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不妊治療は何から始めるべき? 初心者が知っておきたい基本ステップを医師が解説

 公開日:2024/12/29
不妊治療は何から始めるべき? 初心者が知っておきたい基本ステップを医師が解説

不妊治療を始めたいけれど、どこから手をつければ良いかわからない」。そんな悩みを抱えている方は少なくないようです。不妊治療は、個人の体質や年齢に応じて進め方が異なり、どの医療機関で、どの治療を選ぶかが成功への大きなポイントとなります。本記事では、不妊治療に踏み出す際の基本ステップを、放生先生の具体的なアドバイスとともに解説します。不妊症とは何か、不妊治療の流れや選び方を知ることで、希望の未来へ向けた第一歩を踏み出しましょう。

放生 勲

監修医師
放生 勲(こまえクリニック)

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昭和62年弘前大学医学部卒業。都内の病院にて2年間の内科研修修了。ドイツ政府国費留学生としてフライブルク大学病院およびマックス=プランク免疫学研究所留学。東京医科歯科大学難治疾患研究所を経て、「こまえクリニック」を開院。自らの不妊治療の患者体験から院内に「不妊ルーム」を開設し、1万組近いカップルの不妊相談に応じている。医学博士。

不妊症の基本とは? 原因と初期ステップを理解しよう

不妊症の基本とは? 原因と初期ステップを理解しよう

編集部編集部

「不妊症」とはどのような状態を指すのでしょうか?

放生 勲先生放生先生

不妊症とは、医学的な治療を必要とする状態を指します。以前は「結婚後2年間妊娠しない場合」を不妊症と定義していましたが、女性の結婚年齢の高齢化に伴い、現在は期間を問わず「妊娠が難しいと感じた段階」でアクションをおこすことが望ましいと思います。不妊と不妊症の違いも重要です。不妊は単に妊娠できない状態を指しますが、不妊症はその原因を医学的に診断し、治療が必要な場合を指します。この違いを理解することで、適切な治療への第一歩を踏み出すことができます。

編集部編集部

不妊の原因にはどのようなものがあるのでしょうか?

放生 勲先生放生先生

不妊の原因は、女性側が4割強、男性側が4割弱、そして夫婦双方に原因がある場合や原因が特定できない「機能性不妊」が約2割とされています。女性の場合、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)子宮内膜症が代表的な疾患です。特に子宮内膜症は、不妊女性の約3分の1に影響を及ぼし、早期の発見と治療が必要です。男性の場合、精子の数や運動率の低下が主な原因であり、性機能障害が妊娠の妨げになることもあります。不妊は男女双方の問題であるため、夫婦で一緒に取り組むことが望ましいです。

編集部編集部

医療機関を受診するタイミングについて教えてください。

放生 勲先生放生先生

妊娠しにくいと感じたら、できるだけ早めにアクションを起こすことが重要です。不妊症には目立った痛みや症状がないため、判断が遅れることがありますが、女性の年齢は妊娠率に直結するため、早期の対応が推奨されます。不妊治療をおこなうと決めたなら重要なのは「どの医療機関を選ぶか」です。不妊治療の実績が豊富で適切な検査や治療法を提供できる医療機関を選ぶことが、治療の成功につながります。

不妊治療の進め方とステップ

不妊治療の進め方とステップ

編集部編集部

病院での診察から治療まで、どのような流れになりますか?

放生 勲先生放生先生

まず、女性はホルモン検査や超音波検査で、排卵の状況や子宮・卵巣の状態を確認します。男性は精液検査をおこない、精子の数や運動率を調べます。これらの検査で問題が特定されれば、治療を進めることになります。最初は排卵時期に性交のタイミングを指導する「タイミング法」から始め、必要に応じて人工授精、さらに体外受精に進むことがあります。治療を進める中で、医師とのコミュニケーションを大切にし、自分に合った医師・医療機関を選ぶことが成功への近道です。

編集部編集部

治療法にはどのような選択肢がありますか?

放生 勲先生放生先生

不妊治療には、タイミング法、人工授精、体外受精の3つが代表的です。タイミング法は比較的簡単な治療ですが、人工授精や体外受精はより高度な技術が求められます。特に体外受精では、病院ごとの技術や設備が妊娠率に大きく影響するため、医療機関の選び方が重要です。また、2022年から体外受精が保険適用となり、経済的な負担が軽減されましたが、保険適用の回数制限があるため、最初から信頼できる医療機関で治療を受けることが大切です。

編集部編集部

費用面での注意点はありますか?

放生 勲先生放生先生

保険適用となったことで治療費は軽減されましたが、それでも体外受精は高額な医療です。保険適用内でも1回の体外受精では20万円程度の医療費となります。また、技術や設備に差があるため、単に費用が安いという理由で医療機関を選ぶのは避け、信頼できる医療機関を選ぶことがとても重要です。

不妊治療を成功に導くために

不妊治療を成功に導くために

編集部編集部

妊活に早めに取り組んだ方が良い理由は?

放生 勲先生放生先生

最大の理由は女性の年齢です。卵子は加齢とともに数が減り、質も低下していきます。特に40歳以上になると妊娠率が著しく低下し、流産のリスクが大幅に増加します。卵子のエイジングは不可逆的なため、できるだけ早期に妊活に取り組むことが成功の鍵です。また、早期の妊活は選べる治療法の幅を広げることにもつながります。

編集部編集部

男性も治療に積極的に関わるべきですか?

放生 勲先生放生先生

はい。男性の協力は非常に重要です。不妊治療の多くは女性に負担が集中しますが、男性も検査や生活習慣の改善を積極的におこなっていただきたいです。さらに、治療中の女性を精神的に支えることも大変重要な役割です。夫婦が一緒に取り組むことで、治療への意欲や効果も高まります。

編集部編集部

自分でできることはありますか?

放生 勲先生放生先生

妊娠を目指す中で、健康的な生活を心がけることが非常に重要です。バランスの取れた食事や適度な運動を習慣づけ、ストレスを軽減するよう努めましょう。また、治療の焦りやプレッシャーに動じず、リラックスした気持ちで取り組むことが成功への大きな要因となります。妊娠は「追いかけると逃げて行き、忘れた頃にやって来る」とも言われるように、心の余裕が重要です。

編集部まとめ

不妊治療は、夫婦にとって身体的にも精神的にも大きな挑戦となるため、適切な情報や協力体制が大切とのことでした。不妊治療を始めようとしている方々の指針となり、少しでも不安を和らげる助けになれば幸いです。

医院情報

こまえクリニック

こまえクリニック
所在地 〒201-0014 東京都狛江市東和泉1-31-27
アクセス 小田急線「狛江駅」より徒歩3分
診療科目 内科・不妊カウンセリング

この記事の監修医師