子どものO脚・X脚、もしかしたら病気かも? 原因や治療法、放置するリスクを医師が解説!
子どものO脚やX脚は、自然に治る場合もありますが、一方で病的なケースもあり、注意が必要です。今回は、O脚やX脚の原因や治療法、将来の影響などについて、「葛西駅前あおぞら整形外科クリニック」の福田先生に解説していただきました。
監修医師:
福田 慎介(葛西駅前あおぞら整形外科クリニック)
O脚やX脚は病気?
編集部
O脚やX脚は病気なのでしょうか?
福田先生
そんなことはありません。膝の関節が内側に曲がっている(内反)のがO脚で、逆に外側に曲がっている(外反)のがX脚で、多くの赤ちゃんが生まれたときはO脚だと言われています。
編集部
O脚の赤ちゃんが多いのですね。
福田先生
はい。1歳を過ぎて活発に歩くようになった頃から、徐々に膝の関節が外反していき、2~6歳くらいでは逆にX脚傾向になります。
編集部
そうなのですね。知りませんでした。
福田先生
いったんX脚傾向になった後、徐々に外反が和らいでいき、「ごくわずかなX脚」という一般的な成人の足の形に近くなります。これが生理的な足の形の変化です。
編集部
生理的でない変化もあるのでしょうか?
福田先生
あります。生理的な変化は左右対称で、痛みや機能障害などはないのですが、痛みを伴ったり、明らかに左右差があったり、関節の機能に影響を与える場合、病的な要因が考えられます。
病的なO脚やX脚とは?
編集部
病的なO脚やX脚について、もう少し詳しく教えてください。
福田先生
膝の両側にある内・外側側副靱帯のゆるみ、「Blount病」や「くる病」、そのほかの骨系統疾患などが考えられます。ほかには、外傷後の変形などもあります。
編集部
Blount病とはなんですか?
福田先生
Blount病は、膝下の脛骨(すねの骨)が異常に湾曲してしまう、幼児や思春期の子どもに多い病気です。Blount病になると脛骨の内側の成長が阻害されるため、O脚のように足が内側に曲がってしまうのです。Blount病の原因は明確に解明されていませんが、肥満や早期に歩行を始めることなどがリスク因子であることが知られています。
編集部
くる病についてはいかがでしょうか?
福田先生
くる病とは、骨の発育が正常に進まないために骨が柔らかくなり、変形が生じる病気です。主に新生児期や成長期の子どもに多く発症し、O脚やX脚などの特徴的な骨変形がみられる傾向にあります。くる病の原因は、ビタミンDの不足やカルシウムの欠乏とされています。
O脚やX脚に対する治療法
編集部
O脚やX脚を放置するとどうなるのですか?
福田先生
生理的なもので変形が軽度であれば、審美的な観点以外に大きな機能障害などのリスクは少ないかもしれません。病的なものであれば、病気そのものが進行するリスクはあります。生理的・病的にかかわらず、中等度以上の変形を放置しておくと、将来的に変形性膝関節症などのリスクを上げることにつながります。
編集部
O脚やX脚にはどのような治療がありますか?
福田先生
「ビタミンD欠乏性くる病」は、ビタミンDを多く含む食品を摂ることで発症予防や進行予防が可能ですが、それ以外のO脚やX脚については生活指導や筋肉のバランスを整えるリハビリテーションなどのほかには治療法がありません。変形が進んでいる場合には、装具による矯正や必要に応じて骨切り術などの手術が検討されることもあります。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
福田先生
もし、子どもの足の形に違和感があれば「こんなことで受診して大丈夫かな?」とためらわず、医師へ相談することをおすすめします。保護者にとっては「異常なし」と診断されることも大事なので、不安があれば1人で悩まずに整形外科、可能であれば小児整形外科を受診しましょう。
編集部まとめ
子どものO脚やX脚の原因や治療法、放置するリスクなどについて解説していただきました。自然に治るケースや生活に影響がないことも多いですが、場合によっては必要に応じた治療が必要です。足の形や使い方に違和感がある場合は、できるだけ早く小児整形外科に相談し、適切に対処しましょう。
医院情報
所在地 | 〒134-0083 東京都江戸川区中葛西5-42-8 須三ビル4F |
アクセス | 東西線「葛西駅」 徒歩1分 |
診療科目 | 整形外科、リハビリテーション科、リウマチ科 |