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「足のむくみ」や「夜間頻尿」は血圧の薬が原因かも? 医師が教えるアムロジピンの効能と意外な副作用

 公開日:2026/04/28
「足のむくみ」や「夜間頻尿」は血圧の薬が原因かも? 医師が教えるアムロジピンの効能と意外な副作用
「最近、足がむくんで靴のサイズが合わなくなった」「夜中に何度もトイレに起きてしまい、熟睡できない」……。こうした体の不調を「年のせい」と諦めてはいませんか? もしかすると、その症状は普段服用している高血圧の薬が原因かもしれません。

日本人成人の3人に1人が該当すると言われる高血圧。その治療において最も頻繁に処方される薬の一つが「アムロジピン」です。非常に身近な薬ですが、実は「意外な副作用」があることをご存じでしょうか。
今回は、日頃から高血圧診療に深く携わっている舛森(ますもり)先生に、アムロジピンの正しい知識から、見逃してはいけない副作用のサイン、そして薬との上手な付き合い方まで詳しくお話を伺いました。

※本記事は、2023年4月に『YouTube医療大学』チャンネルで配信された動画内容に基づき、動画配信者である舛森医師の監修を経て構成されています。

舛森 悠

監修医師
舛森 悠(YouTube医療大学)

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2019年旭川医科大学卒業後、札幌にて初期研修をおこない、函館稜北病院総合診療科へ。北海道内の3次救急を担う救命救急センターなどを経て、現在は千葉大学大学院 医学薬学府 先進予防医学共同専攻 博士課程にて研究に従事。並行して北海道での地域医療に貢献し、登録者86万人を誇る「YouTube医療大学」を運営。一般社団法人とまりぎケア代表理事、総合診療専門医、新家庭医療専門医、認知症予防専門医、医師会認定産業医。

血圧を下げる「一番身近な薬」アムロジピンの仕組み

見出し①血圧を下げる「一番身近な薬」アムロジピンの仕組み

編集部

高血圧の薬と一口に言っても多くの種類がありますが、中でも「アムロジピン」はよく耳にする薬ですよね。

舛森 悠先生舛森先生

はい。アムロジピンは「カルシウム拮抗薬」というグループに分類される、高血圧の治療では最もポピュラーな薬剤の一つです。患者さんにとっても非常に馴染み深い薬だと思います。

編集部

具体的には、どのような仕組みで血圧を下げているのでしょうか?

舛森 悠先生舛森先生

一言で言うと「動脈を拡張させる」薬です。私たちの体では、心臓から出た血液が動脈を通って全身に運ばれ、静脈を通って心臓に戻ってきます。アムロジピンはこの動脈の壁を広げることで、血管内の圧力を低下させ、血圧を下げる働きをします。仕組み自体はとてもシンプルで分かりやすいですよね。

編集部

効果もしっかり証明されているのですか?

舛森 悠先生舛森先生

はい。この薬の大きな特徴は、作用時間が非常に長いことです。1日1回1錠飲むことで、安定で持続的な効果が期待できます。ただし、飲み始めてから血中濃度が安定するまでに少し時間がかかるため、安定した効果が得られるまでに1週間ほど様子を見る必要があります。そのため「飲み始めたのに血圧がなかなか下がらない」と焦らなくても大丈夫です。また、経済的な負担が少ないのもメリットですね。ジェネリック医薬品も普及しており、3割負担であれば1日わずか数円程度、1カ月で90円程度と、経済的負担も抑えられることが特徴です(※薬価は2025年時点の情報です)。

編集部

それほど身近で使い勝手のよい薬だからこそ、広く使われているのですね。

舛森 悠先生舛森先生

そのとおりです。ただ、今の高血圧治療の原則は「少量を複数の種類に分けて処方する」です。アムロジピンを最大量まで増やすよりも、少量のままほかの種類の薬を組み合わせることで、より効率的かつ安全に血圧を管理できると考えられています。

見逃さないで! 知られざる副作用「4つのサイン」

見出し②見逃さないで! 知られざる副作用「4つのサイン」

編集部

アムロジピンには注意すべき副作用もあると伺いました。

舛森 悠先生舛森先生

そうなんです。副作用に気づかずに、「体調が悪いのは年齢のせいだ」と思い込んで我慢してしまう人が少なくありません。代表的なものを4つ、メカニズムとともに解説しましょう。

1. 下腿(かたい)のむくみ

下腿(かたい)のむくみ

舛森 悠先生舛森先生

最も多いのが「下腿(かたい)、つまり足のむくみ」です。なぜむくむのかを道路の渋滞に例えて説明しましょう。アムロジピンの作用でで動脈(入口)が拡張すると、血液が血管にどんどん流れ込みます。しかし、その先の毛細血管や静脈(出口)は広がっていないため、そこで「血液の渋滞」が起きてしまうのです。パンパンに膨らんだ血管からは水分が漏れ出し、それがむくみとなります。

編集部

なぜ足に出やすいのでしょうか?

舛森 悠先生舛森先生

重力が関係します。足は心臓から一番遠く、低い位置にあるため、血液を戻すのに大きなエネルギーを必要とします。そのため、渋滞の影響が最も顕著に出現するのが足なのです。

編集部

自分でチェックする方法はありますか?

舛森 悠先生舛森先生

脛(すね)の骨の上を、親指で10秒間ギュッと押し当ててみてください。指を離したあとにポコンと凹みが残るようなら、それはむくみのサインです。

2. 夜間の頻尿

夜間頻尿

編集部

「夜中に何度もトイレに起きるようになった」という声もよく聞きます。

舛森 悠先生舛森先生

それもアムロジピンの影響かもしれません。実は腎臓にも動脈があります。アムロジピンで腎動脈が拡張すると、腎臓への血流が増えて尿が作られる量も増えます。

編集部

日中ではなく夜間に増えるのはなぜですか?

舛森 悠先生舛森先生

先ほどの「足のむくみ」と関係があります。日中足に溜まっていた水分(むくみ)は夜に横たわることで心臓と同じ高さに戻り、再び血流に乗ります。すると、寝ている間に血管内の水分が増え、腎臓がフル稼働して尿を作るため、夜間の頻尿につながります。1時間に1回起きてしまうほど深刻なケースもありますが、これを「年のせい」と諦めるのはもったいないことです。

3. 歯ぐきの腫れ

歯茎の腫れ

編集部

血圧の薬で歯ぐきに症状が出るとは意外です。

舛森 悠先生舛森先生

「歯肉肥厚(しにくひこう)」と言って、歯ぐきが腫れたり歯肉炎が起きたりすることがあります。もともと軽い歯周病がある人は要注意です。アムロジピンによって歯ぐきの毛細血管が拡張し、血流が増すことで、炎症が悪化しやすくなります。「歯磨きのたびに出血するようになった」という場合は、アムロジピンの影響を疑ってみる必要があります。

4. ED(男性機能不全)

ED(男性機能不全)

編集部

男性にとっては、なかなか相談しづらい副作用ですね……。

舛森 悠先生舛森先生

非常に繊細な問題ですが、大切なお話です。これは降圧薬全般に共通する問題ですが、そもそも高血圧自体が動脈硬化症のリスク因子であり、EDの原因になります。そこにアムロジピンが加わることで、血管内の圧力が保てなくなり、症状が悪化してしまうことがあるのです。この副作用が原因で自尊心が傷ついたり、夫婦関係に悩んだりする患者さんもいらっしゃいます。

薬が薬を呼ぶ「処方カスケード」を避けるために

薬が薬を呼ぶ「処方カスケード」を避けるために

編集部

副作用だと気づかずに放置していると、どうなってしまうのでしょうか?

舛森 悠先生舛森先生

最も懸念されるのが「処方カスケード」という悪循環です。例えば、アムロジピンの副作用で足がむくんだのを見て、医師が「むくみを取るための利尿薬」を出してしまう。そして今度は、利尿薬でミネラルバランスが崩れたから「ミネラルを補う薬」を出す……。こうして、副作用を抑えるために薬がどんどん増えていく状態を指します。

編集部

それは怖いですね。薬を減らすことはできないのでしょうか?

舛森 悠先生舛森先生

もちろん可能です。例えばアムロジピンで副作用が出た場合、「ARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)」や「ACE(アンジオテンシン変換酵素)阻害薬」といった別のグループの薬に切り替えるという選択肢があります。

編集部

それらの薬にはどのような特徴があるのですか?

舛森 悠先生舛森先生

例えばロサルタンやイルベサルタンなどのARBは、血管を収縮させる物質を抑えることで血圧を下げます。これらは慢性腎臓病患者さんの腎機能保護や、心不全の予防効果も期待できます。また、ARBには男性機能を保護する作用があるとも言われており、アムロジピンでEDの症状が出た方には有力な選択肢になります。

編集部

患者さん一人ひとりに合わせた最適解を考えて処方されているのですね。

舛森 悠先生舛森先生

その通りです。一般的に服用している薬が5種類以上になると副作用が出やすくなると言われており、これを「ポリファーマシー」と呼びます。加齢とともに持病が増えると、気づけば10種類、20種類と飲んでいる人も珍しくありません。「薬でお腹がいっぱいになる」などという悲しい思いはしてほしくないですからね。

先生からのメッセージ:かかりつけ医と相談しながら進める治療

最後にお伝えしたいのは、「薬は少ないに越したことはない」ということです。年齢を重ねる中で、メリットよりもデメリット(副作用)が大きくなった薬は、積極的にやめていく勇気も必要です。
ただし、自己判断で薬を中断することだけは絶対に避けてください。 急激な血圧の上昇は非常に危険です。まずは、足のむくみや夜間の頻尿などがないか振り返り、気になる症状があればどれだけ些細なことでも主治医に相談してみてください。「副作用があるから相談した」と言って、嫌な顔をする医師は少ないはずです。
血圧の正しい測り方(朝起きてすぐではなく、トイレを済ませて5分ほどリラックスしてから測るなど)を身につけ、生活習慣も見直しながら、かかりつけの先生と適切な薬を適切な量で飲んでいくことを心がけましょう。皆さんが、お薬と上手に付き合いながら、健やかに毎日を過ごせるよう願っています。

※血圧の数値や症状には個人差があります。現在服用中のお薬に関する不安や、生活習慣の改善については、必ず主治医や薬剤師にご相談ください。
※本記事は、一般的な情報の提供を目的としており、特定の治療法を推奨するものではありません。

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この記事の監修医師