【子どもの咳(せき)】「薬で止まったが、服用やめたらまた出始めた…」 原因を医師が解説

咳止めで一時的に治まったのに、薬をやめたらまた咳が……。そんな子どもの咳(せき)に悩む親は少なくありません。じつは、咳には体を守る大切な役割があり、原因によっては薬だけでは根本解決にならないことも。しばキッズクリニックの柴先生に詳しく聞きました。

監修医師:
柴 徳生(しばキッズクリニック)
咳止めを止めたらまた咳が出たのはなぜ?

編集部
咳止めを飲んで治まったのに、やめたらまた咳が出ました。どうしてですか?
柴先生
咳止めはあくまでも一時的に症状を抑える薬であり、病気を治すものではありません。たとえば風邪や気管支炎などの場合、咳止めで一時的に咳が治まっても、体内で炎症が続いていれば、薬をやめた後に再び咳が出ることがあります。つまり咳止めを使用して咳が止まったのは、病気が治ったのではなく「咳を一時的に止めていただけ」の状態だった可能性が高いのです。ただし、咳止めの効果はそもそもそれほど強くないので、まったく止まらないことも少なくありません。
編集部
咳が治まっても、治ったわけではないということですね。
柴先生
はい、子どもの病気はどんどん症状が変化していきやすく、上気道炎が治まったと思ったら、今度は下気道炎に拡大した、ということもあります。また、コロナウイルスとインフルエンザウイルスなど、複数の病原体が一度に絡んでいることもあります。そのため、一つの症状が治まっても、また次の症状が出てしまうということがあるのです。
編集部
薬で症状が隠れてしまい、治るタイミングを逃すこともあるのですか?
柴先生
その可能性もあります。咳は、体が異物を排出しようとする大切な防御反応です。咳止めで咳が止まると、かえって痰(たん)がたまりやすくなり、回復が遅れることもあります。とくに子どもは痰を上手に出せないため、無理に咳を抑えることで症状を長引かせてしまうケースもあります。
編集部
そもそも、咳はなぜ長引くことがあるのでしょうか?
柴先生
多くの場合、咳が出るのは風邪などのウイルス感染が原因ですが、気道の粘膜が傷ついたり、過敏になったりすると、ウイルスが除去された後でも咳だけが長引くことがあります。このような症状を気道過敏や感染後咳嗽(がいそう)と呼ぶこともあります。治ったと思ってもぶり返すのは、このような状況が関係しているのかもしれません。
咳が出始めたらどうしたらよい? 受診の目安は?

編集部
子どもが咳をし始めたら、家庭でどう対応すればいいですか?
柴先生
まずは安静と保湿、こまめな水分補給を心がけましょう。部屋の湿度を保ち、冷たい空気を吸わせないようにすることも大切です。発熱がなく、いつもと変わらずに元気にしていれば、様子を見るのもよいかもしれませんが、咳がつらそうなときは早めに医師に相談しましょう。安易に市販薬に頼る前に、原因を見極めることが重要です。
編集部
どんな咳のときに受診が必要ですか?
柴先生
受診の目安として、咳がひどくて寝付けない、呼吸がゼーゼー・ヒューヒューしている、息苦しさがある、顔色が悪い、水分が取れない、発熱が続く、といったことが挙げられます。とくに乳幼児や喘息の既往がある子どもは悪化しやすいため、早めに受診するようにしましょう。
編集部
熱はないのですが咳だけが続く場合でも、受診した方がよいのでしょうか?
柴先生
はい、熱がなくても咳が続く場合は、受診をおすすめします。とくに咳だけが何週間も長引くようであれば、気管支喘息や百日咳、副鼻腔炎など、風邪以外の病気が隠れていることもあります。このような病気は治療法が確立されていますから、早めに受診することで、悪化を防ぐことができます。
咳止めは飲まない方がいい?

編集部
子どもに咳止めは使わない方がいいのでしょうか?
柴先生
たしかにそのような意見もあります。咳は体を守る反応でもあるため、無理に咳を止めると回復を遅らせることもあります。とくに痰を伴う咳を止めてしまうと、痰が体内にたまりやすくなり、二次感染や肺炎のリスクもあります。自己判断せずに、医師の指示で使うようにしましょう。
編集部
咳止めはまったく使わない方がいいのですか?
柴先生
いいえ、まったく使わないというわけではありません。夜間に咳で眠れない、咳き込みで嘔吐してしまうなど、日常生活に支障がある場合は、医師の判断で咳止めを処方することもあります。ただし咳止めを使うのは、あくまでも症状を緩和するためであり、病気の治癒が目的ではないことに注意が必要です。
編集部
市販の咳止めは使っても大丈夫ですか?
柴先生
市販薬は年齢や体重に合わない成分が含まれていることがあり、とくに6歳未満の乳幼児では使用が推奨されていない薬もあります。副作用や過剰投与のリスクもあるため、市販薬を使う場合には、パッケージに記載された適応年齢と用量を守るようにしましょう。薬剤師に相談の上で使用すると安心です。
編集部
最後にメディカルドック読者へのメッセージがあれば。
柴先生
当院の場合、感染症が疑われるお子さんには病原体を確認する検査をおこなうのですが、その際、複数の病原体が検出されることは珍しくありません。そのような場合には、一つの病原体が治まったと思ったら、次の病原体に感染してしまったということもよくあり、症状が長引くことは少なくありません。症状が長引いているからといって、必ずしも危険性が高いわけではないので、ぜひ、落ち着いて行動してほしいと思います。また、お子さんが咳き込み嘔吐をすると心配になる保護者さんも多いのですが、そもそも子どもは食道が短く、嘔吐しやすい構造になっています。咳き込み嘔吐は決して珍しいものではないので、冷静に見守ったうえで、心配なことがあれば医師に相談をしてほしいと思います。
編集部まとめ
長引くことが多い子どもの咳。咳止めを使用したり、小児科を受診したり、保護者の対応はそれぞれだと思いますが、覚えておきたいのは、子どもの咳が長引くのは決して珍しいことではないということ。慌てることなく、どのような症状が出ているのかなど冷静に観察し、適切な対応を取りたいですね。
医院情報

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| 診療科目 | 小児科 |
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