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緑内障治療を受ける際の医院選びのポイントを眼科医が徹底解説 どこで治療しても同じ?

 公開日:2023/12/21
緑内障治療を受ける際の医院選びのポイントを眼科医が徹底解説 どこで治療しても同じ?

緑内障は、適切な時期に治療を開始する必要があります。緑内障があると転倒や自動車事故を起こすリスクが高くなるだけでなく、治療が遅れると失明のリスクもあります。一体、緑内障の治療を受けるにあたり、医療機関は何を基準に選べばいいのでしょうか。今回は、眼科の医院選びのヒントを「小江戸眼科内科 白内障・緑内障・糖尿病クリニック」の庄司先生に教えていただきました。

庄司 拓平

監修医師
庄司 拓平(小江戸眼科内科 白内障・緑内障・糖尿病クリニック)

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防衛医科大学校卒業。その後、防衛医科大学校病院専門研修医、行定病院眼科医長、埼玉医科大学眼科准教授などで経験を積む。2022年、埼玉県川越市に「小江戸眼科内科 白内障・緑内障・糖尿病クリニック」を開院。医学博士。日本眼科学会専門医、日本緑内障学会評議員、日本視野画像学会評議員、日本レーザー医学会評議員、日本眼科手術学会学術委員。日本網膜硝子体学会、日本眼光学学会、米国眼科学会(AAO)、米国緑内障学会(AGS)の各会員。埼玉医科大学眼科客員教授。

こんな症状があったら緑内障かも! 緑内障を早期発見するには?

こんな症状があったら緑内障かも! 緑内障を早期発見するには?

編集部編集部

緑内障は失明の原因になることも多いと聞きました。

庄司 拓平先生庄司先生

緑内障は現在、日本における中途失明原因の第1位です。近年の報告では第2位の、糖尿病網膜症を大きく上回っています。

編集部編集部

緑内障になると、なぜ失明してしまうのですか?

庄司 拓平先生庄司先生

そもそも緑内障は、視覚情報を伝達する網膜の細胞(神経節細胞)に異常が起こり、徐々に視野が欠けていく病気です。残念ながら現在の医学では、この細胞を増やしたり交換したりすることはできません。また、健康な人でも加齢に伴い、徐々に減少することが知られていますが、普通の人より速い速度で細胞が減少するのが緑内障です。進行は非常にゆっくりですが、徐々に視野が狭くなり、視野が失われた部分はぼやけるようになります。その状態が進行すると、失明に至るリスクがあるのです。

編集部編集部

緑内障に早めに気づくには、どのような症状に注意すればいいのですか?

庄司 拓平先生庄司先生

緑内障の初期には、ほとんど症状がみられません。視野が欠けている場所や大きさにより、病期は「前視野期」「初期」「中期」「進行期」に分けられますが、初期や中期だけでなく、進行期になってもはっきりとした自覚症状が表れないケースも珍しくありません。

編集部編集部

そうなると、どのようにすれば早期発見できるのでしょうか?

庄司 拓平先生庄司先生

ご自身が自覚するよりも、かなり以前から視野は障害し始めています。視野検査をおこなえば実際の視野を測定することができ、自覚できなかった視野異常を検出することができます。さらに最近では、眼底の写真を撮るだけで、視野異常が始まる以前の緑内障性変化も検出することが可能になりました。現在では目の奥の写真を撮るだけで、緑内障をかなり早い時点で検出することが可能です。

緑内障治療の医院選びは、どんな点に注意すればいい?

緑内障治療の医院選びは、どんな点に注意すればいい?

編集部編集部

緑内障の検査や治療を受ける際に、どのような眼科を選べばいいのでしょうか?

庄司 拓平先生庄司先生

緑内障は眼科疾患の中ではありふれた病気なので、どの眼科医も治療経験はあります。しかし、緑内障の診断や治療方法も、この10年間で劇的に変化しているため、最新の知見を常にアップデートしている眼科を選ぶのがおすすめです。

編集部編集部

具体的には、どのような点に注意すればいいでしょうか?

庄司 拓平先生庄司先生

緑内障をいち早く見つけるには、検査がとても重要です。一般的に、緑内障は眼圧が高くなる病気として知られていますが、最近では眼圧が正常なのにも関わらず発症する正常眼圧緑内障の方がむしろ日本人では多数派になってきています。そのため、眼圧検査、隅角検査、眼底検査、視野検査など幅広く受けることで、早期発見につなげます。

編集部編集部

検査がとても重要なのですね。

庄司 拓平先生庄司先生

はい。特にOCT(光干渉断層計)検査といって、網膜の状態を断層ごとに分けて詳細にチェックする検査もあります。視神経乳頭の状態や網膜神経線維層の厚みを自動計測するなど、精密な検査を侵襲なくおこなうことができ、極初期の緑内障や視野異常が表れる前の緑内障(前視野緑内障)を見つけることができます。

編集部編集部

極初期でも見つけることができるのですね。

庄司 拓平先生庄司先生

はい。ただし、早期になると元々の体質なのか、それとも緑内障が始まっているのかを見分けるのが困難です。その点では、医師の経験や技量が問われると思います。

編集部編集部

ほかに、検査で注意すべきことはありますか?

庄司 拓平先生庄司先生

緑内障の進行を見極めるためには、見つめている中心から上下左右、どの範囲まで見えているかを確認する「視野検査」が重要です。動かない光を使って見える範囲や欠落部の有無を調べる「ハンフリー視野計」や、モニターを覗き込んで使用する視野計「imo」、外から中心に向かって光を動かして見えた位置をつなげて視野を調べる「ゴールドマン視野計」など、多角的に視野を測定すると、より早期発見につながりやすくなります。

編集部編集部

様々な検査が必要なのですね。特に注意した方がいい人はいますか?

庄司 拓平先生庄司先生

特にレーシックをおこなった人は今後、注意が必要です。レーシックの際に角膜を削るのですが、角膜厚が薄いと眼圧が低く表示されることが知られています。レーシックをおこなって近視を矯正しても、元来持っている眼球の形状が近視であれば、緑内障のリスクは近視でない人よりも高くなります。レーシックをおこなっている人は、眼圧が低いからといって緑内障にならないとは限りません。

緑内障の治療法や受ける上での注意点

緑内障の治療法や受ける上での注意点

編集部編集部

緑内障の治療は、どのようにしておこなうのですか?

庄司 拓平先生庄司先生

基本的に、「薬物治療」「レーザー治療」「手術」という選択肢があります。それぞれにメリットとデメリットがあり、例えば、薬物治療では長期にわたって毎日点眼をしなければなりませんし、レーザー治療や手術は治療によるリスクを伴います。また、レーザー治療や手術をしても眼圧再上昇のリスクもあります。

編集部編集部

治療では、どのような点に注意したらいいでしょうか?

庄司 拓平先生庄司先生

それぞれの治療法に様々な選択肢があるため、適切に選ぶことが必要です。例えば、点眼薬では房水の生産を抑制したり排出を促進したりするものや、神経保護効果を期待するものなど様々です。場合によってはそれらを複数組み合わせることでより高い効果が期待できることもあるので、点眼薬の選択が重要になります。

編集部編集部

点眼薬は、どのようにして選択するのですか?

庄司 拓平先生庄司先生

緑内障の治療薬は点眼剤だけで約20種類存在しますが、それぞれの点眼薬に特徴があります。例を挙げると、全身的な副作用があったり、ほかの飲み薬との併用が禁止されていたりする点眼、充血やまぶたの周囲が荒れやすい点眼剤、点眼回数の少ない点眼剤などです。

編集部編集部

様々な種類があるのですね。

庄司 拓平先生庄司先生

はい。実際には、患者さんの眼圧値、緑内障の状態とライフスタイルを加味した上で、最適と思われる点眼の組み合わせを提案します。また、実際に点眼した後も眼圧下降効果や副作用の発現具合をみながら、点眼の継続や変更・追加を判断していきます。

編集部編集部

レーザー治療や手術でも選択肢が多いのですか?

庄司 拓平先生庄司先生

はい。一口にレーザー治療といってもSLT(選択的レーザー線維柱帯形成術)やLPI(レーザー周辺虹彩切開術)など、いくつかの種類があります。緑内障は症状によって様々なタイプに分類されるため、タイプによって的確に治療法を選択しなければなりません。さらに、難症例にはインプラント手術(エクスプレス・プリザーフロ・アーメド・バルベルト)といったものもありますが、高度な医療技術を必要とするため、施設基準を満たしていることを厚生局に届け出る必要があり、おこなえる医療機関は限られています。そのため、緑内障の治療経験が豊富な医師や医療機関を選ぶことをおすすめします。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

庄司 拓平先生庄司先生

緑内障の治療を受ける際には、「緑内障の専門医と名乗っている医師」「緑内障の手術を多数している医師」を選ぶといいでしょう。また、日本緑内障学会評議員や診療ガイドラインの作成メンバーを選ぶのもおすすめです。緑内障診療ガイドラインは、誰でも無料で入手可能です(※)。ただし、緑内障の治療が始まると、2カ月に1回の程度の通院が必要になります。通いやすさという観点から、通える範囲で探すこともポイントとなるでしょう。

※日本緑内障学会「緑内障診療ガイドライン(第5版)」
https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/resources/member/guideline/glaucoma5th%20(2).pdf

編集部まとめ

加齢とともに緑内障を発症する確率は上昇します。いざというときのため、医師を選ぶポイントを押さえておくと役立つはずです。同時に、できるだけ早期に発見するため中高齢になったら定期的に検診を受けるといいでしょう。その際は、専門医をはじめとする資格や症例数などの実績を参考にするのがいいとのことでした。

医院情報

小江戸眼科内科 白内障・緑内障・糖尿病クリニック

小江戸眼科内科 白内障・緑内障・糖尿病クリニック
所在地 〒350-1123 埼玉県川越市脇田本町15-13 東上パールビル1F
アクセス JR・東武東上線「川越駅」 徒歩1分
診療科目 眼科、糖尿病内科

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