ピルの副作用『血栓症』のサインは? 注意するべき症状を解説【医師監修】

避妊や月経痛の軽減、月経周期のコントロールなど、ピルは多くの女性の生活を支える選択肢の一つです。一方で、「血栓ができやすくなる」といった不安の声も少なくありません。そこで、ピルの基礎から血栓症との関係、さらには近年登場した「血栓リスクの少ないピル」について、ショコラウィメンズクリニックの木崎先生に解説してもらいました。
※2025年11月取材。

監修医師:
木崎 尚子(ショコラウィメンズクリニック)
知っているようで知らない、ピルの基礎知識

編集部
まず、ピルとはどのような薬なのでしょうか?
木崎先生
ピルは、女性ホルモンを人工的に調整して排卵を抑える薬です。避妊効果に加えて、月経痛(生理痛)や月経前症候群(PMS)の改善、ニキビや肌荒れの軽減といった副効用があります。主にエストロゲンとプロゲステロンの2種類を含む「低用量ピル」と、プロゲステロン単独の「ミニピル」があります。ホルモン量や成分の違いによって、副作用や効果の表れ方も異なります。
編集部
いくつか種類があるのですね。
木崎先生
はい。以前は、エストロゲン含有量の多い「中用量ピル」が一般的でしたが、低用量ピルが認可されるようになってからは、副作用リスクの低い低用量ピルが多く処方されるようになりました。低用量ピルは、避妊に関して優れた避妊方法の一つであり、安全性も高いと考えられています。
編集部
避妊目的以外でも使われることがあるのですか?
木崎先生
そうですね。保険適用外にはなりますが、月経不順、過多月経、月経前症候群などの人にも使用されることがあります。ホルモンバランスを整え症状を軽減することで、生活の質を改善できますし、卵巣がんや子宮体がんの発症リスクを減少させるという報告もあります。副作用もありますが、医師の管理下であれば安全に効果を取り入れられます。また、月経痛がひどいなどの症状に対しては、低用量ピルと同じ成分の保険適用の薬でも治療が可能です。婦人科で相談してみてください。
編集部
ピルの副作用について教えてください。
木崎先生
頭痛や吐き気、乳房のハリなどの副作用が出ることがあります。特に、飲み始めは症状が出やすいですが、ほとんどの人が1〜2カ月程度で軽減します。ほかには、血栓症のリスクがわずかに増加します。
ピルと血栓症リスクについて、医師が解説!

編集部
ピルを飲むと血栓ができやすくなる理由について教えてください。
木崎先生
エストロゲンを含むピルは、血液を少し固まりやすくする作用があるため、血栓症のリスクがわずかに上がります。ただし、健康な女性であればリスクは非常に低く、妊娠中よりも低い発症率です。飲み始めの3カ月程度は特にできやすい時期といわれているため、注意が必要です。
編集部
血栓ができやすい人はどんな人ですか?
木崎先生
喫煙者をはじめ、肥満、高血圧の人や、糖尿病、脂質異常症の人、また家族に血栓症や脳梗塞の既往がある人は注意が必要です。特に40歳以上の人や、35歳以上でたばこを吸っている人は発症率が高まります。今挙げたリスクに該当する場合、ピルが処方できないことがあります。
編集部
血栓症のサインにはどんなものがありますか?
木崎先生
血栓の詰まった場所によりますが、足の血管に詰まったときはふくらはぎの腫れや痛み、片足だけのむくみ、肺の血管に詰まったのであれば息苦しさ、胸の痛みなどが挙げられます。脳血管に詰まると脳梗塞となるため、強い頭痛や手足のしびれ、言語障害など、さまざまな症状が出ます。自覚症状がある場合は、すぐに医師に診断してもらってください。このような症状があるからといって、必ずしも血栓症というわけではありませんが、検査で確認する必要があります。必ず医療機関を受診するようにしてください。
編集部
安全にピルを使うために心がけることはありますか?
木崎先生
服用前に医師の問診と血液検査でリスクを確認すること、このプロセスが非常に大事です。特に、初めてピルを飲む場合はインターネットなどでなく、医師に処方してもらうことを強くおすすめします。また、異変を感じたら自己判断せず、すぐに婦人科の医師に相談してください。
編集部
やむを得ずオンラインで購入する場合、気をつけることはありますか?
木崎先生
少なくとも1年に1回は婦人科で検査を受けましょう。近年はオンライン上の診察を受けるだけで自宅にピルを配送してくれる「オンラインピル」が人気になっていますが、以前はピルを処方してもらうために医療機関を受診する必要がありました。日本産科婦人科学会のガイドラインでも、ピルを内服中の人は定期的な採血、エコー検査、がん検診などをすることが推奨されています。
ピル服用の注意点と、新しい「血栓リスクの少ないピル」

編集部
最近、新しいタイプのピルが登場したそうですね。
木崎先生
2025年6月30日に、新たな経口避妊薬「スリンダ錠28」が発売されました。これまで国内では未承認だったミニピルの一種で、エストロゲンを含まないプロゲステロン単剤(ドロスピレノン)です。
編集部
どんな人におすすめですか?
木崎先生
血栓症の危険性が極めて低く、体への負担が少ないのが特徴なので、40歳以上の人や、喫煙や肥満、出産直後などで従来のピルを服用できなかった人に特に向いています。また、これまでのピルが体質に合わなかった人なども、こちらを検討してみるとよいでしょう。
編集部
保険適用や費用、副作用も気になります。
木崎先生
保険は適用されず自費処方のため、クリニックごとで価格が異なります。例えば当院でも2025年7月から処方を開始していますが、1シート(1カ月分)で3300円(税込)、学生の場合は2980円。これ以外にも診察料がかかります。副作用は不正出血が出やすいことです。徐々に減ってくる可能性もありますが、しばらく続く場合もあります。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
木崎先生
ピルは、毎日決まった時間に服用することが大切です。食前と食後、どちらで飲んでも大丈夫ですし、飲み忘れを防ぐためにも「自分が忘れにくい時間」を設定しておくとよいでしょう。1回飲み忘れただけだと大きく効果が落ちることは少ないものの、何度も続くと避妊効果が弱まったり、副作用が出やすくなったりすることがあります。また、症状によっては保険適用となる場合もありますし、ほかの病気が隠れている可能性もあります。気になる症状がある人は自己判断せず、一度医療機関を受診してください。
編集部まとめ
ピルは避妊だけでなく、月経痛の軽減や肌トラブル改善など、女性の健康を支える大切な薬です。血栓症のリスクはありますが、医師の管理下で正しく使用すれば安全に続けられます。また、2025年に登場した「スリンダ錠28」は、血栓リスクの少ない新時代のピルとして注目されています。自分に合った解決方法を見つけるために、まずは専門医に相談してみましょう。
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