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『脳卒中か!?』 命にかかわる危険な「めまい」とは? 見分け方と病院を受診すべき症状の目安を医師が解説

 公開日:2025/08/16

「めまい」と聞くと、一時的な体調不良と思われがちですが、なかには命にかかわる病気のサインということもあるそうです。めまいの裏に潜むリスクを見極めるには、どんなポイントに注意すればよいのでしょうか? 今回は脳神経外科を専門とする東田先生(おおたかの森駅前クリニック)に、「危険なめまい」の見分け方と、受診の目安について話を聞きました。

東田 哲博

監修医師
東田 哲博(おおたかの森駅前クリニック)

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横浜市立大学医学部卒業。その後、NTT東日本関東病院で臨床研修。大学院進学後に医学博士を取得し、在学中に米国医師免許も取得。2008年から渡米し、ウェイン州立大学およびテネシー大学の大学病院で診療に従事。2012年に帰国し、横浜市立大学関連施設や流山中央病院で経験を積み、2024年、おおたかの森駅前クリニックを開院、院長となる。医学博士、日本脳神経外科学会専門医、日本脳卒中学会専門医、日本脳神経血管内治療学会専門医、日本脳卒中の外科学会技術認定医。

「めまい」は誰にでも起こりうる?

「めまい」は誰にでも起こりうる?

編集部編集部

そもそも「めまい」とはどのような状態なのでしょうか?

東田 哲博先生東田先生

めまいには、自分や周囲がグルグル回っているように感じる「回転性めまい」と、フワフワ揺れているように感じる「非回転性めまい」があります。いずれも平衡感覚に異常が生じた結果として現れますが、原因や対応は多岐にわたります。

編集部編集部

めまいは誰でも起こるものなのでしょうか?

東田 哲博先生東田先生

はい。年齢や性別にかかわらず、起こり得る症状です。疲労や睡眠不足、ストレス、脱水などが引き金になることもあり、健康な人でも一時的に経験することがあります。ただし、繰り返したり、ほかの症状を伴ったりする場合は注意が必要です。

編集部編集部

日常生活の中で、どのようなときにめまいを感じやすいですか?

東田 哲博先生東田先生

頭を動かしたときや立ち上がった瞬間など、体の動きによって悪化する場合が多いです。特に耳の奥の平衡感覚器官が影響していることが多く、体勢の変化によって症状が誘発されることがあります。

編集部編集部

めまいが起きたら、まず何をすればよいでしょうか?

東田 哲博先生東田先生

まずは座る・横になるなどして安静を保ち、転倒を防ぐことが大切です。水分を取る、深呼吸をするといったことで軽快することもありますが、症状が強い場合や長引く場合は医療機関の受診をおすすめします。

命に関わる可能性がある「危険なめまい」とは?

命に関わる可能性がある「危険なめまい」とは?

編集部編集部

「危険なめまい」とは、どのようなものを指しますか?

東田 哲博先生東田先生

例えば、突然の強いめまいに加えて、手足の麻痺、言葉のもつれ、激しい頭痛、意識がもうろうとする、真っ直ぐ歩けないといった症状がある場合は、脳卒中など脳の病気の可能性があり、緊急性が非常に高いため、すぐに医療機関を受診してください。

編集部編集部

耳の症状がある場合も注意が必要ですか?

東田 哲博先生東田先生

はい。めまいに加えて耳鳴りや難聴を伴う場合、突発性難聴やメニエール病の可能性があります。これらは早期の治療が非常に重要で、発症から数日以内の対応が、予後に大きく影響します。

編集部編集部

どんな検査をすれば、めまいの原因がわかるのですか?

東田 哲博先生東田先生

問診や神経学的診察に加え、必要に応じて頭部のMRIやCT、血液検査、心電図などをおこないます。平衡感覚の検査を受けてもらうこともあります。めまいの原因が耳にあるのか、脳にあるのか、それ以外のところにあるのかを見極めることが、診断の第一歩です。

編集部編集部

症状が落ち着いても、検査は必要ですか?

東田 哲博先生東田先生

強い症状が一時的に消えても、脳卒中の前兆であった可能性もあるため、気になる症状があった場合は早めに検査を受けてもらいたいです。自己判断で済ませず、まずは医師に相談してください。

適切な治療と予防のためにできること

適切な治療と予防のためにできること

編集部編集部

診断後、治療はどのように進められるのでしょうか?

東田 哲博先生東田先生

原因が明確であれば、それに応じた治療をおこないます。耳由来であれば安静や薬物療法、脳や心臓の異常が原因であれば、その疾患に対する専門治療が必要です。良性のめまいであれば、経過観察のみの場合もあります。

編集部編集部

脳神経外科ではどのような対応をするのでしょうか?

東田 哲博先生東田先生

神経疾患の専門的な視点から、原因の鑑別や治療方針の選択をします。めまいの原因が多岐にわたるため、必要に応じて耳鼻科や循環器内科と連携しながら、総合的に対応することが特徴です。

編集部編集部

めまいの再発を防ぐにはどうしたらよいですか?

東田 哲博先生東田先生

睡眠や水分を十分に確保するとともに、栄養バランスの取れた食事を摂ることが基本になります。また、ストレスや疲労をためないこと、めまいを感じたら無理に動かずしばらく安静にすることも大切です。予防的に内服薬を使うこともあります。

編集部編集部

最後に、メディカルドック読者へのメッセージをお願いします。

東田 哲博先生東田先生

めまいは、年齢や性別に関係なく、誰にでも起こりうる症状です。貧血、低血圧、脱水、ストレス、肩こり、自律神経の乱れなど、さまざまな要因が関係しています。症状が強い場合、転倒やケガを引き起こすこともあるため、注意が必要です。「少し休めば治る」と放置せず、近くの脳神経外科などに相談してみてください。専門家の視点で評価・診断を受けることで、原因が明確になり、不安も大きく軽減されることが期待できます。

編集部まとめ

めまいは決して軽視すべき症状ではなく、ときに脳や循環器系・耳鼻科系の異常と深く関わっている場合があります。特に「いつもと違う」「ほかの症状もある」と感じた場合、早めの受診をおすすめします。自分の体の変化を見逃さず、専門医の診察を受けることが、安心と安全につながるため、気になる症状のある人は、先延ばしせずに早めに受診しましょう。

医院情報

おおたかの森駅前クリニック

おおたかの森駅前クリニック
所在地 〒270-01280 千葉県流山市おおたかの森西1-2-3 アゼリアテラス3階
アクセス つくばエクスプレス・東武野田線「流山おおたかの森」駅西口より徒歩1分
診療科目 内科、外科、脳神経外科

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