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「大腸がんの早期発見」に有効! 大腸CTとはどのような検査か医師が解説

 更新日:2025/09/02
「大腸がんの早期発見」に有効! 大腸CTとはどのような検査か医師が解説

大腸がんの早期発見には定期的な検査が欠かせませんが、「大腸カメラは抵抗がある」「下剤がつらい」と感じ、受診をためらう方が多いのが実情です。そうした中、近年はカメラを使わずにおこなえる検査として、「大腸CT」という選択肢が注目されています。では、この検査はどのような病気を見つけることができ、がんの早期発見にどの程度役立つのでしょうか。今回は、大腸CTで見つかる病気やほかの検査との違い、精密検査までの流れや今後の可能性について、九州大学大学院医学研究院臨床放射線科学分野講師の鶴丸大介医師に詳しく解説していただきました。

鶴丸 大介

監修医師
鶴丸 大介(医師)

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1999年(平成11年)鹿児島大学医学部卒業後、放射線診断の専門性を深め、2005年(平成17年)より九州大学病院 放射線科に勤務。日本医学放射線学会放射線診断専門医・指導医(ガイドライン編集委員)として臨床・教育の両面で活躍するほか、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医、日本消化器がん検診学会認定医(大腸CT検査技師認定医員)などの資格を有する。また、日本消化管Virtual Reality学会理事、Japanese Journal of RadiologyのAssociate Editorも務める。著書・論文も多数あり、大腸CTや消化器画像診断の分野で国内外において広く研究成果を発信している。

大腸CTはがんの早期発見に有効?

大腸CTはがんの早期発見に有効?

編集部編集部

はじめに、大腸CTではどんな病気が見つかるのか教えてください。

鶴丸 大介先生鶴丸先生

大腸CTは「バーチャル内視鏡」とも呼ばれ、主に大腸ポリープや大腸がんといった病変を発見することが可能です。特にポリープの中には、将来的にがん化する可能性のある「腺腫性ポリープ」もあり、早期に発見・除去することが大腸がんの予防につながります。また、病変以外にも、憩室症や炎症性腸疾患といった疾患が見つかることもあります。

編集部編集部

大腸CTはがんの早期発見に有効ですか?

鶴丸 大介先生鶴丸先生

大腸CTは、6mm以上の病変に対して約9割の検出精度があるとされています。一方、6mm未満の病変については、大腸がんの可能性は極めて低く、がんの前段階(前がん病変)であるポリープの発見が中心です。これらの特性から、大腸CTは大腸がんの早期発見に非常に有効な検査といえるでしょう。

編集部編集部

大腸カメラ(下部消化管内視鏡検査)と比較して検査の精度はどの程度なのでしょうか?

鶴丸 大介先生鶴丸先生

大腸カメラは、大腸の内部を直接観察する検査であるため、理論上、視認できる病変はすべて発見可能です。一方、大腸CTは、CT画像をもとに作成された「バーチャル内視鏡」による間接的な観察であり、検査精度としてはやや劣るとされています。しかし、臨床的に重要とされる6mm以上の病変においては、大腸CTと大腸カメラで検出率に大きな差はないことが分かっています。

便潜血検査や大腸カメラとの役割分担と精密検査までの流れ

便潜血検査や大腸カメラとの役割分担と精密検査までの流れ

編集部編集部

ほかに大腸がんを調べる検査として便潜血検査や大腸カメラなどがあると思います。それらとの違いや、大腸CTの利点について教えてください。

鶴丸 大介先生鶴丸先生

便潜血検査は、便に血液が混じっているかを調べる簡便なスクリーニング検査で、直接がんやポリープを発見する検査ではありません。陽性反応が出た場合には、精密検査として大腸カメラを受けることで病変の有無を確認します。しかし、実際には便潜血陽性となっても、大腸カメラを受ける方は6~7割程度にとどまり、大腸がん死亡者数の減少に結びついていないという課題もあります。そこで、負担が少なく受けやすい大腸CTが、便潜血陽性者に対する精密検査の選択肢として期待されています。

編集部編集部

大腸CTはどのくらいの頻度で受けるべき検査ですか?

鶴丸 大介先生鶴丸先生

日本国内では、大腸CTに関する推奨される検査間隔について明確なデータは存在しません。一方、米国では大腸CTは5年に一度、大腸カメラは10年に一度が目安とされています。ただし、社会的背景や保険制度が異なるため、これをそのまま日本に当てはめることはできません。重要なのは、継続的に検査を受ける習慣を持つことです。自身の身体やライフスタイルに合った方法を選ぶことが推奨されます。

編集部編集部

大腸CTで「要精密検査」と言われた場合、何をすればいいのでしょうか?

鶴丸 大介先生鶴丸先生

大腸CTで「要精密検査」とされるのは、6mm以上のポリープが疑われるケースが多く、実際に大腸カメラをおこなうと高確率でポリープが確認されます。大腸カメラでポリープが見つかった場合には、その場で内視鏡による切除治療が可能です。したがって、大腸CTの結果で「要精密検査」とされた場合には、速やかに大腸カメラによる精密検査を受けることが強く推奨されます。

大腸CTの課題と今後の展望

大腸CTの課題と今後の展望

編集部編集部

大腸CTでの発見が難しい病変はあるのでしょうか?

鶴丸 大介先生鶴丸先生

大腸CTは、CT画像から再構成した仮想的な内視鏡画像を用いた検査であるため、色調の変化によって診断するような病変の発見には適していません。また、非常に小さな病変や、粘膜面が平坦な「扁平型病変」は見つけにくい傾向があります。これらは大腸カメラのほうが得意とする領域です。

編集部編集部

CTによる被ばくが心配ですが、問題ないのでしょうか?

鶴丸 大介先生鶴丸先生

CT検査はX線を使用するため、一定の放射線被ばくが伴います。ただし、大腸CTにおける放射線量は、通常の腹部CTと同程度であり、特別高くなるわけではありません。さらに、近年では撮影技術の進歩により、通常の1/10程度の線量で撮影できる低被ばくCTも登場しており、安全性は年々向上しています。

編集部編集部

大腸CTが推奨される理由や、今後の展望を教えてください。

鶴丸 大介先生鶴丸先生

大腸がんは日本国内でも罹患数・死亡数ともに上位を占めるがんの一つですが、適切な検査を受けることで予防・早期発見が可能です。大腸CTは、少ない下剤で短時間に実施でき、必要な病変を的確に見つけられることから、気軽に受けられる検査として注目されています。また、現在では診療放射線技師が実施可能となり、大腸カメラの専門医がいない医療機関でも対応が進んでいます。さらに、生成AIを活用した「完全無下剤」の大腸CTも開発されており、今後はより多くの方がこの検査を通じて、大腸がんの早期発見・早期治療に繋がることが期待されています。

編集部まとめ

大腸CTは、大腸がんの予防と早期発見において、有力な検査手段の一つとなり得ます。大腸カメラに比べて身体的・心理的負担が少ないことから、これまで検査に踏み切れなかった方にも広く受け入れられつつあります。一方で、検出できる病変の限界や、必要に応じた大腸カメラとの併用といった現実も理解しておくことが大切です。

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