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「漢方薬に期待される不妊治療の効果」とは 西洋薬との併用で相乗効果が?

 公開日:2025/10/16
「漢方薬に期待される不妊治療の効果」とは 西洋薬との併用で相乗効果が?

不妊治療に取り組む中で、「体質を整える」手段として漢方薬を併用する方が増えています。漢方薬というと副作用が少ないという印象がありますが、いったいどのような効果が期待できるのでしょうか。西洋薬との飲み合わせも気になるところです。今回は、不妊治療に漢方を取り入れるメリットや注意点などについて、こまえクリニックの放生先生に伺いました。

放生 勲

監修医師
放生 勲(こまえクリニック)

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昭和62年弘前大学医学部卒業。都内の病院にて2年間の内科研修修了。ドイツ政府国費留学生としてフライブルク大学病院およびマックス=プランク免疫学研究所留学。東京医科歯科大学難治疾患研究所を経て、「こまえクリニック」を開院。自らの不妊治療の患者体験から院内に「不妊ルーム」を開設し、1万組近いカップルの不妊相談に応じている。医学博士。

漢方薬とは?

漢方薬とは?

編集部編集部

はじめに、「漢方薬」と「一般的な薬」では何が違うのか教えてください。

放生先生放生先生

一般的な薬である「西洋薬」は、特定の分子や作用部位を狙って効果を発揮する「ミサイル的アプローチ」のように考えられます。ただし、薬は血流に乗って全身に運ばれるため、標的以外の臓器や組織にも届き、副作用が生じることもあります。一方、漢方薬は治療のターゲットを特定の臓器ではなく「体の歪み」と捉え、その歪みを正すことで病気が治るという考え方です。数千年の歴史があり、西洋薬に比べて副作用が少ないとされていますが、どの成分が効いているか特定しにくくエビデンスを出しにくい特性があります。

編集部編集部

漢方薬を不妊治療に使用するケースもあると聞きました。どんなメリットがあるのでしょうか?

放生先生放生先生

漢方薬は妊娠期に入るまで継続して服用できることが多く、「自然な方法で体を整えている」という安心感を得られる方もいます。また、排卵誘発剤の長期使用により子宮内膜が薄くなる副作用が報告されていますが、漢方薬を併用することでそのリスクを軽減し、妊娠に結びつきやすくなる可能性があります。さらに、生理痛軽減など体調改善の「ポジティブな副作用」を期待できるといったメリットもあります。

編集部編集部

漢方薬のみで不妊治療をおこなうケースはありますか?

放生先生放生先生

はい、漢方薬のみを用いて妊娠に至るケースも存在します。しかし、現在のクリニックで最も多い妊娠パターンは、西洋薬であるクロミッドと漢方薬を併用するケースであるとされています。この併用により、それぞれの薬が持つ特徴を活かした相乗効果が期待されます。

不妊治療に東洋医学を取り入れることで得られる効果

不妊治療に東洋医学を取り入れることで得られる効果

編集部編集部

不妊治療に東洋医学を取り入れることで得られる効果を教えてください。

放生先生放生先生

東洋医学(漢方薬)を取り入れることで、西洋薬との相乗効果が生まれ、妊娠の可能性を高めることができます。また、クロミッドの長期使用による子宮内膜が薄くなるなどの副作用を軽減・回避できます。さらに、生理痛の軽減や体調全体の改善といった漢方の体の歪みを整える効果による「ポジティブな体質改善」も期待できるのが特徴です。

編集部編集部

不妊治療に用いられる漢方にはどのような種類がありますか?

放生先生放生先生

不妊治療に代表的な漢方薬は「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」と「温経湯(うんけいとう)」が挙げられます。当帰芍薬散は女性に多く処方される漢方薬の一つで、流産予防や子宮内膜環境の改善に期待できます。温経湯は、特に若い女性の多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)に起因する排卵障害に多く用いられます。そのほかにもイライラするなどの神経症的な症状に効果のある「加味逍遥散(かみしょうようさん)」や、男性不妊に使用する「八味地黄丸(はちみじおうがん)」「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」などがあります。

編集部編集部

漢方薬はどのように効果を発揮するのですか?

放生先生放生先生

東洋医学では、体のバランスの乱れを整えることで生殖機能を含む全身の機能改善をめざします。結果的に不妊症状が改善されることがあります。ただし、効果には個人差が大きく、効果を評価するために問診や血液検査など、西洋医学的な分析を組み合わせて処方内容を調整します。

不妊治療に東洋医学を取り入れる際の注意点

不妊治療に東洋医学を取り入れる際の注意点

編集部編集部

不妊治療に漢方薬を取り入れている方は多いのでしょうか?

放生先生放生先生

そうですね。自然志向や体質改善を望む女性に人気があります。近年ではクリニック側も、患者さんのニーズに応える形で漢方薬の取り扱いを始めているところが増えています。例えば、クリニックによっては、体外受精が中心であっても、週に2〜3回、漢方の専門医を招き患者が漢方について相談できる機会を設けているところもあります。

編集部編集部

不妊治療に東洋医学を取り入れる際の注意点を教えてください。

放生先生放生先生

漢方薬を取り入れる際の最も重要なことは、必ず医師から処方してもらうことです。医療機関であれば保険適用となり経済的負担が軽減されます。また、採血でホルモン値などを測定し、漢方薬の効果を客観的に判断できるため、いわゆる「プラセボ」にならない根拠のあるアプローチが期待できます。

編集部編集部

東洋医学を用いた不妊治療を検討したいのですが、クリニック選びのポイントを教えてください。

放生先生放生先生

東洋医学を用いた不妊治療のクリニック選びのポイントは二つ。一つ目は、「保険適用で漢方薬を処方してくれるかどうか」、二つ目は、「採血などによって漢方薬の効果を客観的に判断してもらえるか」です。これにより、エビデンスに基づいた治療を受け、無駄な費用や時間を費やすことなく、効率的に不妊治療を進めることができます。

編集部まとめ

漢方薬は、不妊の原因となる体質や自律神経の乱れにアプローチでき、西洋薬と併用することでよりよい効果を期待できることがわかりました。不妊治療に取り入れる際は、自己判断せず専門家の指導を受けることが大切です。西洋医学と漢方を上手に組み合わせることで、より効果的な妊娠へのサポートが期待できるとのことです。気になる方は、お近くの不妊治療クリニックへご相談ください。

医院情報

こまえクリニック

こまえクリニック
所在地 〒201-0014 東京都狛江市東和泉1-31-27
アクセス 小田急線「狛江駅」より徒歩3分
診療科目 内科・不妊カウンセリング

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