「何も覚えてない…」お酒の飲み過ぎで記憶をなくすメカニズムと予防法を医師が解説!
「昨日の2次会以降の出来事を全く覚えていない……」と、お酒の飲み過ぎで記憶をなくした経験をした人は意外と多いのでは? 飲み過ぎで記憶をなくすとき、脳や体に何が起きているのでしょうか。なんらかの病気のリスクになっていないかも気になります。お酒の飲み過ぎで記憶がなくなる仕組みや、飲み過ぎを防ぐ方法を中川医師に解説していただきました。
監修医師:
中川 龍太郎(医療法人資生会 医員)
編集部
飲み過ぎて記憶をなくしてしまうことがあります……。一体、何が起きているのでしょうか?
中川先生
「飲みすぎて記憶がない……」という経験をしたことがある人は、一定数いらっしゃると思います。医学的には「ブラックアウト」という現象が起きています。ブラックアウトとは、記憶が飛んでしまうことを指します。アルコールに関連したブラックアウトは文字通り、アルコールを摂取しすぎた際に記憶が飛んでしまうことを言います。
編集部
なぜ、飲み過ぎると記憶をなくすのですか?
中川先生
お酒を飲み過ぎると、脳の中の海馬と呼ばれる部位でおこなわれる、短期記憶から長期記憶への記憶の移動・保存が一時的に阻害されるためです。これは血中アルコール濃度が高くなったり、急上昇したりした場合、より起こりやすいとされています。そのため、飲み過ぎると記憶が飛びやすくなるのです。
編集部
ブラックアウトが頻繁に起こる場合、病気の可能性があるのでしょうか?
中川先生
「ブラックアウトが頻繁に起こるからといって、特定の病気の可能性がある」ということはありません。ただし、ブラックアウトは血中アルコール濃度が一定の高さに達するとリスクも上がるので、「抗不安薬・睡眠薬を使用している人は、その閾値がより低くなっている」という報告があります。そのため、これらの薬を内服している不安障害や不眠症を患っている人はブラックアウトが頻繁に起こりやすいと言えるでしょう。
編集部
飲み会で記憶を飛ばさないためには、どうしたらいいですか?
中川先生
飲み会で記憶を飛ばす、つまりブラックアウトを予防するためには、血中アルコール濃度を急上昇させないことが重要です。短時間で多量の飲酒をすると、血中アルコール濃度が急上昇するため、アルコール摂取の総量を減らすとともに、ペースを守って飲酒をしましょう。ブラックアウトが起こりやすい飲酒量は、「約2時間以内に女性で4杯、男性で5杯」とされています。ただし、このペースと量を守っていればブラックアウトが生じないというわけではありません。遺伝的にお酒が弱い人はより一層、お酒を飲む量とペースに注意しましょう。