ニキビ肌の正しいスキンケアを美容皮膚科医が詳しく解説! ニキビのセルフケアの注意点は?
「ニキビに効果的」という化粧品はたくさんあります。しかし、どのように選んだらいいのか、使うときは何に気をつけたらいいのかなどをきちんと教えてもらえる機会はあまりないかもしれません。そこで今回は、ニキビ肌の正しいケア方法やセルフケアについて、美容皮膚科医の山屋先生(美容皮膚科タカミクリニック 副院長 )にお話を伺いました。
監修医師:
山屋 雅美(美容皮膚科タカミクリニック)
目次 -INDEX-
ニキビができる原因・ニキビができやすい肌の状態とは?
編集部
ニキビの原因には、どんなものがありますか?
山屋先生
ニキビは、皮膚で分泌された皮脂が毛穴の外に出られずに、たまってしまうことが原因でできます。この状態を「コメド」とも呼ぶのですが、このコメドの中で「アクネ菌」という菌がどんどん繁殖して、腫れ上がることでニキビとなります。また、アクネ菌をやっつけようとして免疫が発動すると炎症が起こり、赤みが出てきます。
編集部
アクネ菌についてもう少し詳しく教えてください。
山屋先生
アクネ菌はニキビの原因として知られていますが、じつは「常在菌」といってニキビや肌荒れのない健康な肌にも存在しているのです。アクネ菌は肌のpHバランスを弱酸性に保ったり、黄色ブドウ球菌などの肌に悪影響を及ぼす菌の繁殖を抑えたりする役割があります。アクネ菌が肌の表面に、適切に存在している分には、ニキビにはならないということです。
編集部
アクネ菌が繁殖してニキビにならないために、どんな注意点がありますか?
山屋先生
「皮脂の分泌量を適切に保つということ」と「毛穴がつまらないようにすること」が重要です。とくに思春期などはどうしても、皮脂の分泌が過剰になってしまうので、ニキビができやすくなってしまいます。また、肌の細胞が生まれ変わるターンオーバー機能が落ちると、皮膚の角層が厚くなってもはがれにくくなり、毛穴の出口をふさぐようになってしまいます。
繰り返しニキビができるニキビ肌のスキンケア方法 洗顔や保湿のポイントは?
編集部
ニキビ肌のスキンケアは、その2つが大切なのですね。
山屋先生
そうですね。正しい洗顔で余分な皮脂を洗い流したり、古い角質を溜めないようなスキンケアでターンオーバー機能を促したりすることがカギになります。
編集部
洗顔について、気をつけるべきことを教えてください。
山屋先生
最初に、日焼け止めやメイクをクレンジングで落としてから、よく泡立てた洗顔料で汚れを落とすようにしましょう。その際のクレンジングは、オイルクレンジングよりジェルクレンジングがおすすめです。また、汚れをしっかり落とそうとするあまり、ゴシゴシと洗ってしまう人が多いようです。しかし、摩擦は肌に負担をかけてしまうので、洗うときも流すときも優しく肌に触れるようにしてください。
編集部
生活習慣もニキビ肌と関係していますか?
山屋先生
はい。肌の代謝を上げるために、「十分な睡眠をとること」や「適度に運動すること」などをおすすめしています。また、体が温まって血行が良くなるので、なるべくシャワーではなく湯船に浸かるようにしましょう。食事面では、糖質や脂質の摂り過ぎやジャンクフードは肌への負担になりますので、できるだけバランスのとれた食事を心がけましょう。
ニキビ肌のスキンケアをする際の注意点・化粧水や乳液の選び方
編集部
ニキビ肌になりにくくなるような基礎化粧品の選び方を教えてください。
山屋先生
「乾燥は良くない」と思い込んで、油分を多く含んだ化粧品を選ぶ人も多いようですが、かえってニキビができやすくなってしまうこともあります。そのため、油分があまり多すぎない化粧品をおすすめしています。また、保湿をするために、化粧水をたっぷり使った後に、蒸発しないようにジェルや乳液でフタをするのがポイントです。
編集部
肌が弱い人はどうすればいいでしょうか?
山屋先生
敏感肌の人は低刺激と表示してある化粧品がありますし、いわゆる「ニキビ肌」に悩んでいる人は、「ノンコメドジェニック」という「コメド対策」に特化した化粧品もあります。ご自分の肌にあったものを選ぶようにしましょう。
編集部
市販品でも大丈夫ですか?
山屋先生
たしかに、市販でも良質な基礎化粧品はたくさんあります。しかし、個々の肌に合っているかどうかは別問題なので、皮膚科医に相談したうえで処方してもらうのが理想的です。「まずは市販品から試したい」という場合、否定はしませんが「自分の肌には合わないな……」と感じたら、すぐに使用を中止するようにしましょう。
編集部
化粧品を使う際の注意点は?
山屋先生
例えば、化粧品をコットンでつけている人がいますが、摩擦で肌を傷つけてしまっているケースも多いようです。そのため、化粧品は清潔な手でそっと抑えるように使いましょう。また、先ほどもお伝えしたように、オイルやクリームなどの油分を含むものを過剰に使わないということも意識してみてください。加えて、化粧品も開封後は徐々に劣化していきます。とくにビタミン系の化粧品は劣化が早いため、2~3カ月を目安に使い切るようにしましょう。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
山屋先生
ニキビは放置されがちですが、皮膚の病気として捉えていただきたいと思います。「たかがニキビ」と自分で治そうとせず、医師に診てもらって適切な治療を受けることで、治りも変わってくるはずです。また、今あるニキビを治すだけではなく、ご自身にあったその後のケアについてのアドバイスもできます。私自身も多くの患者さんの肌を診ていますが、自己流のケアで悪化を招いている人も多くいらっしゃいます。悪化してしまう前に、なるべく早めに相談してください。
編集部まとめ
今回は、ニキビの原因やニキビ肌の正しいケアについてお話を伺いました。化粧品の選び方や使い方だけでなく、食事や睡眠などの生活習慣も大事になってくるとのことでした。自己流のケアで悪化させてしまう前に、専門家に相談するようにしましょう。
医院情報
所在地 | 〒107-0062 東京都港区南青山3-18-20 松本ビル3F・4F・5F |
アクセス | 東京メトロ「表参道駅」 徒歩1分 |
診療科目 | 皮膚科、美容皮膚科 |