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「頭痛」の引き金となる条件はご存じですか? 片頭痛の前兆・対処法を医師が解説!

 公開日:2025/03/27

頭痛には様々な原因がありますが、天気や光、騒音などの環境要因が影響することも少なくありません。気圧の変化や強い光、音がどのように頭痛を引き起こすのでしょうか。そこで今回の記事では、天気、光、騒音が頭痛に及ぼす影響について、「あい内科クリニック」の柳本先生に解説していただきました。

柳本 昌子

監修医師
柳本 昌子(あい内科クリニック)

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東邦大学医学部卒業。その後、済生会若草病院内科、国立循環器病研究センター脳神経内科、介護老人保健施設みやじま、間中病院で経験を積む。2002年、神奈川県横浜市に「あい内科クリニック」を開院。日本医師会認定産業医。

なぜ頭痛は起こる? 女性に多い頭痛があるってホント?

なぜ頭痛は起こる? 女性に多い頭痛があるってホント?

編集部編集部

頭痛で悩んでいる人は多いのでしょうか?

柳本 昌子先生柳本先生

頭痛のある人は、非常に多いと言われています。日本頭痛学会の調査によると、症状が軽いものから生活に支障が出るほどのものまで含めると、日本人の約40%がなんらかの頭痛に悩まされているとされています。

編集部編集部

なぜ頭痛は起こるのですか?

柳本 昌子先生柳本先生

「頭痛」と一口に言っても、日常的に起こる頭痛から脳の血管などがなんらかの異常や病気によって引き起こされる頭痛まで、原因やメカニズムは様々です。大きく分けると、脳や体には異常がないのに起こる「一次性頭痛」となんらかの病気が原因で起こる「二次性頭痛」の2つがあります。

編集部編集部

それぞれ、もう少し詳しく教えてください。

柳本 昌子先生柳本先生

まず、一次性頭痛は「片頭痛」と「緊張型頭痛」の2つがメジャーな頭痛です。そのなかでも最も多い片頭痛は、20~30代の女性に多く、こめかみや目の奥がズキズキと拍動するように痛むのが特徴です。一方、緊張型頭痛は、後頭部や頭全体が絞めつけられたり、押さえられるように痛んだりするといった特徴があります。加えて、片側の目の奥から頭の側頭部にかけて激しい痛みが繰り返し起こる「群発頭痛」も、一次性頭痛に含まれます。

編集部編集部

二次性頭痛の原因についてはいかがでしょうか?

柳本 昌子先生柳本先生

くも膜下出血や脳出血などの脳血管障害、脳腫瘍や副鼻腔炎、RCVS(可逆性脳血管攣縮症候群)などによる頭痛があります。特に、くも膜下出血は突然の激しい頭痛が起こり、生死にかかわる場合があります。普段、あまり頭痛を経験したことのない人にこのような症状が表れた場合は、早急に医療機関を受診しましょう。

頭痛の前兆

頭痛の前兆

編集部編集部

「光や音が影響する頭痛」があると聞きました。本当ですか?

柳本 昌子先生柳本先生

はい、あります。片頭痛は通常、頭痛や吐き気・嘔吐などの症状が表れますが、光や音に対する過敏症(光過敏症・音過敏症)を伴うこともあります。

編集部編集部

なぜ、光や音が片頭痛を悪化させるのでしょうか?

柳本 昌子先生柳本先生

片頭痛では脳の神経が過敏になっているため、強い光や音が刺激となり、痛みが悪化するのです。片頭痛が起こると感覚過敏となり、ふだんは気にならないような光や音、臭いを不快に感じたり(光過敏・音過敏・臭い過敏)、頭痛が悪化したりする人が多い傾向にあります。近年、片頭痛の光過敏に関しては目の網膜上に存在する「第三の光受容器」と呼ばれる神経節細胞と関与していることが報告されており、日本頭痛学会でも取り上げられています。

編集部編集部

様々な影響を受けるのですね。

柳本 昌子先生柳本先生

ほかにも、天候に影響される片頭痛も多いと言われています。「急に天気が荒れた日」「気温や気圧が急激に変化したとき」「低気圧が近づく前」などに、片頭痛が悪化する人を多く見受けます。

編集部編集部

ほかには、どのような特徴がありますか?

柳本 昌子先生柳本先生

片頭痛は、一部の人には前兆と呼ばれる症状があります。「視界にチカチカした光が見える」「視界がぼやける」などの異常が出て、その後に頭痛が起こる人がしばしばいらっしゃいます。

片頭痛の対処法

片頭痛の対処法

編集部編集部

片頭痛の痛みを緩和する方法はありますか?

柳本 昌子先生柳本先生

痛みを和らげるには、静かで暗い場所で休むのが効果的です。冷たいタオルや保冷材などを額に当てたり、カフェインを少量摂取したりすることで痛みが軽減する場合もあります。また、医師に相談して鎮痛薬や片頭痛専用の薬を使うことも有効です。

編集部編集部

薬が有効なのですね。

柳本 昌子先生柳本先生

片頭痛に対しては、専用の治療薬である「トリプタン系薬剤」が有効です。これは市販薬ではなく、医師の処方が必要な薬です。

編集部編集部

片頭痛の症状が悪化した場合はどうすればいいですか?

柳本 昌子先生柳本先生

片頭痛が頻繁に発生して慢性化したり、症状が悪化したりした場合は、医師に相談することが重要です。お近くの「頭痛外来」や「頭痛専門外来」などを受診し、治療法を見直して適切な薬の調整をおこなうことで症状の改善が期待できます。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

柳本 昌子先生柳本先生

脳に異常がないのに頭痛が起こる原因には、群発頭痛や睡眠時頭痛、一次性運動時頭痛など、診断がつきにくい頭痛もあります。「なかなか頭痛が治らない」「薬が効きにくい」といった悩みを持っている場合は、ぜひ頭痛外来を受診してください。適切な診断と治療で、頭痛の悩みを緩和・解消することが期待できます。

編集部まとめ

天気や光、騒音が影響を及ぼす片頭痛は、環境要因に大きく左右されてしまう頭痛ですが、原因を知って適切な対策を取ることで、症状を軽減できる場合があるとのことでした。片頭痛に限らず、つらい頭痛に悩んでいる人は、1人で我慢せず、一度専門医に相談してみてはいかがでしょうか。

医院情報

あい内科クリニック

あい内科クリニック
所在地 〒227-0038 神奈川県横浜市青葉区奈良1-18-13
アクセス 横浜高速鉄道こどもの国線 「こどもの国駅」 徒歩10分
診療科目 内科、脳神経内科
電話番号 045-960-6240

この記事の監修医師

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