子どもの膝の痛みは成長痛? 『オスグッド病』の初期症状と違い【医師解説】

子どもが「膝が痛い」と訴えたとき、「成長痛かな?」と考える保護者は少なくありません。しかし、その痛みの背景にスポーツ障害が隠れていることもあります。今回は、「オスグッド病」の初期サインについて、医療法人社団スポーツメディカル 八王子スポーツ整形外科院長の間瀬先生に話を聞きました。
※2026年3月取材。

監修医師:
間瀬 泰克(医療法人社団スポーツメディカル 八王子スポーツ整形外科)
成長痛とどう違う? まず知っておきたい基礎知識

編集部
子どもの膝の痛みには、どのような原因が考えられますか?
間瀬先生
大きく分けると、打撲や捻挫などの外傷によるものと、成長期特有のスポーツ障害があります。特に10〜15歳前後でジャンプやダッシュ、キック動作の多い競技をしているお子さんによく見られるのが「オスグッド病」です。成長痛と混同されることがあるものの病態としては別で、成長期の脛骨粗面(けいこつそめん/すねの骨の上端・膝のお皿の下に位置する、隆起した部分)に繰り返しけん引ストレスがかかることで起こる障害です。
編集部
成長痛とは、どう違うのでしょうか?
間瀬先生
いわゆる成長痛は、はっきりした炎症所見がなく、夕方から夜にかけて両側に痛みを訴えることが多いとされています。一方、オスグッド病は膝のお皿の下にある脛骨粗面に局所的な痛みが出て、押すと強く痛みます。腫れや熱感を伴うこともあり、明確な圧痛点がある点が大きな違いです。
編集部
なぜ、脛骨粗面に痛みが出るのですか?
間瀬先生
脛骨粗面には、大腿四頭筋という強い筋肉が膝蓋腱(しつがいけん)を介して付着しており、ジャンプやダッシュを繰り返すと、そのけん引力が成長途中の骨端部に集中し、炎症や微細な損傷が起きやすくなるからです。成長期は骨がまだ成熟していないため、ジャンプやダッシュによるストレスの影響を受けやすいのです。
編集部
どのような競技で多く見られますか?
間瀬先生
サッカー、バスケットボール、バレーボール、陸上競技など、走る・跳ぶ動作が多い競技でよく見られます。ただし、競技種目だけでなく、練習量の多さ、柔軟性の不足、フォームの癖、後方重心の動き方なども関係します。
見逃してはいけない“初期サイン”

編集部
初期段階では、どのような症状が出るのでしょうか?
間瀬先生
多くは「運動中だけ痛い」という訴えから始まります。安静時は問題ないため軽視されがちですが、徐々に「押すと強く痛む」「膝下が少し出っ張ってきた」といった変化が出てきます。加えて、「走る・跳ぶ・しゃがむといった動作や、階段の上り下りで痛い」「練習後に痛みが残る」といった症状も大事な初期サインです。
編集部
症状が出た後は、しばらく様子を見ていても大丈夫ですか?
間瀬先生
我慢してプレーを続けると炎症が慢性化し、痛みが長引きやすくなります。成長が止まった後も骨の隆起が残ることがある上に、痛みをかばうことでフォームが崩れ、別の部位に負担が広がることもあります。早い段階で評価を受け、練習量や運動内容を調整することが重要です。
編集部
受診の目安を教えてください。
間瀬先生
「2週間以上痛みが続く」「腫れや熱感がある」「片側だけ強く痛む」「日常生活でも痛みを感じるようになってきた」というケースは、受診をおすすめします。単なる疲れや成長痛として済ませず、体が出している警告サインと考えてください。
編集部
医療機関では、どのような評価・検査を行いますか?
間瀬先生
患部を押したときの痛みや腫れの確認に加え、股関節や足関節の可動域、筋力バランス、柔軟性、姿勢、走る・しゃがむ・跳ぶといった動作の癖も把握します。また、X線(レントゲン)で脛骨粗面の変化を確認することもあります。ただし、初期には画像で目立った変化が出ないこともあるため、診察と機能評価が非常に大切です。
安静だけでいい? 回復へのアプローチ

編集部
「オスグッド病」と診断されたら、やはり安静が第一なのでしょうか?
間瀬先生
急性期の強い痛みや腫れ、熱感がある時期は安静が大切です。しかし、痛みが落ち着くまで完全に練習をストップし続けることだけが最善とは限りません。適切な評価の下、負荷を調整しながら段階的に動いていく方が、回復がスムーズかつ競技復帰後のパフォーマンスも保ちやすいことが多いですね。
編集部
適切に動かしていくことが大事なのですね。
間瀬先生
はい。ただし、自己流で続けると、かえって負担を増やしてしまうこともあります。可能ならば、スポーツリハビリテーションや競技特性に詳しい医師や理学療法士の指導の下で、体の使い方を見直してみてください。痛みのある場所だけを見るのではなく、股関節や体幹の使い方、着地や走り方まで含めて調整しないと、同じストレスが繰り返されやすくなってしまいます。
編集部
回復や再発予防のために、ほかにできることはありますか?
間瀬先生
まず大切なのは、練習量を一時的に調整し、痛みが強くなる動作を減らすことです。その上で、大腿四頭筋だけでなく、ハムストリングスやふくらはぎ、股関節周囲の柔軟性を調整し、体幹や股関節の筋機能も改善していきましょう。必要に応じてアイシングやサポーターを併用するのもいいと思います。再発予防には、「痛みが引いたから終わり」ではなく、負担のかかりにくい体の使い方まで整えることが大切なのです。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
間瀬先生
オスグッド病は多くの場合、骨の成長が落ち着くとともに症状も軽くなっていきます。骨格が急激に成長する数年は、痛みのために思い切りスポーツをできなくなることがあり、成長期の選手にとっては決して軽く見てよいものではありません。また、成長期のスポーツ選手全てに起こるわけではなく、過度の反復練習、柔軟性の不足、体の使い方の癖など、いくつかの要因が重なって起こることが多い障害です。そのためオスグッド病の治療をする際も、単に休むだけではなく、原因に対するコンディショニングの視点がとても重要です。さらに、ごく一部のケースとして、成長期が終わった後も脛骨粗面の骨片が残り、痛みが続くこともあります。痛みが長引く場合は、保存的治療(手術以外の治療)で改善しなければ、骨片を取り除く手術が検討されます。お子さんが「膝の下が痛い」と訴えたときは成長痛と決めつけず、長くスポーツを続けるためにも早めに適切な評価を受けることが大切です。
編集部まとめ
子どもの膝の痛みは「成長痛」だけとは限りません。今回の「オスグッド病」の場合は、運動時の痛みや膝下の腫れなどの初期サインに気付くことが重要です。早めに適切な評価を受けることで、早期回復や再発予防が期待できます。気になる症状があれば、整形外科視点での診察を検討してみてください。
医院情報

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| 診療科目 | 整形外科、リハビリテーション科、麻酔科 |
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