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皮膚科医が実践している「シミ対策」を伝授! シミの原因・対処法も解説!

 公開日:2025/02/03
皮膚科医が実践している「シミ対策」を伝授! シミの原因・対処法も解説!

「シミ」はある日突然できるのではなく、日々の習慣のなかで少しずつ形成されていきます。そのため、シミを防ぐには正しいお手入れなど、日々継続することが重要です。それでは、シミ治療に詳しい皮膚科医は、一体どのような対策をしているのでしょうか。「さおり皮ふ科クリニック」の山本先生に伝授していただきました。

山本 佐織

監修医師
山本 佐織(さおり皮ふ科クリニック)

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山梨大学医学部卒業。その後、甲府共立病院、山梨大学医学部附属病院、北杜市立甲陽病院などで経験を積む。2020年7月、山梨県韮崎市に「さおり皮ふ科クリニック」を開院。日本皮膚科学会専門医。

なぜシミができるの?

なぜシミができるの?

編集部編集部

そもそも、なぜシミができるのでしょうか?

山本 佐織先生山本先生

シミとは、皮膚で作られる「メラニン」という色素が沈着したものを言います。メラニンは肌や髪の毛、眼球などにある色素のことで、褐色または黒色をしています。このメラニンが皮膚に沈着するので、シミは黒や褐色に見えるのです。ただし、一言でシミといっても、様々な種類があります。今回は悩んでいる人が多い、紫外線によってできる、くっきりした丸いシミについてお話したいと思います。

編集部編集部

なぜ、メラニンが沈着するのですか?

山本 佐織先生山本先生

もともとメラニンは体に悪いものではなく、紫外線などから皮膚の細胞を守るために作られます。健康な肌であれば、メラニンは肌の生まれ変わり(ターンオーバー)とともに肌の表面へ移動していき、やがて垢となって排出されます。しかし、なんらかの原因によりこのメラニンがきちんと排出されず、皮膚に残ってしまうことがあります。これがシミの原因です。

編集部編集部

なぜ、メラニンが皮膚に残ってしまうのでしょうか?

山本 佐織先生山本先生

いくつかの原因が考えられますが、まず大きなものが「紫外線」です。紫外線を浴びるとメラノサイト(メラニン細胞)という細胞が活性化し、メラニンを生成します。通常であれば、このメラニンは肌のターンオーバーによって排出されますが、あまりに多量の紫外線を浴びるとたくさんのメラニンが作られることになり、排出が間に合わなくなります。そのため、シミができてしまうのです。

編集部編集部

ほかにもシミの原因はありますか?

山本 佐織先生山本先生

ターンオーバーが乱れることもシミの原因になります。ターンオーバーは女性ホルモンの影響を受けており、生理中や妊娠中、出産後、更年期などは女性ホルモンのバランスが乱れやすくなります。ターンオーバーのリズムが崩れると、メラニンの排出が追いつかなくなり、シミができてしまうのです。そのほかにも、タバコやストレス、寝不足、摩擦、過度なダイエットによる栄養不足などもシミの原因になることがあります。

医療機関でできるシミ対策とは?

医療機関でできるシミ対策とは?

編集部編集部

一度作られたシミは、どのようにして対処すればいいのでしょうか?

山本 佐織先生山本先生

美容皮膚科の分野では、様々な医療機器を使ってシミを除去することができます。例えば、1兆分の1(ピコ秒)という短い単位でレーザーを照射する「ピコレーザー」は、メラニン色素を粉砕することでシミを除去する治療法です。肌に負担が少なく、効果も高いとして人気を集めています。

編集部編集部

そのほかにも治療法はありますか?

山本 佐織先生山本先生

IPL(インテンスパルスライト)」という治療法もあります。IPLは光治療やフォト治療とも呼ばれ、IPLという光を照射することでメラニン色素を分解し、シミの改善を目指します。ピコレーザーと比べて照射エネルギーが比較的ゆるやかであるため、数回繰り返して治療をおこなう必要があります。その一方で、ダウンタイムが短いことに加え、照射する光の波長を変えることでシミだけでなく、くすみやニキビなど様々なトラブルに対処できるというメリットがあります。

編集部編集部

シミができても、治療で取り除くことができるのですね。

山本 佐織先生山本先生

IPLやピコレーザーなどの治療と組み合わせることで、より効果的にシミの改善や予防を期待することができる治療法もあります。実際、それらの治療に「ケミカルピーリング」や「イオン導入」を組み合わせている患者さんも多くいます。ケミカルピーリングは、皮膚表面の古くなった角質を取り除くことにより、肌のターンオーバーを正常化し皮膚の再生を促します。その一方、イオン導入とはビタミンCやトラネキサム酸などの成分を皮膚の深部にまで浸透させる治療法です。これらの治療は皮膚のターンオーバーを整え、健康な状態に保つ働きがあります。

皮膚科医が実践しているシミ対策を伝授

皮膚科医が実践しているシミ対策を伝授

編集部編集部

先生が実践しているシミ対策はありますか?

山本 佐織先生山本先生

まずは徹底した紫外線対策を心がけています。特に日焼け止めは重要で、SPF50、PA++++以上の日焼け止めを一年中、2時間に1回塗り直しています。室内にいるときでも、窓がある部屋なら紫外線は常に降り注いでいるので、日焼け止めはこまめな塗り直しが必要です。

編集部編集部

紫外線対策がまずは重要なのですね。

山本 佐織先生山本先生

はい。そのほかにも、外出するときには深めの帽子を被り、顔が半分隠れるようなマスクを着用しています。

編集部編集部

それくらい気をつけていたら、シミができることはないですか?

山本 佐織先生山本先生

それでもやはりシミができてしまうことがあるので、その場合にはできるだけ小さいうちにピコレーザーを照射して取り除いています。濃いシミや大きいシミだと2回以上、治療が必要なことがありますが、薄くて小さいシミの場合には、1回で消すことができます。

編集部編集部

そのほか、日常生活で気をつけていることはありますか?

山本 佐織先生山本先生

睡眠不足や偏った食生活など、ターンオーバーを遅らせる生活習慣は避けるようにしています。また、普段からサプリメントでビタミンCを多く摂取することも意識しています。ビタミンCは色素沈着を抑制したり、肌の弾力をアップしたりと、美肌づくりには欠かせない栄養素です。普段の食事だけではどうしても摂取量が不足しているので、サプリメントなどを活用して積極的に摂ることが大切です。

編集部編集部

日々の蓄積が大事なのですね。

山本 佐織先生山本先生

そう思います。とにかくシミは治療より予防が大切。特に紫外線対策をしっかりするだけで、だいぶ肌の状態は変わると思います。もしシミができてしまったとしても、できるだけ早めに治療することが肝心です。そうすればダウンタイムも短くて済むので、早めの対策を心がけましょう。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

山本 佐織先生山本先生

シミ治療の効果を謳った化粧品も発売されていますが、現実的に化粧品でシミを治すのは困難です。特に、紫外線によるシミは化粧品では消すことができません。その場合には、ピコレーザーを照射するのが一番手早く、またコストパフォーマンスも良いと思います。最近では医療機器も進化しており、ダウンタイムが短い治療法なども開発されているので、困ったことがあればぜひ皮膚科医にご相談ください。

編集部まとめ

ピコレーザーを一度照射するだけでシミを治すことができるなら、高額の化粧品をずっと使い続けるよりも便利で簡単。「痛いのは苦手」「ダウンタイムが長いと困る」など気になることがある場合には、まずはカウンセリングを受け、医師に相談してみましょう。

医院情報

さおり皮ふ科クリニック

さおり皮ふ科クリニック
所在地 〒407-0015 山梨県韮崎市若宮2-9-47
アクセス JR「韮崎駅」 徒歩2分
診療科目 皮膚科、小児皮膚科、美容皮膚科

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