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「変形性股関節症」の初期症状を医師が解説 股関節にどんな痛み・症状が起きる?

 公開日:2023/10/30
「変形性股関節症」の初期症状を医師が解説 股関節にどんな痛み・症状が起きる?

年齢を重ねるにつれて、股関節の痛みが気になってくる人も多いと思います。ちょっとした痛みで、様子を見ていると回復する場合も多い一方で、徐々に進行していく疾患が隠れていることもあるのだそうです。今回は「変形性股関節症」という疾患について、「とだ小林医院」の小林慎一郎先生に解説していただきました。

小林 慎一郎

監修医師
小林 慎一郎(とだ小林医院)

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昭和大学医学部卒業。その後、慶應義塾大学医学部整形外科学教室入局。複数の病院勤務を経て、「とだ小林医院」の副院長に就任。数多くの手術経験を活かして、より良い医療を提供できるよう心がける。日本整形外科学会専門医。

変形性股関節症の初期症状・前兆を医師が解説 股関節の痛みやだるさ・歩行を要チェック

変形性股関節症の初期症状・前兆を医師が解説 股関節の痛みやだるさ・歩行を要チェック

編集部編集部

股関節に痛みがあるとき、どのような疾患が考えられますか?

小林慎一郎先生小林先生

そもそも、股関節は足の付け根にある関節で、太ももの骨の「骨頭」という部分と、骨盤のとくに「臼蓋」という部分で形成されています。この骨頭と臼蓋の間にある軟骨がすり減って、痛みや動かしにくさなどを引き起こすのが変形性股関節症です。

編集部編集部

どのような症状が出るのですか?

小林慎一郎先生小林先生

初期症状としては、運動後などに太ももやお尻、膝などに、ちょっとした痛みや違和感が表れます。これは変形性股関節症の前兆とも言えますね。進行するにつれて、痛みが強く、部位も股関節に限定的となり、「運動中も痛い→立ったり、歩いたりしただけでも痛い→安静にしていても痛い」となっていきます。

編集部編集部

変形性股関節症になりやすい人の特徴はありますか?

小林慎一郎先生小林先生

最も多い原因は股関節の一部である臼蓋が浅い「臼蓋(寛骨臼)形成不全」で、変形性股関節症全体の80%以上を占めるとも言われています。また、変形性股関節症は、中高年の女性に多い疾患です。さらに、肥満との関係性も報告されています。

編集部編集部

では、臼蓋形成不全になりやすい人はいますか?

小林慎一郎先生小林先生

アジア人に多いのが特徴です。日本人はとくに多く、成人男性の0~2%、女性の2~7%が臼蓋形成不全と言われています。発症年齢は20代後半~40代が多く、妊娠や出産がきっかけで痛みが出たという人も多く報告されています。また、胎児期や幼少期の発育の過程で発症するケースもあるようです。これは1歳半健診などでチェックすることができます。

女性に多い変形性股関節症の主な原因・診断基準・進行段階と治療法

女性に多い変形性股関節症の主な原因・診断基準・進行段階と治療法

編集部編集部

変形性股関節症が発症したり、進行したりする原因などはありますか?

小林慎一郎先生小林先生

先述した臼蓋形成不全が主な原因です。また、進行する原因には肥満や生活習慣、運動習慣など、様々なものが報告されています。立っているとき、股関節あたりに違和感がある」「踏ん張ったり歩いたりすると股関節が痛い」など、変形性股関節症が疑われる人は早めに整形外科で検査を受け、医師から適切なアドバイスを受けましょう。股関節の中でもとくに、「鼠径部」の痛みが強い人は要注意です。

編集部編集部

医療機関では、どのようにして変形性股関節症が診断されるのですか?

小林慎一郎先生小林先生

問診・レントゲン・MRI検査などで痛みや股関節の動き、画像上での股関節の状態などを確認して変形性股関節症の診断をおこないます。とくに初期の段階では、レントゲンの画像だけだとほかの股関節疾患との鑑別ができないためMRI検査が有効です。

編集部編集部

変形性股関節症を放っておくとどうなるのですか?

小林慎一郎先生小林先生

変形性股関節症を放置して自然治癒するということは、まずあり得ません。放っておくと、普通に生活しているだけでも関節の軟骨がどんどんすり減ってしまい、痛みも強くなります。そのため、症状に気づいたら早めの受診をおすすめします。

編集部編集部

では、変形性股関節症の治療法を教えてください。

小林慎一郎先生小林先生

変形性股関節症の治療法は、「保存療法」と「手術療法」です。保存療法は、薬・リハビリテーション・関節への注射などで、痛みを抑える治療です。また、治療と並行して、股関節への負担を減らす生活指導もおこなっていきます。それでも進行してしまった場合は、手術療法が検討されます。

変形性股関節症にならないための予防法・セルフケアにつながるストレッチ・生活改善を医師が紹介

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編集部編集部

進行すると、手術をするしかないのですね。

小林慎一郎先生小林先生

そうですね。変形性股関節症の手術は、自分の骨を削って人工の関節に置き換える「人工股関節置換術」という手術が主流です。一般的かつ広くおこなわれている術式で、関節の痛い部分を取り除くので、痛みの改善が期待できます。進行する前であれば、「骨切り術」という術式を選択することで、自分の関節を温存することも可能です。

編集部編集部

変形性股関節症の進行予防などのためにできるセルフケアなどはありますか?

小林慎一郎先生小林先生

私が最初に指導するのは「体重管理」です。肥満気味の人は、普通に生活しているだけで、股関節に負担がかかってしまうので、無理のない範囲で減量を心がけてみましょう。その際、特別なことをする必要はありません。天気の良い日にウォーキングしてみる」「ラジオ体操やストレッチなどを継続する」などを実践していただくだけでも、バランスの取れた筋肉もつきますし、骨粗しょう症の予防にもなります。

編集部編集部

生活面で気をつける点もあれば教えてください。

小林慎一郎先生小林先生

重いものを持つのも股関節の負担になります。買い物などで食材や生活用品をたくさん運ばなければならないことがある場合は、宅配サービスなどを利用するいったように生活習慣を見直してみてください。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

小林慎一郎先生小林先生

手術というと怖いイメージがあるかもしれませんが、しっかりと実績のある安全性の高い術式ですので安心してください。人工の関節を入れるのに抵抗があって骨切り術を希望される人は、早めの対応が必要となりますので、早期受診をおすすめします。

編集部まとめ

今回は「股関節の痛み」や「変形性股関節症」の原因や治療法などについて伺いました。一度発症すると自然治癒することはほとんどなく、そのまま進行すると手術となってしまう変形性股関節症。その一方、体重コントロールや重いものを持たないなど、ちょっとしたことで予防ができるとのことでした。また、仮に手術となっても、実績のある安全な術式が確立されているので安心してください。

医院情報

とだ小林医院

とだ小林医院
所在地 〒335-0013 埼玉県戸田市喜沢1-27-10
アクセス JR京浜東北線「西川口駅」 徒歩13分
JR埼京線「戸田公園駅」 バスで15分
診療科目 内科、呼吸器内科、整形外科、リハビリテーション科

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