「不眠症」になってしまう原因をご存じですか? 治療は何科で受けられる?【医師解説】

「なかなか寝つけない」「夜中に何度も目が覚める」。このような悩みを抱えていませんか? 睡眠不足が続くと日中の集中力が低下したり、体調を崩しやすくなったりして、日常生活に大きな影響を与えることがあります。しかし「不眠症かもしれない」と思っても、どうすればよいのか迷ってしまう人もいるかもしれません。そこで、不眠症について関谷先生(初台クリニック)に詳しく解説してもらいました。

監修医師:
関谷 秀子(初台クリニック)
不眠はどうして起こる? 医師が解説

編集部
不眠の原因はなんですか?
関谷先生
不眠は「寝付けない」「夜中に目が覚めてしまう」「朝早くに目覚めてしまう」など、何らかの要因によって十分に眠れず、そのために日中の調子も悪くなる状態です。不眠の原因はさまざまですが、心理的な要因、生活習慣の影響、環境要因、そして心や体の病気、薬の影響などが考えられます。
編集部
いろいろな要因から起こるのですね。
関谷先生
そうですね。不眠の原因として最も多いと考えられているのは「心理的要因」で、根本には仕事や人間関係のストレス、不安・緊張、抑うつ状態などがあります。なかでも考え事が多いと寝つきが悪くなったり、夜中に目が覚めてしまったりすることがよくあります。
編集部
生活習慣の影響についても教えてください。
関谷先生
例えばカフェインやアルコールの摂取も不眠と関係がありますし、最近はスマートフォンやパソコンの画面から発せられるブルーライトによる不眠も増えています。ブルーライトが眠気を誘うホルモン「メラトニン」の分泌を抑えてしまうのです。
編集部
では、起きている時間の過ごし方が大事になりますね。
関谷先生
運動不足なども不眠の原因になります。また、日中疲れたことでよく眠れるということもありますが、日中の疲労が強すぎる場合にはかえって不眠になることもあり、不眠のメカニズムは個別性も高く、複雑なのです。
不眠にもタイプがあるってホント?

編集部
不眠にもタイプがあるのですか?
関谷先生
不眠にはいくつかのタイプがあり、主に「入眠困難」「中途覚醒」「早朝覚醒」に分けられます。それぞれのタイプによって原因や対処法が異なるため、自分の睡眠の状態を把握することが大切です。
編集部
もう少し詳しく教えてください。
関谷先生
「入眠困難」とは、ベッドに入ってもなかなか眠りにつくことができない状態を指します。通常、寝つくまでに30分以上かかることが多く、ひどい場合には1時間以上眠れないこともあります。ストレスや不安、考え事が多くて脳が興奮状態になることが原因の一つとされています。また、先述のスマートフォンやパソコンの使用のほか、カフェインの摂取、生活リズムの乱れなども影響を与えることがあります。
編集部
中途覚醒についても教えてください。
関谷先生
「中途覚醒」は、寝つきは比較的スムーズでも、途中で何度も目が覚めてしまう状態です。加齢とともに増える傾向があり、ストレスやアルコールの影響、睡眠時無呼吸症候群などの身体的要因が関係していることもあります。夜中から明け方にかけて、特に目が覚めやすくなることや何度も目が覚めることで、徐々に再び寝つくのが難しくなってくるといった特徴があります。
編集部
では、早朝覚醒はどうですか?
関谷先生
「早朝覚醒」は、起きる予定の時間よりもかなり早くに目が覚めてしまい、その後眠ろうとしても眠れない状態を指します。これにより、十分に眠れた感覚が得られず、日中の眠気や疲労感につながることがあります。うつ病の症状の一つとして表れることも多く、ストレスや加齢、ホルモンバランスの変化などが影響することもあります。
不眠症、医療機関で相談できる? 対処法を教えて!

編集部
不眠を改善する方法はありますか?
関谷先生
やはり、ストレスや心配事を解消したり、生活習慣を見直したりするのが良いかと思います。しかし、「ストレスを解消」と言っても、現代社会では簡単にできることではありません。そういった場合は、解消するのは難しくても、まずはそのストレスを少しでも減らしたり、あるいはストレスを減らすのも難しければ、ストレス発散法を生活の中で工夫をしたりすることを考えると良いと思います。
編集部
それでも眠れない場合はどうしたら良いでしょうか?
関谷先生
一時的に眠れなくなっても、自然経過の中で、あるいは生活習慣を少し変えることによってまた眠れるようになれば一番良いのですが、不眠が長く続く場合には、医療機関に相談することをお勧めします。睡眠導入剤などを適切に処方してくれるでしょう。「何科にかかれば良いの?」と聞かれることもありますが、薬物療法だけでなく、ストレスや悩み事についても相談できる心療内科や精神科などが良いかと思います。また、最近は「不眠外来」などを設けているところもあるようです。
編集部
最後に、メディカルドック読者へのメッセージをお願いします。
関谷先生
一言で「不眠」と言っても、さまざまな原因やタイプがあります。対処法もそれぞれ異なりますので、不眠に悩まされている方はご自身でなんとかしようとせず、専門家に相談することをお勧めします。「たかが不眠で受診なんて」「我慢すればいつかなんとかなる」と、受診をためらっている方も多いようですが、決して敷居は高くありませんので、まずはご相談いただけたらと思います。
編集部まとめ
不眠にはさまざまな種類があり、原因や対処法も異なるとのことでした。不眠が続くと、日常生活に支障をきたすだけでなく、健康にも影響を与えることがあります。気になる症状がある場合は、一人で抱え込まず、専門家に相談することをお勧めします。適切なアドバイスや治療を受けることで、きっと改善への道が見つかるはずです。
医院情報
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アクセス | 京王新線「初台」駅南口より徒歩2分 小田急線「参宮橋」駅より徒歩10分 |
診療科目 | 心療内科、精神科 |