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中年以降の人は「大腸がん」のリスク増 大腸カメラで見つかる病気と早期発見のメリット

 公開日:2025/02/06
「大腸がんのリスク因子」とは? 大腸カメラで見つかる病気と早期発見のメリット

大腸カメラ(大腸内視鏡)は、大腸の状態を直接観察することができる検査で、さまざまな異常を早期に発見するための重要な手段です。そこで大腸カメラで見つけることができる病気や早期発見のメリットなどについて「横浜内科おなかクリニック」の山田先生に解説してもらいました。

山田 晃弘

監修医師
山田 晃弘(横浜内科おなかクリニック)

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新潟大学医学部卒業。その後、虎の門病院や国立国際医療研究センターなどで経験を積む。2018年より現職。一人ひとりに寄り添い、安心して受診できるクリニックを目指している。日本内科学会総合内科専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本消化器病学会専門医、日本ヘリコバクター学会認定医。

大腸カメラで何がわかるかを医師が解説

大腸カメラで何がわかるかを医師が解説

編集部編集部

大腸カメラ(大腸内視鏡)について教えてください。

山田 晃弘先生山田先生

大腸カメラは、先端にカメラがついた細い管を肛門から挿入し、通常は盲腸もしくは回腸末端部から直腸までの内側を直接観察する検査です。「大腸内視鏡検査」や「下部消化管内視鏡検査」もほぼ同じ意味で使われます。

編集部編集部

大腸カメラでどんな病気が見つかりますか?

山田 晃弘先生山田先生

大腸ポリープ、大腸がん、潰瘍性大腸炎、クローン病などの炎症性腸疾患、大腸憩室、虚血性大腸炎、感染性腸炎などを見つけることができます。

編集部編集部

大腸ポリープとは何ですか?

山田 晃弘先生山田先生

大腸ポリープは大腸の粘膜にできる隆起性病変の総称で、その多くは腺腫という良性の腫瘍ですが、大きさや組織型によってはがん化するリスクがあります。早期に発見して切除することで、大腸がんの予防につながります。

編集部編集部

どのように切除するのですか?

山田 晃弘先生山田先生

切除というと仰々しく聞こえるかもしれませんが、実は大腸カメラの検査中にその場で切除できるのです。ポリープや早期のがんを切除するだけでなく、病変部の生検(組織採取)をして検査することもできます。

大腸がんになるとどんな症状が表れるの?

大腸がんになるとどんな症状が表れるの?

編集部編集部

その場で切除できるのはすごいですね。

山田 晃弘先生山田先生

逆に言うと、がんが「粘膜下層」という部分よりも深く浸潤していた場合、内視鏡での切除が難しくなり、開腹手術や抗がん剤治療などを行う必要性があります。また、ポリープの場合も、あまりに数が多かったり、大きなものだったりした場合は、検査中ではなく、後日改めて切除することもあります。

編集部編集部

まずは早期発見が大事なのですね。

山田 晃弘先生山田先生

その通りです。先ほどお伝えした炎症性腸疾患や大腸憩室、虚血性大腸炎などは、病気の種類や程度にもよりますが、腹痛、下痢、血便、発熱、体重減少などが症状として表れますので、こういった症状が気になった方は、早めに受診することをお勧めします。

編集部編集部

大腸がんの初期症状についても教えてください。

山田 晃弘先生山田先生

早期の大腸がんは、自覚症状がほとんどありません。進行すると便通異常(下痢や便秘)や血便、腹痛、貧血などが表れますが、例えば血便などは、目で見ただけでは気が付かないほど少量から始まります。症状に気がついた時点では、かなり進行してしまっている可能性もあるのです。

編集部編集部

進行すると、治療が大変になってしまうのですよね?

山田 晃弘先生山田先生

その通りです。治療自体が大変になるだけでなく、5年生存率も早期がんでは95%以上なのに対し、進行がんでは大きく下がってしまいます。大腸がんは、早期発見・早期治療ができれば完治する確率の高いがんなのです。

大腸がんの早期発見のために知っておきたいこと

大腸がんの早期発見のために知っておきたいこと

編集部編集部

では、症状がなくても検査を受けた方が良いのですか?

山田 晃弘先生山田先生

そうですね。症状のある人はもちろん速やかに受診していただきたいですが、便潜血検査で陽性となった方や、大腸がんのリスク因子を持つ方などは、自覚症状がなくても定期的に大腸カメラの検査を受けていただければと思います。

編集部編集部

どんな人が「大腸がんのリスク因子を持つ」のでしょうか?

山田 晃弘先生山田先生

まずは、中年以降の方です。大腸がんは、40代以降に患者数が増えてくるというデータがあるため、どんな方でも40歳を過ぎたら、大腸カメラを一度受けていただくことをお勧めします。ほかには、近親者に大腸がんの既往がある方、炎症性腸疾患の方、遺伝性大腸がん症候群の方、ポリープ切除を過去に受けたことのある方なども注意が必要です。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

山田 晃弘先生山田先生

大腸がんは日本人の罹患数が多いがんの一つですが、定期的な検査で早期発見できれば5年生存率が95%以上と予後の良いがんでもあります。自覚症状がないからと安心せず、40歳を過ぎたら、まずは検査を受けていただくことをお勧めします。検査の前処置は少し大変ですが、最近は検査食の味も改善され、より飲みやすくなっています。また、苦痛の少ない検査方法も確立されてきました。ご自身の健康のために、ぜひ定期的な検査を心がけていただければと思います。

編集部まとめ

大腸カメラ(大腸内視鏡)は、大腸の健康を守るために重要な検査の一つです。自覚症状がない段階でも異常を発見できるため、病気の早期発見・早期治療につながります。大腸がんなども、早い段階で対応すれば治療の選択肢が広がり、予後も大きく変わる可能性があります。ご自身の健康そして安心のためにも、定期的に大腸カメラを検査を受けるようにしましょう。

医院情報

横浜内科おなかクリニック

横浜内科おなかクリニック
所在地 〒225-0002 横浜市青葉区美しが丘2-14-4 KMビル2階
アクセス 東急田園都市線「たまプラーザ駅」 徒歩2分
診療科目 内科、消化器科

この記事の監修医師

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