｢黒い便｣が出る理由をご存じですか? “タール便”が出てしまう病気･がんを医師が解説

阿部先生

黒い便のことを「タール便」ともいいますが、これは、消化管内で出血が起こり、血液が胃や腸で分解されて黒くなることで生じます。特に上部消化管（食道、胃、十二指腸）からの出血が多く関係しています。

阿部先生

タール便は、消化管出血の重要なサインとして出ることがあります。胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃がん、食道や胃の静脈瘤破裂など、深刻な疾患が背景にあることも考えられるため、放置は禁物です。

阿部先生

鉄剤やビスマス製剤（胃薬の一部）を服用していると、便が黒くなることがあります。この場合は特に異常ではありませんが、判断がつかないときは医師に相談するようにしましょう。

阿部先生

タールのようにテカテカして真っ黒な便であれば、消化管出血の可能性が高いと言えます。また、時間が経っても色が濃いまま変化しない便や、においが強い便は要注意です。

阿部先生

食道や胃の静脈瘤破裂、胃がんが原因になることもあります。また、痛み止めとして多く用いられるNSAIDs（エヌセイズ）による胃粘膜障害も、出血の一因となることがあります。

阿部先生

はい、特に胃がんでは、腫瘍が出血することで便が黒くなることがあります。慢性的なタール便が続く場合はがんの可能性を疑い、精密検査を受けるようにしましょう。

阿部先生

一般に、胃や十二指腸などの「上部消化管」での出血は、便が黒くなる原因になります。一方、肛門に近い場所（下部消化管）からの出血では、赤い便になります。これは血液が体内にとどまる時間の長さや胃酸の影響が関係しています。

阿部先生

はい、あります。特にピロリ菌による胃炎や薬剤性の潰瘍、ストレスによる粘膜障害などが原因となって黒い便が出ることもあります。若いからといって油断は禁物で、黒い便が続くときは要注意です。早めに医師の診察を受けるようにしましょう。

阿部先生

できるだけ早く消化器内科を受診してください。特に貧血、動悸、めまい、吐き気などの症状を伴う場合は消化器系の病気が原因となっていることも多く、緊急性を伴うことがあります。場合によっては内視鏡検査などが必要になることもあります。

阿部先生

まずは問診と血液検査で貧血の有無を調べます。それから必要に応じて上部消化管内視鏡検査（胃カメラ）で、どこから出血しているのかを確認します。必要に応じて腹部CT検査や大腸内視鏡検査（大腸カメラ）もおこなう場合があります。

阿部先生

はい。出血が一時的に止まっても原因となる疾患は残っている可能性があります。怖いのは、潰瘍やがんを見逃すということ。それを防ぐためにも、黒い便が出なくなっても検査を受けることが大切です。

阿部先生

まずは消化器内科を受診してください。もし近くに専門医がいなければ、かかりつけ医や内科で相談すれば、必要に応じて専門科を紹介してくれると思います。

阿部先生

黒い便を認める場合は、胃がんなど危険な病気が隠れていることもあります。黒い便が出たのがたとえ1回だけだったとしても、上部消化管のどこかで出血している可能性は否定できません。また、貧血が生じている可能性もあり、場合によっては輸血が必要になることもあります。必ず消化器内科を受診して、検査を受けるようにしましょう。