「大腸カメラ」で“腸に穴が開く”可能性があることをご存じですか? 合併症やリスクを医師が解説!
大腸内視鏡検査、いわゆる「大腸カメラ」は、大腸の内部をカメラで観察できる非常に優れた検査方法です。れっきとした医療行為ですが、合併症やリスクが伴います。今回は、大腸カメラの合併症やリスク、注意点などについて、「川越駅前ゆい消化器内科・内視鏡クリニック」の木村先生に解説していただきました。
監修医師:
木村 ジェニファー 由衣(川越駅前ゆい消化器内科・内視鏡クリニック)
内視鏡検査とは
編集部
そもそも、内視鏡検査とはなんですか?
木村先生
口や肛門から、先端に小型のビデオカメラを搭載した直径1cm程の細長い管を挿入し、食道、胃、十二指腸、大腸などの粘膜を観察する検査です。胃カメラや大腸カメラのことを指します。視覚的に確認できるので、小さな病変でも比較的早期に発見でき、病変を詳細に観察して「質的診断」をできるメリットがあります。
編集部
大腸カメラも内視鏡検査の一種ということですか?
木村先生
はい。大腸カメラは、下部消化管内視鏡検査や大腸内視鏡検査とも呼ばれ、肛門から大腸内視鏡を挿入し、大腸の粘膜を直接観察する検査です。スコープには穴が通っており、検査中に病変が見つかれば、先端から器具を出してその場で切除することもできます。
編集部
どのような病気がわかるのですか?
木村先生
「大腸ポリープ」「大腸がん」「潰瘍性大腸炎」「クローン病」「虚血性腸炎」「大腸憩室症」などです。特に大腸がんの早期発見には大腸カメラが非常に有効で、定期的な検査によってがんのリスクを大幅に減少させることがわかっています。また、ポリープは進行すると大腸がんになる危険性があるので、医師の判断に基づき、必要であればその場で切除します。
編集部
検査でポリープも切除できるのはすごいですね。
木村先生
しかし、あくまでも「早期に発見」できた場合です。早期発見できれば内視鏡的に切除することが可能ですが、進行してしまうと外科的手術で切除しなければなりません。また、隆起しているポリープは見つけやすいのですが、ポリープを介さないで直接粘膜にがんができるパターンもあります。その場合は、平坦や陥凹した形をしているため、発見がかなり難しくなります。そのため、定期的に検査を受けて早期発見することが重要です。
大腸カメラを受ける際の注意点
編集部
症状が出る前の検査が大事なのですね。
木村先生
はい。胃がんや大腸がんは、症状が出た時点で進行していることが多いので、症状のないうちに検査を受けることが早期発見・早期治療につながります。35歳以上で、これまでに一度も内視鏡による検査を受けたことがない人は、ぜひ検査を受けていただきたいですね。
編集部
検査時の注意点はありますか?
木村先生
例えば、抗血栓薬や抗凝固薬などのいわゆる「血液サラサラの薬」を服用している人は、出血した場合に止まりにくくなるリスクがあるので、事前に必ず申し出てください。医師が内服の確認をして、必要があれば中止の指示をします。
編集部
ほかにも、気をつけた方がいいことはありますか?
木村先生
検査前日の食事は、繊維質の多いものや油分の多いものは控えていただいています。また、当日は腸の中を空っぽにするため、下剤を服用して排便を促します。
編集部
大腸カメラに伴う合併症などはあるのですか?
木村先生
稀ですが、スコープの挿入により、腸に穴が開いてしまうことがあります。穴の開く場所はS状結腸が多いですね。また、ポリープの切除時に、出血したり腸に穴が開いたりすることもあります。すでに直腸やS状結腸などにがんがあった場合は、腸が狭くなっていることも多く、下剤ががんの手前で渋滞を起こして穴が開くこともあります。
編集部
腸に穴が開いたら、どうするのでしょうか?
木村先生
緊急手術の対象となります。合併症が起こらないよう、また、万が一起こってしまっても適切な対応ができるように、技術のある医師や信頼できる医療機関を選ぶことが大切です。
内視鏡検査を受ける病院選びのポイント
編集部
医師や医療機関選びが重要なのですね。
木村先生
はい。大腸カメラは、医師の経験や技術にバラつきが出やすい検査です。曲がりくねった腸の中で内視鏡を扱うのは高い技術が必要ですし、小さな病変をいかに見つけられるかにも医師の腕が要求されます。また、検査機器もどんどん進化しています。精度の高い機器で実績のある医師に検査してもらった方が、早期の病変でも見つけやすいでしょう。
編集部
ほかに、医療機関を選ぶポイントを教えてください。
木村先生
最近では様々なタイプの下剤が出てきているので、多くの選択肢を持つ医療機関がおすすめです。また、検査に対する恐怖感の強い人は、鎮静剤(麻酔)を使える病院もあるため、事前に確認してみましょう。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
木村先生
大腸カメラは、大腸の内部をカメラで視覚的に確認できる非常に優れた検査で、大腸がんの早期発見には欠かせません。しかし、医師の技術や経験によって病変の発見や苦痛に差が出てしまう検査でもあります。さらに、検査やポリープの切除で、出血や腸に穴が開くといった合併症のリスクもあるのです。医師・医療機関選びが大切なので、今回お伝えしたポイントを参考にしてみてください。
編集部まとめ
大腸カメラの検査方法や見つけられる病気、注意点などを解説していただきました。定期的に大腸カメラを受けることは、大腸がんやそのほかの疾患の早期発見に不可欠です。また、検査を受ける際には、リスクや合併症について十分に理解し、技術と信頼性の高い医師や医療機関で受けることが大事とのことでした。今回紹介したポイントを参考に、まずはお近くの医療機関を調べてみてはいかがでしょうか。
医院情報
所在地 | 〒350-1123 埼玉県川越市脇田本町16-5ザ・パークハウス川越タワー2F |
アクセス | JR「川越駅」 徒歩1分 |
診療科目 | 消化器内科、肛門科 |