【糖尿病予防】誰でもできる健康的な日常生活の過ごし方を専門医が伝授
「血糖値が高い。すなわち糖尿病」ではありません。血液検査や尿検査でひっかかったり、「糖尿病予備軍」と言われたりしたとしても、そこからできる予防策はあります。糖尿病専門医の桃園明先生(LSクリニック東京)にMedical DOC編集部が詳しく聞きました。
監修医師:
桃園 明(LSクリニック東京)
糖尿病ってどんな病気?
編集部
糖尿病とはどんな病気ですか?
桃園先生
糖尿病は、ブドウ糖が適切に体内に取り込まれず、血糖値が上昇する病気です。膵(すい)臓から出る「インスリン」というホルモンの分泌や働きになんらかの問題が起きて、そのようになります。発症のメカニズムによって、1型糖尿病と2型糖尿病に分けられます。
編集部
2つはどう違うのですか?
桃園先生
1型糖尿病は、免疫系が誤って膵臓のインスリンを生成する細胞(β細胞)を攻撃してしまう自己免疫疾患です。ほとんどの場合、若い年齢で発症します。突然発症することが多く、現段階で予防法などはわかっていません。
編集部
では、2型糖尿病は?
桃園先生
「インスリン抵抗性」といって、体が効果的にインスリンを利用できなくなることが原因で起こります。通常、成人期に発症し、遺伝的要素に加え過体重や肥満、不健康な食生活、運動不足などが要因と言われています。日本における糖尿病患者の9割超がこの2型糖尿病です。
「糖尿病」ってどんな症状が出るの?
編集部
糖尿病になるとどんな症状が出るのですか?
桃園先生
初期の段階では、自覚症状がほとんどないことも多いので、やはり糖尿病はリスク要因を理解し、予防や早期発見することが非常に重要な疾患と言えます。一般的な自覚症状としては、喉の渇きや頻尿が起こったり、インスリンを使ってブドウ糖から十分なエネルギーを得ることができずに体重減少や過度な疲労となったりします。また、視力や視覚の変化も起こります。
編集部
糖尿病の要因について、もう少し教えてください。
桃園先生
先述の通り過体重や肥満、不健康な食生活、運動不足などは糖尿病と深く関係していると言われています。過剰な脂肪はインスリンの効果を低下させ、先ほどの「インスリン抵抗性」を引き起こす可能性があるのです。また、炭水化物(糖分)の多い食事は糖尿病リスクを増加させます。
編集部
やはり、食事や運動など、健康的な生活習慣が大事なのですね。
桃園先生
その通りです。喫煙はインスリン抵抗性を引き起こし、糖尿病の発症リスクを増加させるというデータがあります。できれば今すぐにでも禁煙していただけたらと思います。また、過度な飲酒は肥満や高血圧などの糖尿病のリスク要因と関連していますので、こちらも控えていただきたいですね。
糖尿病のリスクや予防策について医師が徹底解説!
編集部
では、どのような生活を送ればいいでしょうか?
桃園先生
適切な食事を決まった時間に摂り、適度に運動し、タバコやアルコールなどの嗜好品は出来るだけ控え、ストレスを溜めずに質の良い睡眠をとるなど、いわゆる昔ながらの「健康的な生活」が大切です。それにプラスして、定期的に健康診断や人間ドックを受けていただくとさらに安心ですね。
編集部
「症状が出てからでは遅い」ということですね?
桃園先生
そうですね。健康診断で、高血圧や高コレステロールを指摘された方は、糖尿病のリスクが高まっているといえます。また、妊娠中の方や、ご家族に糖尿病患者さんがいる方なども糖尿病となりやすいので、これらに当てはまる方は健康診断や人間ドックを特にしっかり受けていただきたいです。
編集部
ほかに、糖尿病予防におすすめなことはありますか?
桃園先生
食事の前に、水溶性の食物繊維を摂ることをおすすめしています。食物繊維というと野菜、サラダなどを思い浮かべる方が多いかもしれませんが、レタスなどはほとんどが水分で、一般的にイメージされているほど食物繊維は含まれていません。こんにゃくやブロッコリー、海藻類などがおすすめです。それから、食べる順番として、野菜→タンパク質→糖質の順で摂っていただくことを意識していただきたいです。
編集部
最後に、Medical DOC読者へのメッセージがあればお願いします。
桃園先生
糖尿病は自覚症状なしに進行する病気なので、早期に発見し、早期に治療開始することが大事です。糖尿病と診断されてからも、血糖値を適切に維持することで、糖尿病でない人とほとんど変わらない寿命を全うすることができると言われています。まずは血糖値を知ることがとても大事だと思います。
編集部まとめ
いわゆる昔ながらの「健康的な生活」がよく、さらに食前に水溶性の食物繊維を摂ることや食べる順番などでも、糖尿病を予防することが期待できるようです。それにプラスして、定期的に健康診断や人間ドックを受けるなどして、自分の血糖値などをきちんと知っておきましょう。
医院情報
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診療科目 | 内科、腎臓内科、糖尿病内科、循環器内科、呼吸器内科、泌尿器科、アレルギー科 |