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「白内障」に気づくキッカケはご存じですか? 初期症状・発症のサインを眼科医が解説!

 更新日:2025/09/17

白内障は、誰もが年齢とともに経験する可能性のある目の病気です。しかし、進行が緩やかであるため、気づかないうちに視力が低下しているケースも多いようです。今回は、白内障の初期症状や日常生活でのチェックポイント、早期発見のための工夫などを「あおば眼科クリニック」の小澤先生に解説していただきました。

小澤 憲司

監修医師
小澤 憲司(あおば眼科クリニック)

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岐阜大学医学部医学科卒業。その後、JA愛知厚生連豊田厚生病院、美濃市立美濃病院、岐阜大学医学部附属病院、大垣市民病院などで経験を積む。2023年、岐阜県瑞穂市に「あおば眼科クリニック」を開院。日本眼科学会認定専門医・ボトックス注射認定医。

白内障の初期症状

白内障の初期症状

編集部編集部

白内障とは、どのような病気ですか?

小澤 憲司先生小澤先生

カメラでいうレンズにあたる「水晶体」が、何らかの要因で濁ってしまうのが白内障です。光が網膜に届かなくなり、視界がかすんだり、ぼやけたりといった症状が表れます。白内障が進行すると視力が落ち、日常生活に支障をきたすようになります。

編集部編集部

水晶体が濁る原因について教えてください。

小澤 憲司先生小澤先生

最も多いのは、加齢によるものです。年齢を重ねるにつれて水晶体が徐々に濁っていきます。これは誰にでも起こり得る自然な老化現象で、40代から徐々に始まり、80代ではほぼ全ての人にみられると言われています。それ以外にも、糖尿病やアトピー性皮膚炎といった全身の病気、ステロイドの長期使用、外傷、先天的な要因、また強い紫外線なども白内障の発症に関与します。

編集部編集部

白内障の症状には、どのようなものがありますか?

小澤 憲司先生小澤先生

初期の段階では、「視界が少しぼやける」「まぶしさを感じやすくなる」「明るい場所と暗い場所での見え方に差を感じる」といった、微細な変化が出現します。また、「物がかすんで見える」「二重に見える」などの症状も要注意です。

編集部編集部

白内障は、進行する病気なのでしょうか?

小澤 憲司先生小澤先生

そうですね。年齢とともに水晶体の濁りは徐々に進行するので、様子を見ていて改善するといったことはありません。多くは数年単位で少しずつ悪化するため、自覚症状が出るまでに時間がかかることも少なくありません。

白内障の進行や治療

白内障の進行や治療

編集部編集部

白内障の治療について教えてください。

小澤 憲司先生小澤先生

白内障の治療は、進行の程度や日常生活への影響によって選択肢が変わります。初期段階では、点眼薬を使って進行を緩やかにすることもありますが、薬で白内障そのものを治すことはできません。視力低下が進み、日常生活に支障が出てきた場合は、手術が検討されます。

編集部編集部

白内障は、点眼薬では治らないのですか?

小澤 憲司先生小澤先生

残念ながら、濁った水晶体が元に戻ることはありません。点眼薬で進行を遅らせることはできますが、水晶体の濁り自体を元に戻すことはできないのです。ある程度進行した場合は、手術による治療が必要になります。

編集部編集部

白内障の手術について教えてください。

小澤 憲司先生小澤先生

手術では濁った水晶体を取り除き、代わりに人工の眼内レンズを挿入します。日本では年間160万件以上おこなわれている非常に一般的な手術で、安全性も高く、多くの人が視力の改善を実感しています。眼内レンズにはいくつかの種類があり、それぞれのニーズやライフスタイル、目の状態などに応じて選択することが可能です。

編集部編集部

手術を受けるタイミングはどう判断すればいいですか?

小澤 憲司先生小澤先生

日常生活に不便を感じるようになったときが、1つの目安です。視力検査の数値だけではなく、「見えづらくて困っているかどうか」が重要な判断基準になります。

白内障を早期発見するには?

白内障を早期発見するには?

編集部編集部

白内障を予防する方法はありますか?

小澤 憲司先生小澤先生

完全に予防することは難しいですが、紫外線対策や抗酸化物質を意識した食生活などで発症を遅らせる、または進行を抑えられる可能性はあります。加えて、糖尿病を発症している人は、血糖値のコントロールなども大切です。

編集部編集部

日常生活で白内障に気づくためのポイントはありますか?

小澤 憲司先生小澤先生

「照明を明るくしないと新聞や本が読みづらい」「運転中に対向車のライトがまぶしい」「眼鏡の度が合わなくなったと感じる」「ものが二重、三重に見える」などが白内障のサインになることがあります。定期的な視力チェックや眼科受診での早期発見が大切です。

編集部編集部

白内障の早期発見には、どう取り組めばいいですか?

小澤 憲司先生小澤先生

40歳を過ぎたら、たとえ症状がなくても一度は眼科で検診を受けておくと安心です。視力が落ちていなくても、水晶体の濁りが始まっている場合があります。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

小澤 憲司先生小澤先生

白内障は、早期に見つけて適切に対処することがとても大切です。「手術が怖い」と不安を感じて受診をためらう人もいらっしゃいますが、進行してからでは手術時の目への負担が大きくなり、傷口の範囲が広がる可能性もあります。白内障は眼科で定期的にチェックを受け、適切な時期に手術を検討することをおすすめします。

編集部まとめ

白内障はゆっくり進行するため、気づかないうちに生活に支障が出るケースもあります。しかし、日常生活の中でのちょっとしたサインに気づき、早めに眼科を受診することで、進行を防いだり、適切なタイミングでの手術につなげたりすることが可能です。特に40歳を過ぎたら、定期的な検診を習慣にし、安心して過ごせる視力を守っていきましょう。

医院情報

あおば眼科クリニック

あおば眼科クリニック
所在地 〒501-0224 岐阜県瑞穂市稲里683-1
アクセス JR「穂積駅」 バスで20分
診療科目 眼科

この記事の監修医師