更年期障害の可能性も検討してみると良いと思います。
編集部まとめ
男性更年期障害で仕事が手につかないとパフォーマンスが低下するだけでなく、パニック障害で車が運転できなくなることもあります。その場合には事故につながり、危険なこともありますから、40代以降の働き盛りで心身に不調を感じる時には、男性更年期障害を疑い、受診してみると良いかもしれません。
医院情報
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診療科目 | 一般内科、胃腸内科、消化器内科 |