【密着】女優・坂巻有紗がHPVワクチン接種。噂される副反応の真実とは(2/2ページ)
坂巻有紗「HPVワクチン知れてラッキー」自ら接種し安全性を呼びかける
坂巻さん
HPVワクチンに対して不安を感じる人がいるのはなぜですか?
稲葉先生
過去にメディアで副反応疑いの症状に関する報道が大きく取り上げられたことが主な原因です。接種後に出た症状が報告され、安全性が確認されるまでの間、一時的に予防接種の通知が止められ、ワクチンを無料で受けられる人が気づかない状況となっていました。
坂巻さん
症状の原因はわかったのですか?
稲葉先生
その後の研究では、報告された24の症状全てにおいてワクチンとの因果関係は認められず、安全性が確認されました。どうやって確認したかというと、接種した人と、接種していない人とで、大規模に調査したところ、接種していない人でも同じ割合でそのような症状が出たことから、症状の原因がワクチンではないと分かったわけです。
坂巻さん
なるほど。接種の通知が止まってからワクチンを打たない人が増えたのですか?
稲葉先生
世界中で当たり前のように接種されている中、日本では、安全性を確認するエビデンスが蓄積されていたにもかかわらず、長らく通知が再開されませんでした。予防できるワクチンがあって対象者は無料で接種できるという制度があるのに、最近まで接種率が1%未満という状況でした。
坂巻さん
子宮頸がんの患者さんの治療で印象に残っていることはありますか?
稲葉先生
子宮頸がんは若い年代で起こりやすいがんなので、妊娠して幸せな気持ちでいる方にがんが見つかったり、小さなお子さんを残してお母さんが亡くなったりしてしまうケースがありました。子宮頸がんは、誰でもかかることがあるけれども、誰もが予防することができるということを知っておいていただきたいです。
坂巻さん
HPVはどれくらいの人がかかるものなのですか?
稲葉先生
8割くらいの人がHPVに感染することがあると言われています。HPVは性交渉で感染するものではありますが、いわゆる性病とは違って、いつ誰から感染したかがわかりません。特定のパートナーしかおらず相手も遊んでないという人でも、子宮頸がんになることはあります。だれがかかってもおかしくないので、初めての性交渉より前の年代で打つというのがとても大事です。
坂巻さん
性交渉の経験がある人では予防接種する意味はないですか?
稲葉先生
いえ、十分に意味があります。たとえ性交渉の経験がある人でも、すべての型に感染しているわけではありません。また既に感染していても、新たな型への感染を予防する効果があります。例えば、1つの型に感染していても、残りの8つの型への感染を防ぐことができるのです。そのため、性交渉の経験や年齢にかかわらず、接種の価値は十分にあると言えます。
坂巻さん
HPVワクチンの安全性が示されたとはいえ、よく起こりがちな副反応や症状はありますか?
稲葉先生
最も一般的な副反応は接種部位の痛みです。肩に注射するのですが、インフルエンザワクチンよりも痛みが強いかもしれません。ただし、痛みのピークは打った直後で徐々に和らいでいくことが多いです。まれに腫れが残ることもありますが、大半の方は翌日には気にならなくなります。坂巻さんはHPVワクチンの接種に興味がわいてきましたか?
坂巻さん
はい、すぐにでも打ちたいです。先生、今日お願いできますか?
稲葉先生
わかりました。それではこちらの問診票に記入をお願いします。
稲葉先生
坂巻さん、実際に接種してみてどうでしたか?
坂巻さん
正直痛いのを想像していたのですが、全然痛くなかったです!事前に「結構痛いかもしれない」と言われていたので覚悟していましたが、思ったより全然大丈夫でした。
稲葉先生
今回の対談を通じて感じたことや読者の方に伝えたいことはありますか?
坂巻さん
私たちの世代はHPVワクチンについて十分な情報を得る機会がなかったので、今回先生から正しい情報を知ることができてラッキーでした。同時に正しい情報を発信することの大切さも学びました。微力ながら、私も多くの人にHPVワクチンの重要性を伝えていきたいと思います。
編集後記
本記事の取材を通じて、HPVワクチンの重要性や安全性の根拠を改めて知ることができました。とくに印象的だったのは、坂巻さんの「全然痛くなかった!」という感想でした。不安を抱えている方も多いと思いますが、様々な情報を集めた上で、HPVワクチンを打ちたいという方は、キャッチアップ接種という貴重な機会を逃さないよう早めに行動していただけたらと思います。