「大腸カメラ」の後に腹痛や倦怠感… 原因・受診すべき症状・対処法を医師が解説!

大腸カメラを受けた後に、腹痛を感じたり倦怠感を覚えたりすることはありませんか? 検査後の症状で、受診した方がいいのか悩むこともあるかもしれません。今回は、大腸カメラの検査後に腹痛や倦怠感が起きる理由や対処法について、「街のクリニック」の土屋先生に解説していただきました。

監修医師:
土屋 喜一(街のクリニック)
大腸カメラ後に腹痛や倦怠感が起きる原因

編集部
大腸カメラの検査後、腹痛やだるさが出ることがあります。
土屋先生
たしかに、そのような患者さんは一定数いらっしゃいます。腸を膨らませるために空気や二酸化炭素を入れるので、検査後にお腹が張ったり、軽い痛みを感じたりする人もいます。体への負担や前処置の影響で、倦怠感が出ることも珍しくありません。
編集部
実際、どのような症状が出る人が多いのでしょうか?
土屋先生
腹部のハリ、軽い下腹部の痛み、疲労感、眠気、吐き気、ムカムカするなどが一般的です。これらは薬剤や検査内容の影響によって生じ、検査時に鎮静剤を使った場合は、薬の影響でしばらくぼーっとする人もいます。ただし、どの症状も1〜2日で自然におさまることがほとんどです。
編集部
倦怠感は、どのような原因で起こるのですか?
土屋先生
前日の下剤による体力消耗、食事制限、検査時の緊張、そして鎮静剤の影響などが重なって起こります。一時的な脱水やエネルギー不足によることもあり、しっかり休むことで改善するケースがほとんどです。
大腸カメラ後に注意すべき症状

編集部
反対に、「これは普通じゃない」と判断すべき症状には、どのようなものがありますか?
土屋先生
「強い腹痛」「出血が止まらない」「高熱」「吐き気が続く」といった症状は要注意です。特に、歩けないほどの痛みや冷や汗を伴うような腹痛がある場合は、腸に穴が空く穿孔(せんこう)の可能性もあるので、できるだけ早めに受診しましょう。
編集部
出血はどの程度まで様子見で大丈夫なのでしょうか?
土屋先生
内視鏡検査に伴ってポリープを切り取るなど、出血するリスクのある処置をおこなったときは、出血の可能性があります。検査後、初めてのお通じではトイレットペーパーに血液がつくことは珍しくありません。しかし、その後も出血の程度がどんどん悪くなる、心配になるほど大量の血液が出た、ふらつくなど貧血の症状が出るといった場合には、早めに医師に相談してください。
編集部
時間が経ってから症状が出るケースもありますか?
土屋先生
はい、あります。特にポリープ切除後の出血や穿孔は、検査の翌日以降に発症することもあるため、「終わったから安心」と油断せず、2〜3日は体調をしっかり観察することが大切です。少なくとも1週間は激しい運動を避けましょう。
編集部
ちょっとした痛みでも我慢しない方がいいのでしょうか?
土屋先生
基本的には「我慢せずに相談を」と考えましょう。小さな違和感でも、異常の兆候である可能性はゼロではありません。これくらい平気だろうと放置せず、気になる場合は医療機関に連絡してください。
大腸カメラ後に症状が出たときの対処法

編集部
もし症状が出た場合、まず自分でできる対処法はありますか?
土屋先生
まずは安静を保ち、水分補給をしっかりおこなうことが大切です。軽い痛みやハリであれば、お腹を温めたり、楽な姿勢を取ったりして症状が治ることもあります。ただし、症状が改善しない場合は早めに受診をしましょう。
編集部
市販薬は飲んでもいいのでしょうか?
土屋先生
基本的には、自己判断での服用は避けた方が無難です。特に痛み止めには、腸の動きを抑えたり、出血を助長したりする成分が含まれていることがあり、症状をかえって悪化させることもあります。服用前に医師に相談することをおすすめします。
編集部
自己判断で市販薬を飲まない方がいいのですね。
土屋先生
検査を終えて病院から帰宅するとき、もし心配であれば「自宅で症状が強くなったらどうすればいいのか」と、医師に相談することをおすすめします。そうすればあらかじめ薬を処方してくれるかもしれませんし、「このような成分の市販薬なら飲んでもいいですよ」と教えてもらえるかもしれません。
編集部
夜間や休日に症状が出た場合、どうすればいいでしょうか?
土屋先生
「普段と違う」「明らかにおかしい」と感じたら、迷わずすぐに連絡してください。夜間や休日であっても、救急相談センターなどに相談可能ですし、場合によっては救急車を呼んでもいいでしょう。早めの対応が重症化を防ぐ鍵になります。
編集部
検査後、どんな点に気をつけて過ごせばいいですか?
土屋先生
内視鏡検査だけで終わった場合には、翌日から普段の生活に戻ることができます。検査当日はしっかり体を休めること。合併症のリスクもあるため、検査後に仕事などの用事を入れないようにすることをおすすめします。一方、内視鏡検査とともにポリープを切除した場合には、激しい運動や飲酒は1週間程度控えてください。数日間は入浴をせずシャワー浴にする、重いものを持たないなども心がけましょう。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
土屋先生
近年、内視鏡検査の技術は著しく伸びており、医療機器の性能、医師の能力、薬剤の効き目などは格段に進化しています。安心して質の高い内視鏡検査を受けてもらうため、もし検査に対して不安があるようなら率直に医師に相談してみましょう。医療機器や薬剤を適切に選択することで、それらの不安を解消できるかもしれません。必要な検査を受けられないという不利益を被ることがないように、ぜひ信頼できる医師のもとで安心して検査を受けてほしいと思います。
編集部まとめ
大腸カメラの検査を受けた後、お腹が張る、腹痛がするといった違和感を覚えることは少なくありません。「もう二度と検査を受けたくない」と考える人も多いと思いますが、「そもそもなぜ、検査が必要なのか?」を考えたら、「二度と検査を受けない」ことのリスクはわかるはず。信頼できる医師や医療機関を見つけ、安心して検査を受けたいですね。
医院情報

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| 診療科目 | 内科、外科、消化器内視鏡内科、胃腸内科 |




