「内視鏡検査」を受けるべきタイミングはご存じですか? 検査時の注意点も医師が解説!

胃や大腸などの状態を詳しく調べるために多く用いられる「内視鏡検査」。人間ドックや検診の項目にも設けられており、受けたことがある人も多いと思います。一方、受けたことがない人は「何歳になったら受けたらいいの?」と迷っている人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、内視鏡検査を受けるベストタイミングについて、「名古屋むらもと内視鏡クリニック栄院」の村元先生に解説していただきました。

監修医師:
村元 喬(名古屋むらもと内視鏡クリニック 栄院)
内視鏡検査を受ける目的は「早期発見」

編集部
なぜ、内視鏡検査を受けることが推奨されているのでしょうか?
村元先生
内視鏡検査を受けることで、がんをはじめとする重大な疾患を早期発見できるからです。早期に発見することができれば命が助かる可能性も高くなりますし、体に負担の少ない方法で治療することもできます。
編集部
なぜ、内視鏡検査が病気の早期発見に適しているのですか?
村元先生
内視鏡検査は、医師がリアルタイムに臓器の状態を詳しく観察することができるからです。例えば、胃や食道、大腸などの消化管は空洞の構造になっています。壁はいくつかの層から成り立っており、がんやポリープなどの病変はほとんどの場合、最も内側の層に発生します。しかし、これらの層は非常に薄く、CT検査やMRI検査などでは早期の病変を見つけることは困難なので、直接医師が目で見ながら病変を見つける内視鏡検査が適しているのです。
編集部
早期の小さな病変も見つけることができるのですか?
村元先生
そうですね。例えば、胃がんの初期には、とても小さなびらんや色合いの変化などが生じることがあります。内視鏡検査ではそれらを目で見て直接発見することができるので、ごく初期の病変も見つける可能性が高まります。
編集部
そのほか、内視鏡検査を受けるメリットはありますか?
村元先生
内視鏡検査では病変を発見するだけでなく、病変の一部を採取して詳しい検査へ回すことができたり、さらにはその場で切除したりと、様々なメリットがあります。そのため、一定の年齢になったら検診の一項目として内視鏡検査を受けることが推奨されています。
内視鏡検査は何歳になったら受けるべき?

編集部
内視鏡検査は何歳になったら受けた方がいいですか?
村元先生
一般的に胃や大腸の内視鏡検査は、40歳を過ぎたら定期的に受けることが推奨されています。まず胃の内視鏡検査について説明すると、胃がんは40歳以降になると発症リスクが高まります。また、胃がんは高血圧や糖尿病などの生活習慣病と深い関わりがあることがわかっていますが、生活習慣病の発症リスクが高まるのは40歳以降です。
編集部
大腸の内視鏡検査の場合はどうですか?
村元先生
大腸がんの発症リスクが高まるのは50歳以降とされていますが、大腸がんは多くの場合、ポリープががん化することで発症します。ポリープが増え始めるのは40歳以降であるため、胃の内視鏡検査と同じく、40歳を過ぎたら定期的に内視鏡検査を受けることが推奨されています。
編集部
40歳未満の人は受けなくても大丈夫ということですか?
村元先生
いいえ、必ずしもそういうわけではありません。例えば、胃がんの場合は「昔、ピロリ菌に感染したことがある」「血縁の家族に胃がんや食道がんなどに罹った人がいる」「喫煙・飲酒の習慣がある」などのケースは、発がんリスクが高くなります。これらに当てはまっている人は、40歳を待たずに検査を受けましょう。
編集部
大腸についてはいかがでしょうか?
村元先生
大腸の内視鏡検査も同様に、家族に大腸がんを発症した人や、大腸ポリープになった人がいる場合には、40歳を迎える前から定期的に大腸の内視鏡検査を受けることが推奨されています。
内視鏡検査を受けるべきタイミング

編集部
年齢のほか、内視鏡検査を受けるタイミングで注意することはありますか?
村元先生
- のどや胸がつかえた感じがする
- 胸焼けや胃の不快感がある
- 胃痛、吐き気、胃もたれ、嘔吐などの症状がみられる
- 胃潰瘍や十二指腸潰瘍になったことがある
- 胃がん検診で異常を指摘された
- 胃がんの治療を受けたことがある
- 親族にピロリ菌の除菌治療を受けている人がいる
- 40歳を過ぎているが未だに内視鏡検査を受けたことがない
編集部
大腸がんの場合は?
村元先生
- 腹痛を繰り返す
- 膨満感やお腹の張りがある
- お腹にしこりがある
- 便が以前より明らかに細くなった
- 便秘や下痢が続く・交互に繰り返す
- 便に血が混じる(鮮血便や粘血便)
- 排便してもスッキリしない、残便感がある
- ダイエットをしている訳ではないのに急に体重が減ってきた
- 検診の便潜血検査で陽性だった
- 大腸がんや大腸ポリープの治療を受けたことがある
- 慢性的に便秘や下痢、腹痛が続く
- 40歳を過ぎているが、未だに大腸カメラ検査を受けたことがない
編集部
検査を受けるにあたって注意点はありますか?
村元先生
自分で「問題ない」「内視鏡検査を受ける必要はない」と判断せず、専門医の診察を受けることが最も大切です。特に胃が痛い、便秘が続くという人は「体質的なものだから病気のせいではない」と判断してしまいがちです。しかし、本当はがんの症状である場合も少なくありません。何か気になる症状が慢性的に続く場合は、ぜひ医療機関を受診して、内視鏡検査が必要か判断してもらうことをおすすめします。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
村元先生
胃がんや大腸がんはある程度、予防が可能ながんであると言われています。どちらも亡くなる人が多いがんですが、しっかり検査を受けていればある程度早期発見することはできますし、ピロリ菌が見つかれば除菌をしたり、ポリープが見つかれば切除したりすることで、がんにより命を失うリスクを低くすることもできます。40歳になったらぜひ、定期的に内視鏡検査を受けることを考えてみてください。
編集部まとめ
胃がんと大腸がんは日本でも患者数が多い一方で、内視鏡検査を受けることでごく早期に発見することもできるがんです。「特に気になる症状がない」という場合でも、40歳になったらぜひ内視鏡検査を受けることを検討してみましょう。
医院情報
所在地 | 〒460-0007 愛知県名古屋市中区新栄2-2-1 イノフィス2F |
アクセス | 名古屋市営地下鉄東山線「新栄町駅」 徒歩2分 |
診療科目 | 内科、消化器内科、胃腸内科、内視鏡内科、肛門内科 |