【闘病】血小板が正常値の5%以下…「特発性血小板減少性紫斑病」で気づいた健康な体の尊さ(1/2ページ)

職場で受けた健診で血液検査の数値異常を指摘され、再検査までの一週間で体にアザができるなどの異変が起こり始めたグッチさん。再検査の結果、「特発性血小板減少性紫斑病」と診断されました。航空自衛隊のヘリコプター整備士をしていたグッチさんが、病気の発覚から治療、家族と一緒にどうやって闘病期間を乗り越えたのか、詳しく話を聞きました。
※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2023年月11取材。

体験者プロフィール:
グッチ(仮称)
1987年生まれ。岐阜県各務原市在住。妻、小学1年生の娘、年少の息子、0歳の娘との5人家族。2019年2月、航空自衛隊のヘリコプター整備士として在籍していた時の定期健診で血液検査の数値に異常があると言われ、検査をした結果、特発性血小板減少性紫斑病と診断される。ステロイド治療や脾臓摘出を経て、血小板は安定している。現在はヘリコプター整備士の経験を活かし、ヘリコプター運営に携わる仕事に従事。

記事監修:
今村 英利いずみホームケアクリニック
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。
太ももに突然現れた拳より大きなアザ

編集部
病気が判明した経緯について教えてください。
グッチさん
最初のきっかけは、職場の定期健診でした。血液検査の結果「血小板の数値に異常があるので、再受診するように」と言われました。その時は血小板の重要性やことの大きさにまったく気がつきませんでしたが、衛生隊の人からは「最近アザができたりしました?」と聞かれたんです。「アザはできたことありません」と返事をしましたが、「来週こちらが予約する血液内科のある病院で、もっと詳しくみてもらってください」と言われました。
編集部
そうなのですね。それからどのような変化がありましたか?
グッチさん
血液内科での再検査までの1週間で、体に異変が起きました。太ももに突然拳よりも大きなアザができたのをきっかけに、体のあちこちにアザができました。舌には大量の血豆ができ、異常なことに戸惑いましたが、「あと2、3日で検査行くから様子見しておこう」くらいの気持ちで過ごしていました。その期間に訓練でヘリコプターからロープで50mの高さから降下するような訓練にも参加していましたが、生きているのが奇跡だったということを後から知りました。
編集部
突然体の異常が現れたのですね。検査はどうでしたか?
グッチさん
※衛生隊:陸上自衛隊の職種の一つで、隊員の健康管理や防疫及び衛生資材等の補給整備等を行う
編集部
どのように治療を進めていくと医師から説明がありましたか?
グッチさん
「まずはステロイド治療、最低でも2カ月の入院が必要」と言われました。そして、「長期のステロイド治療によって筋力が衰えとADL(日常生活動作)の低下が考えられるため、退院しても自宅療養をするように」と言われました。
編集部
病気が判明したときの心境について教えてください。
グッチさん
実は、この時の自分の心境は不安や心配ではありませんでした。これまで、病気や入院とは無縁の人生だったので「ついに自分も入院する日がくるのか」という気持ちだけでした。治療へのモチベーションがなければ気が滅入るだけなので、とにかく前向きに考えました。妻と子どもにも、楽しく治療を頑張るパパを見せて、不安にさせないように心がけました。治療期間中は安静にしている必要はあったものの、外見は普段と何も変わらず過ごせたので、家族もそれほど思い詰めることがなかったのが何よりも救いでした。
妻の支えがあったからこそ、治療に専念できた

編集部
入院期間中はどのような心境の変化がありましたか?
グッチさん
入院したがんセンターは、病棟が無菌室というエリアでした。同じ病棟に入院している人の中には、小さな子どももいました。まだ親と一緒にいたい時期なはずなのに日中は1人で病室にいるのを見ると、自分も子どもを持つ親として他人事とは思えませんでした。今回初めて病気になり入院したのですが、決して「健康であることが普通」ではないことなのだと気づかされました。
編集部
闘病に向き合う上で心の支えになっているものを教えてください。
グッチさん
妻の存在です。妻も同じ自衛官でしたので、入院期間にやらなくてはいけない職場との手続きなどは妻がすべて担ってくれました。週末の面会時には必要な物を持ってきてくれるだけでなく、手料理を作って持ってくれた時もあり、とても癒されました。妻の存在のおかげで、仕事に対する気持ちの負担が軽減でき、治療に専念できました。
編集部
もし昔の自分に声をかけられたら、どんな助言をしますか?
グッチさん
病院にはソーシャルワーカーという職種の方がいて、入院中に感じる仕事や経済的な不安、主治医との関わり方などの相談に乗ってくれます。なので、もっと早くから相談しておけばよかったと思いました。入院当時には、保険の申請方法などほかの職種の方には相談しにくいことをソーシャルワーカーの方に相談させていただき、本当に助けられました。自分を担当してくれたソーシャルワーカーさんとは今も付き合いがあり、心の支えになってくれています。