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複数の「がん検診」を同時に受けるメリットとは? 『胃がん・大腸がん・肺がん検診』を医師が解説

 公開日:2025/11/24
複数の「がん検診」を同時に受けるメリットとは? 胃がん・大腸がん・肺がん検診を医師が解説

胃や大腸、肺の検診はがんの早期発見に欠かせないものです。しかし、何度も病院に通って検査を受ける手間は極力省きたいもの。はたして、全ての検査を一度で済ませてもいいのでしょうか? 「千葉柏駅前胃と大腸肛門の内視鏡・日帰り手術クリニック 健診プラザ」の鈴木先生に教えてもらいました。

鈴木 隆二

監修医師
鈴木 隆二(千葉柏駅前胃と大腸肛門の内視鏡・日帰り手術クリニック 健診プラザ)

プロフィールをもっと見る
聖マリアンナ医科大学卒業。その後、東京女子医科大学消化器病センター助教を務める。2020年8月、「筑波胃腸病院」(茨城県つくば市)の理事長に就任。 2024年4月、「千葉柏駅前胃と大腸肛門の内視鏡・日帰り手術クリニック 健診プラザ」(千葉県柏市)を開院。医学博士。日本消化器内視鏡学会専門医、日本外科学会専門医。麻酔科標榜医、産業医、難病指定医。

胃がん・大腸がん・肺がん検診の内容

胃がん・大腸がん・肺がん検診の内容

編集部編集部

まず、胃がん検診の検査内容について教えてください。

鈴木先生鈴木先生

胃がん検診では、主に「バリウム検査(胃部X線検査)」または「内視鏡検査(胃カメラ)」をおこないます。バリウム検査では、X線撮影によって胃の形や粘膜の異常をチェックします。一方、内視鏡検査では、実際に胃の中を直接観察します。どちらの検査をおこなうかは、胃がんなどのリスクや年齢に応じて選択されますが、内視鏡検査の方がより正確に胃の内部を観察できます。また、必要に応じて組織の一部を採取して調べることもでき、特にがんの早期発見に有効とされています。

編集部編集部

次に、大腸がんの検診ではどのような方法がありますか?

鈴木先生鈴木先生

最も一般的なのは「便潜血検査」です。便の中に血液が混じっていないかを調べる簡便な検査で、年に1~2回の頻度で受けることが推奨されています。もし結果が陽性であれば、大腸内視鏡(大腸カメラ)による精密検査がおこなわれるのが一般的です。

編集部編集部

肺がん検診では、どのような検査をするのでしょうか?

鈴木先生鈴木先生

肺がん検診では「レントゲン検査(胸部X線検査)」が一般的です。ただし、喫煙歴がある人やリスクの高い人には、より詳細な検査として「喀痰(かくたん)細胞診」や「CT検査」が追加されることもあります。これらの検査は、無症状のうちに肺がんを見つけるのに有用です。

編集部編集部

どの検査も必ず受けるべきなのでしょうか?

鈴木先生鈴木先生

それぞれのがんは初期には自覚症状が乏しいため、定期的な検診がとても重要です。年齢や家族歴、生活習慣によって必要性は異なりますが、特に35歳以上の人は、がんの種類を問わず早期発見のために受診することが推奨されています。

がん検診を同時に受けるメリット・デメリット

がん検診を同時に受けるメリット・デメリット

編集部編集部

胃・大腸・肺がん検診を同じ日に受けても問題ありませんか?

鈴木先生鈴木先生

基本的には、健康状態に問題がなければ同日に受けても問題ありません。ただし、体調や既往歴によっては間隔を空けた方がいいケースもあります。事前に医療機関に相談すると安心でしょう。

編集部編集部

検診を同じ日に受けるメリットとは?

鈴木先生鈴木先生

一番のメリットは「時間の効率化」です。忙しい人でも1日で複数のがん検診を済ませることで、検査の機会を逃さずに済みます。また、まとめて結果を把握できるので、健康管理にも役立つでしょう。

編集部編集部

そのほかにもメリットはありますか?

鈴木先生鈴木先生

例えば、胃カメラと大腸カメラの検査を受ける場合、同日に受けた方が検査料金を抑えられるので、金銭的なメリットもあります。

編集部編集部

逆に、デメリットや注意点があれば教えてください。

鈴木先生鈴木先生

検査の内容によっては食事を抜いたり、下剤を使用したりすることが必要になるため、体への負担が大きくなるかもしれません。また、検査のスケジュールを調整する必要もあります。加えて、結果に応じて複数の追加検査が必要になれば、身体的・精神的な負担が増えることも考えられるでしょう。

編集部編集部

全ての医療機関で、同時に検診を受けられるわけではないのですか?

鈴木先生鈴木先生

医療機関によっては、設備や人員の都合で全ての検査を一度に対応できない場合もあります。同時に検査を受けたい場合は、予約や相談をしておきましょう。

がん検診の検査の流れや注意点

がん検診の検査の流れや注意点

編集部編集部

胃カメラ・大腸カメラ・肺のレントゲン検査を1日で受ける場合、どのような順番になりますか?

鈴木先生鈴木先生

通常は、下剤を使って腸内が綺麗になったら、胃カメラと大腸カメラの検査を連続しておこないます。肺のレントゲン検査は胃カメラの前、あるいは大腸カメラの後におこないます。

編集部編集部

胃カメラではなく胃のバリウム検査の場合、大腸カメラや肺のレントゲン検査と同日におこなうこともあるのですか?

鈴木先生鈴木先生

いいえ。胃のバリウム検査は、大腸カメラなどと同日にはおこなわないのが一般的です。バリウムと下剤を両方服用するのは体に負担になりますし、バリウム検査とレントゲン検査では放射線を用いるので、被曝量を極力減らすためにも同日に検査をおこなうことは避けています。

編集部編集部

食事や服装など、事前に気をつけることはありますか?

鈴木先生鈴木先生

胃の検査がある場合は、検査前日の夜から絶食が必要です。また、検査着に着替えることもあるため、着脱しやすい服装がおすすめです。

編集部編集部

そのほかにも、注意すべきことがあれば教えてください。

鈴木先生鈴木先生

内視鏡検査後は、一時的な吐き気やだるさを感じることもあるため、当日は無理をせず安静を心がけましょう。自家用車での来院は避け、公共交通機関を使用しましょう。

編集部編集部

3つの検査を終えるのに、だいたい何時間かかりますか?

鈴木先生鈴木先生

参考までに当院の場合、来院から検査終了まで3時間程度となります。ただし、使用する下剤の種類や腸内が綺麗になるまでに必要な時間によっても検査時間は変わるため、詳しくは受診する医療機関に確認するといいでしょう。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

鈴木先生鈴木先生

胃や大腸、肺の検診を受けない人に理由を尋ねると「忙しい」「検査が怖い」という答えが返ってきます。しかし、検査を同日に受けることができれば、忙しい人でも時間を調整することは可能かもしれませんし、また、「検査が怖い」という恐怖心も、鎮静剤を使えば解消できます。なにより、検診にはネガティブな要素を上回るほど、大きなメリットがあります。具体的には、胃カメラでは胃がんの大きな原因であるピロリ菌の有無を調べることができますし、大腸カメラでは大腸がんの根源となり得るポリープもその場で切除することもできます。ぜひ、35歳以降の人は胃がん・大腸がん・肺がんの検診を受け、がんの予防に取り組んでほしいと思います。

編集部まとめ

1日で3つの検査を受けられるのは、多忙な人にとって大きなメリットになるとのことでした。ただし、全ての医療機関でこうしたサービスが受けられるわけではないので、検査を考える場合には医療機関に相談してみましょう。

医院情報

千葉柏駅前胃と大腸肛門の内視鏡・日帰り手術クリニック 健診プラザ

千葉柏駅前胃と大腸肛門の内視鏡・日帰り手術クリニック 健診プラザ
所在地 〒277-0852 千葉県柏市旭町1丁目1−2 YK-7ビル 1F
アクセス JR「柏」駅西口より徒歩1分
診療科目 胃腸科、消化器内科、内視鏡内科、肛門科

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