「アレルギー性鼻炎の薬」で眠くなる理由をご存じですか? 仕事への影響と眠くならないための対策を医師が解説

くしゃみや鼻水が止まらず、「アレルギー性鼻炎」と診断され薬を処方されたものの、服用すると眠くなるのではないかと不安に感じたことがある方は少なくないのではないでしょうか? 特に運転や仕事、受験勉強を控えている方にとって、眠気は大きな問題となり得ます。一方で、治療を我慢すると症状が長引き、生活の質が低下することもあるようです。そこで今回は、アレルギー性鼻炎の基本と薬で眠くなる理由、日常生活への影響について、おとキッズクリニック院長の久保田先生に詳しく解説していただきました。
※2026年2月取材。

監修医師:
久保田 七美(戸塚共立おとキッズクリニック)
アレルギー性鼻炎の基本を知る

編集部
はじめに、アレルギー性鼻炎とはどのような病気なのか教えてください。
久保田先生
アレルギー性鼻炎は、花粉やダニ、ハウスダストなど本来は無害な物質に対して、免疫が過剰に反応することで起こる慢性的な炎症です。体内でヒスタミンなどの物質が放出され、くしゃみや透明な鼻水、鼻づまりといった症状が現れます。季節限定で起こるタイプと一年中続くタイプがあり、近年は低年齢化も進んでいます。放置すると生活の質に影響を及ぼすこともあります。
編集部
風邪や花粉症との違いはどのように見分ければよいのでしょうか?
久保田先生
風邪はウイルス感染が原因で、発熱やのどの痛み、倦怠感など全身症状を伴うことが多く、通常は1週間前後で改善します。一方、アレルギー性鼻炎は透明でさらさらした鼻水が続き、くしゃみが連続することが特徴です。発熱はほとんどありません。花粉症は季節性アレルギー性鼻炎の一種で、特定の時期に症状が集中する点が見分けるポイントになります。
編集部
どのような症状があり、重症化すると日常生活にどのような影響があるのでしょうか?
久保田先生
主な症状はくしゃみ、鼻水、鼻づまりですが、目のかゆみや涙目、せきを伴うこともあります。特に鼻づまりが強いと睡眠が浅くなり、日中の眠気や集中力低下を招きます。大人では仕事の効率低下、子どもでは学習や発達への影響も指摘されています。慢性化すると副鼻腔炎や中耳炎を併発することもあり、軽視できない疾患です。特にダニやハウスダストによる通年性鼻炎は、症状が長期化しやすいため適切な治療が必要です。
治療方法と「眠くなる理由」

編集部
アレルギー性鼻炎の主な治療方法にはどのようなものがありますか?
久保田先生
治療の中心は薬物療法です。抗ヒスタミン薬でくしゃみや鼻水を抑え、鼻噴霧用ステロイド薬で炎症そのものを抑えます。症状に応じて、点眼薬やアレルギーや炎症を引き起こすロイコトリエンという物質の働きを抑えるロイコトリエン受容体拮抗薬を併用することもあります。また、アレルゲンを体に慣らす舌下免疫療法(ぜっかめんえきりょうほう)は、体質改善を目指す治療として注目されています。薬だけでなく、マスクや室内環境の整備も重要です。
編集部
抗ヒスタミン薬を飲むと眠くなる理由を教えてください。
久保田先生
ヒスタミンはアレルギー症状を引き起こす物質ですが、脳内では覚醒を保つ役割も担っています。抗ヒスタミン薬はヒスタミンの働きを抑える薬ですが、その作用が脳にも及ぶと覚醒機能が弱まり、眠気が生じます。特に脳へ移行しやすいタイプの薬では眠気が出やすい傾向があります。つまり、副作用というより薬の作用の一部ともいえます。服用初期に眠気を感じやすいものの、継続することで体が薬に慣れて眠気が出にくくなる場合もあります。
編集部
眠気が出やすい薬と出にくい薬は、どのような違いがあるのでしょうか?
久保田先生
大きな違いは、薬がどれだけ脳に入りやすいかという点です。第一世代と呼ばれる抗ヒスタミン薬は脳内へ移行しやすく、眠気や口の渇きが出やすい傾向があります。一方、第二世代の薬は脳への移行を抑える設計で、比較的眠気が少ないとされています。ただし個人差があり、眠くなりにくいとされる薬でも集中力低下が起こる場合があります。薬は眠くなるという印象がありますが、現在は選択肢が増えていますので、医療機関で相談することをおすすめします。
眠気との付き合い方と生活への影響

編集部
運転や仕事、学業への影響はどの程度考慮すべきでしょうか?
久保田先生
強い眠気が出る薬では、自動車の運転は控える必要があります。さらに注意したい点は、はっきりした眠気を感じなくても判断力や反応速度が低下することがある点です。これを「インペアード・パフォーマンス(作業能力の低下)」といいます。受験生や精密作業に従事する方では、眠気の少ない薬を選ぶなど、生活背景を考慮した治療選択が重要になります。
編集部
眠気が気になる場合、薬の選び方や対処法にはどのような選択肢がありますか?
久保田先生
眠気が問題となる場合は、第二世代抗ヒスタミン薬へ変更する、点鼻薬を中心とした治療に切り替えるなどの方法があります。また、服用時間を就寝前に調整することで日中の影響を軽減できることもあります。ただし、自己判断で中止すると症状が悪化する恐れがあるため、必ず医師と相談しながら調整することが大切です。
編集部
アレルギー性鼻炎の治療を安全に続けるためのアドバイスを教えてください。
久保田先生
アレルギー性鼻炎は慢性的に続くことが多いため、症状だけでなく生活スタイルに合わせた治療を選ぶことが重要です。眠気が出るからといって自己判断で服薬をやめるのではなく、医師と相談しながら最適な薬を見つけましょう。環境整備やアレルゲン対策も併せておこなうことで、より安全かつ安定した治療継続が可能になります。
編集部まとめ
アレルギー性鼻炎の薬による眠気は、薬の作用機序と関係しています。現在は眠気を抑えた第二世代抗ヒスタミン薬や、点鼻薬を中心とした治療など選択肢も増えています。服用初期に眠気を感じても、継続により軽減する場合もあります。大切なのは、自己判断で中止せず、生活スタイルに合わせた薬を医師と相談しながら選ぶことです。本稿が読者の皆様にとって、安心して治療を続けるための一助となりましたら幸いです。
医院情報
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| 診療科目 | 小児科、耳鼻咽喉科 |
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