【医師解説】健康診断で「白血球が少ない」と言われた…原因は? 考えられる可能性を知る
健康診断で何らかの異常値が出れば、「何かの病気になってしまったのかな」と心配になってしまうでしょう。中でも白血球数が減少する原因や症状についてご存知ですか? 今回は、白血球が少なくなる原因や健康診断で指摘されたときにすべきことについて、渡邉 健先生(ハレノテラスすこやか内科クリニック 院長)にお聞きしました。
監修医師:
渡邉 健(ハレノテラスすこやか内科クリニック)
目次 -INDEX-
健康診断で白血球の数値が低いと診断されたら 血液中の白血球が少なくなるのはなぜ? ストレス? 感染症?
編集部
血液検査で「白血球の数値が低い」と言われてしまいましたが、そもそも白血球とはなんですか?
渡邉先生
数値(/μL) | |
要医療 | 3000以下 |
正常 | 3100~8400 |
軽度異常 | 8500~9000 |
要経過観察 | 9000~9900 |
要医療 | 10000以上 |
編集部
白血球が正常値より減っている場合はどんな異常が考えられますか?
渡邉先生
まず、白血球が少ないときには白血球以外の血液細胞である赤血球や血小板の値をみて考えていきます。2つ以上減少している際には栄養性、骨髄の機能異常、肝硬変などで血球の寿命が短くなっている場合を考えます。
編集部
白血球だけが減っている場合はどのようなことが考えられますか?
渡邉先生
白血球が単独で減少している場合、短期的なものなのか、慢性的に続いているのかを確認します。短期的な減少の場合、飲んでいる薬の副作用もしくはウイルスなどの感染によるものであることが多く、1週間程度で回復することがほとんどです。3か月以上続く場合は、膠原病や家族性白血球減少、がんなどの可能性が考えられますので、更なる検査が必要となります。
健康診断の結果で「白血球が少ない」と指摘されたら検査を再受診する必要はある? 何科の病院へ行くべき?
編集部
やはり白血球数の減少が見られた場合、病気の可能性は考慮すべきなのですね。
渡邉先生
可能性はあります。ただし、健康診断で白血球の数が少ないと言われたとしても、貧血や血小板減少がない、ほかの項目に異常がない、特に症状もない場合は問題ありません。実際はそのようなケースがほとんどです。
編集部
「再受診」とか「要精密検査」と言われた場合はどうしたら良いのですか?
渡邉先生
もちろん、一度はきちんと検査してもらってください。「問題ないケースがほとんど」とは言っても、自己判断で安心してしまうと、万が一病気が隠れていた場合に発見や治療が遅れることになってしまいます。特に、関節が痛い、皮疹がある、目が乾くなどの症状がある方は、膠原病の可能性がありますので医師に相談してください。
編集部
何科の病院に行ったら良いでしょうか?
渡邉先生
かかりつけの医療機関があれば、まずはそちらに行きましょう。もし新たに医療機関を探すのであれば、血液内科のあるところをおすすめします。検査結果をしっかりみてくれるだけでなく万が一病気の可能性があった場合にも、比較的スムーズに対応できるはずです。お近くに血液内科がなかった場合は、一般内科でも問題ありません。必要に応じて、血液内科を紹介してくれるはずです。
基準値より少ない白血球数を増やすためにはどうすればよい? 食事や生活習慣・改善方法について
編集部
病気でないとわかった場合、少ない白血球数を増やすためにはどうしたら良いですか?
渡邉先生
「白血球を増やす方法」というのは特にありません。ただ、栄養不良の際に減少することはあるので、栄養バランスが乱れていると感じている人は先生の指示に従ってまずは食生活を改善してください。また、先ほど「薬剤の影響で減る」とお伝えしましたが、病院での処方薬に限らず漢方やサプリメントなどでも下がることがありますので、心当たりのある方は、血液検査の際にその旨を医師と共有しておきましょう。
編集部
ほかに、白血球数の少ない人が気をつけるべきことはありますか?
渡邉先生
数値にもよりますが、強いて言うなら感染症対策をしましょう。ばい菌、ウイルス、カビなどから身を守る働きのある白血球が著しく少ない人は、そうでない人に比べて感染しやすい傾向があります。基本的なことですが、手洗いなどをよりしっかりと行うようにしましょう。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
渡邉先生
白血球減少については、血液疾患だけではなく別の病気が隠れている可能性もあります。とくに症状がなくても、指摘されたら一度はちゃんと調べてもらうことをおすすめします。ただ、血球の数はちょっとした状態の変化に左右されることが多く、朝夜での変化も激しいので、一度の検査数値のみで判断せず、年単位で見ていく必要があると思います。白血球の中で「好中球」の減少については、ガイドラインも定められて理解が深まっており、正しい判断ができるような体制ができつつあるので、しっかりと健康診断を受けてほしいですね。
編集部まとめ
白血球の減少について、血液内科の先生に解説していただきました。血球の数値は栄養状態や薬・サプリメントの副作用など、さまざまな要因で変化してしまうとのことでしたが、膠原病やがんの可能性もあるようです。健康診断などで指摘された場合は、まず一度、専門の医療機関で検査してもらうのをおすすめします。
医院情報
所在地 | 〒337-0006 埼玉県さいたま市見沼区島町393番地 ハレノテラスC棟2F |
アクセス | JR「東大宮駅」 徒歩15分 |
診療科目 | 内科、血液内科 |