「糖尿病」にならないためにはどうしたらいいかご存じですか? 2つの検査の重要性を医師が解説!

様々な合併症を引き起こし、ときには命のリスクになることもある「糖尿病」。発症してから治療をするのではなく、できる限り予防することが大切になってきます。一体、糖尿病を予防するためには、何が必要なのでしょうか。「赤塚クリニック」の赤塚先生に解説していただきました。

監修医師:
赤塚 元(赤塚クリニック)
糖尿病予防に必要な検査

編集部
糖尿病を予防するために必要なことはなんですか?
赤塚先生
検査を受けることが、糖尿病を防ぐカギと言えるでしょう。糖尿病の主な検査には、血液検査と尿検査があります。血液検査では「ヘモグロビンA1c(HbA1c)」「空腹時血糖値」「75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)」「随時血糖値検査」があります。これらのうち、健康診断や人間ドックなどで一般的におこなわれているのがヘモグロビンA1c(HbA1c)と空腹時血糖値です。
編集部
それはどのような検査ですか?
赤塚先生
ヘモグロビンA1cとは、血液中の赤血球に存在するヘモグロビンにブドウ糖が結合した割合のことです。ヘモグロビンA1cを調べることで、過去1〜2カ月の血糖の状態を把握することができます。血糖値が慢性的に高い状態が続けば、検査数値は高くなります。
編集部
空腹時血糖値とどう違うのですか?
赤塚先生
空腹時血糖値は、10時間以上の絶食後に採血したときの血糖値のことです。ヘモグロビンA1cや随時血糖値などと併せて見ることで、血糖管理状態を推測します。
糖尿病を予防するために血液と尿を調べる重要性

編集部
そのほかの血液検査についてはいかがでしょうか?
赤塚先生
75g経口ブドウ糖負荷試験は、75gのブドウ糖水を飲んでもらい、その2時間後に採血して血糖値を測ります。これをおこなうことで、血糖値を正常に保つ「耐糖能」という能力がどれくらい高いかを調べます。随時血糖値検査は、食後からの時間などを決めず、食事の時間と無関係に採血して血糖値を測る検査です。
編集部
それだけ多くの検査をしなければいけないのですか?
赤塚先生
日本糖尿病学会では、これらの4つの検査を必要に応じて選択しておこない、例えば「早朝空腹時血糖値が126mg/dL以上」かつ、「ヘモグロビンA1cが6.5%以上」だった場合には糖尿病と診断するなどと細かく定められています。
編集部
次に、尿検査を受ける必要性についても教えてください。
赤塚先生
尿検査は腎障害の早期発見に役立つために必要で、「一般尿試験紙検査」と「微量アルブミン尿検査」があります。微量アルブミン尿検査は尿のなかにアルブミンがどれだけ含まれているかを調べる検査で、糖尿病による腎障害を調べるためには必須の検査です。
検査を受けるタイミング

編集部
尿糖検査とは?
赤塚先生
尿糖検査は陰性(−)が問題なし、(±)は要注意、(+)は陽性で示されます。そもそも、尿は血液が腎臓によって濾過されたものです。血液中にブドウ糖が多くなると、膵臓から分泌されたインスリンが働いて血糖値を一定に保とうとしますが、その能力以上に血糖値が高くなると尿糖として排出されます。一般には、血糖値が160~180mg/dlを超えてしまったときに尿糖が検出されます。
編集部
尿タンパク検査とはなんですか?
赤塚先生
尿タンパク検査で陽性ということは、腎臓や尿管など泌尿器の機能に異常があるということです。健康な人の体では腎臓で尿を作るとき、タンパク質は体内に再吸収されます。しかし、腎臓や尿管などに異常があるとこの機能が働かないため、尿にタンパク質が多量に含まれてしまうのです。タンパク質の中でもアルブミンは、分子量が小さく鋭敏な指標です。微量アルブミン尿検査は、腎臓の中でも大変重要な糸球体障害を検出する重要な検査です。
編集部
そのような検査はいつ受けたらいいでしょうか? 検査を受ける間隔は?
赤塚先生
微量アルブミン尿検査が重要であると述べましたが、保険診療上で3カ月を経過しないと再検査できません。血糖などの管理状態や合併症の進展状態などを勘案して主治医が検査時期を提案するので、それに従うのがいいでしょう。
編集部
そのほか、検査で気をつけることはありますか?
赤塚先生
糖尿病の治療にあたって様々な検査が必要となり、主に「現在の管理状態を把握する検査」と「合併症の進展状態を把握する検査」があります。管理状態よりも合併症抑制の方が重要であり、合併症状態の検査は重要です。検査については主治医の指示に従うことが重要だと思いますが、検査の必要性に疑問を抱く際には主治医に質問することをおすすめします。十分かどうかはわかりませんが、当院では合併症検査の重要性についても日々お話するように努めています。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
赤塚先生
糖尿病は、若者の発症率は低いものの、高齢者よりも若くして発症する方が、のちのち問題になることが多いとされています。そのため、若くても年1回血液検査を受けることをおすすめします。特に親が糖尿病の人は遺伝的に糖尿病のリスクが高く、糖尿病になりやすい体質を受け継いでいることも少なくありません。必ず年1回は血液検査を受け、早期発見に努めましょう。
編集部まとめ
糖尿病は治療よりも予防が必要な疾患です。「若いから大丈夫」などと油断せず、20~30代のうちから年1回血液検査を受ける習慣を持つことが、糖尿病の予防に重要とのことでした。
医院情報

| 所在地 | 〒514-2211 三重県津市芸濃町椋本890番地1 |
| アクセス | 三重交通バス「椋本」バス停 徒歩3分 |
| 診療科目 | 内科、糖尿病内科、消化器内科 |



