大腸カメラを「意識がある状態」と「眠った状態」で受けることのメリット・デメリット

大腸がんは進行するまで症状が出にくいため、定期的な検査による早期発見がとても大切です。その代表的な検査が大腸カメラ(大腸内視鏡検査)。しかし「意識がある状態で受けるのか」「眠った状態で受けるのか」といった受け方の違いでそれぞれメリット・デメリットがあります。そこで大腸カメラの基礎から鎮静法の有無の違いまで、医師の渡海先生(半蔵門 渡海消化器・内視鏡クリニック)に話を聞きました。
※2025年10月取材。

監修医師:
渡海 義隆(半蔵門渡海消化器・内視鏡クリニック)
まずは大腸カメラについて教えて

編集部
大腸カメラとはどのような検査ですか?
渡海先生
肛門から先端にカメラのついたスコープを挿入し、大腸の粘膜を直接観察する検査です。炎症やポリープ、がんの有無を確認でき、必要に応じて組織を採取したり、その場でポリープを切除したりすることもできます。
編集部
大腸カメラでは、どのような病気がわかるのでしょうか?
渡海先生
大腸の粘膜を直接観察できるため、進行大腸がんはもちろんのこと、便潜血検査では見つけにくい小さなポリープや早期の大腸がんも発見できます。さらに、潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患、感染症による大腸炎なども診断可能です。
編集部
どのような人が検査を受けるべきでしょうか?
渡海先生
便潜血検査で陽性だった人や血便がある人はもちろん、下痢や便秘などの便通異常が続く人、家族に大腸がんの既往がある人などです。特に40歳を過ぎるとリスクが高まるため、自覚症状がなくても一度は受けておくことをおすすめします。
編集部
検査にかかる時間はどのくらいですか?
渡海先生
通常は20〜30分程度です。ポリープ切除など処置を同時におこなう場合は少し長くなることもあります。
眠った状態での大腸内視鏡検査、医師が解説

編集部
検査は痛いのでしょうか?
渡海先生
挿入時に違和感を覚える人はいますが、スコープや技術の進歩により、以前に比べて格段に楽に受けられるようになっています。それに加え鎮静剤などを使用することで、ほとんど苦痛なく検査を終えられている人が多いです。
編集部
「眠ったまま」で受ける場合はどのようにおこなわれますか?
渡海先生
医療機関にもよりますが、多くの場合は鎮静剤を点滴投与します。10秒ほどで眠気が出て、完全に寝た状態、あるいはぼんやりとした状態で検査を受けてもらいます。ぼんやりした状態の場合ある程度の意識は保たれていますが、痛みや不快感が少なく、楽に受けられる方法です。
編集部
検査後はどうなりますか?
渡海先生
多少の個人差はありますが、10〜20分程度休めば目が覚めます。それでも薬の影響は残る可能性がありますので、当日は自動車や自転車の運転は避けてもらい、公共交通機関やタクシーなどで帰宅してもらいます。高齢者など、心配な人はご家族に付き添ってもらうとより安心です。
編集部
安全性や精度の面で心配はありませんか?
渡海先生
鎮静剤は量を細かく調整できるので、安全性は確立されています。稀に呼吸や循環に影響を与えることもあるため、呼吸と血圧をモニターし、経験豊富な医師の管理のもとで安全に検査をおこないます。また、眠っていても眠っていなくても、ほとんど検査の精度に影響はありません。
意識がある場合についても知りたい

編集部
「意識がある状態」の検査はどういうものですか?
渡海先生
鎮静剤を使わず、あるいはごく少量使っておこなう方法です。検査中は会話ができ、状況を自分で把握できますが、おなかやおしりの違和感や痛みを覚えやすいという違いがあります。
編集部
意識があることでのメリットは何でしょうか?
渡海先生
検査中に医師としっかりとコミュニケーションが取れる点です。「どこを見ているのか」「今どういう状態か」をきちんと知りたい人には安心感があります。また、施設によっては実際の検査中の映像をリアルタイムに見られる場合もあります。もう一つのメリットとしては、鎮静剤を使わなければ、検査後すぐに帰宅でき、車の運転や仕事にも影響が出にくいという点です。
編集部
逆にデメリットは何ですか?
渡海先生
緊張や痛みによって過度に体がこわばると、スコープの進行が難しくなり検査に時間がかかる場合があります。稀に、苦痛を強く感じやすい人や恐怖感の強い人は、検査を途中で中断せざるを得ないケースもあります。
編集部
ほかに、「意識がある状態」と「眠ったまま」の違いはありますか?
渡海先生
まず、費用の面です。「眠ったまま」の検査では、鎮静剤を使用します。そのため、検査代に鎮静剤の費用が上乗せされる形になります。医療機関や使用する薬剤の種類によっても異なりますが一般的には、保険であれば1000円未満、自費検査であれば2000〜4000円程度の施設が多いです。実際の費用に関しては事前に受診する医療機関に問い合わせることをおすすめします。また、「眠ったまま」の検査では、完全に寝てしまった場合、「検査を受けた実感がない」と不安に感じる人もいます。そのような人は「意識のある状態」あるいは、医師と相談のうえ、少量の鎮静剤を使用するのをおすすめします。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
渡海先生
大腸カメラの「痛み」「つらさ」に関与する要因として、「医師の技術」以外にも「鎮静剤使用の有無」が大きく関係します。実際、過去に大腸カメラで痛い思いをしてトラウマになった人でも、鎮静剤を使用して「眠ったまま」の検査を受けることで「楽だった」と満足してもらえた人が大勢います。また、「完全に寝てしまうのは不安」「つらいのは嫌だけど検査中の映像は見たい」といった人でも、鎮静剤の量の調節によりある程度のコントロールが可能です。少しでも不安なことがあれば検査前に医師にご相談ください。
編集部まとめ
大腸カメラは、大腸がんをはじめとする病気を早期発見するために欠かせない検査です。意識がある状態で受けるか、眠ったまま受けるかは、それぞれにメリット・デメリットがあります。自分に合った方法を選び、安心して検査を受けることが大切です。迷った場合は、まず医師に希望や不安を伝えて相談してみましょう。
参考文献
医院情報

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| 診療科目 | 内科,消化器科,肛門科 |




