【管理栄養士解説】ダイエットはコンビニご飯でも成功できる? メニュー選びのポイント
ダイエットをするとなると重要なのが食事。とはいえ自炊が苦手な人や、時間がなくて料理ができない人はコンビニでご飯を買うことが多いはずです。ですが、「コンビニのご飯って太りそう」と思う人もいますよね? 実は、選び方次第でコンビニの食事はダイエットの味方になります。そこで今回は、ダイエット中でも太りにくい、コンビニでの食事の選び方を管理栄養士の上坂マチコさんに聞いてみました。
監修管理栄養士:
上坂 マチコ(管理栄養士)
ダイエット中、コンビニ食品を選ぶときのポイントは?
編集部
ダイエット中、コンビニのご飯は食べたらいけないイメージがありますが、本当ですか?
上坂さん
仕事で帰りが遅くなった時や、忙しくて簡単に昼ご飯を済ませたい時、自炊が苦手な人は、コンビニでご飯を選んでもダイエットを成功させることはできます。ただし、ダイエット中の食事の選び方と同様、コンビニの食事の選び方にもポイントがあります。
編集部
では、ダイエット中のコンビニご飯の選び方を教えて下さい。
上坂さん
ポイントとしては、「できるだけ糖質が少ない食品を選ぶ」「たんぱく質と野菜類を積極的に買う」「揚げ物は控えめにする」です。
編集部
なるほど、コンビニでは糖質の高い食べ物が多いと思いますが、どのように選べばいいですか?
上坂さん
例えば、丼ぶりや麺類、パンなど単体だけ買うのを辞めましょう。もちろん、お菓子や甘い飲み物も基本的には避けてください。また、糖質の点でいうとアルコールも太りやすいので買わないようにしてくださいね。おすすめは、おにぎりと具沢山味噌汁のセットや、野菜たっぷりのサンドイッチ、具がたっぷり入った麺類などです。
編集部
たんぱく質と野菜についてはいかがでしょうか?
上坂さん
コンビニでは魚や肉類、卵、大豆製品などのたんぱく質含有量が高い食品がたくさん販売されています。例えば、ゆで卵やサラダチキン、豆乳、サバ缶などいろいろあります。また、野菜はダイエットの味方ですので、積極的に選びましょう。どのコンビニでもサラダは置いてありますので、自分の好みに合わせて選んでみて下さい。また、魚や野菜、海藻類は普段から不足しがちな品目ですので、コンビニで買うのもひとつの手です。
ヘルシーなコンビニご飯を選ぶ具体的な例は?
編集部
糖質オフや低カロリーなどは意識したほうがいいでしょうか?
上坂さん
確かに、最近のダイエットの方法として糖質オフを意識するトレンドがあります。ですが、糖質を控えたダイエット(糖質制限)中であっても、朝食にご飯を適量食べてください。朝食を食べることは、体内時計を整え、エネルギー補給につながります。その時のご飯の選び方としては、白米よりもち麦を使ったおにぎりや玄米、雑穀ご飯を選ぶことがポイントです。もち麦や玄米、雑穀米は食物繊維が多いので、白米より血糖値の上昇が緩やかで太りにくいという特徴があります。さらに、大豆製品や玄米に豊富に含まれる「ビタミンB1」は、糖質の代謝をスムーズにする働きを持ちます。例えば、朝食時にお米に加えて野菜サラダや納豆、モズク、焼き魚などをプラスし、これらから先に食べると血糖値の上昇はさらに緩やかになります。
編集部
ランチは簡単に済ませたくて、おにぎりやパン、丼物、麺類だけ選んでいました。ダイエットのためにはやめた方がいいですか?
上坂さん
時間がない時はどうしてもさっと食べられるものにしたいですよね。例えば、おにぎりを買うならもち麦や玄米などを使ったものにして、魚類をあまり普段から食べない時は鮭、海藻が不足気味な時は昆布など、不足しがちな食材を具に使ったものを選んでみてください。ただし、ツナマヨのようなマヨネーズを使ったおにぎりはエネルギー・脂質が高いので控えめにしましょう。一方、パンや丼、麺類だけなど単品は糖質が多く、体に必要な糖質以外の栄養素が不足してしまいます。糖質の単品食べは、血糖値が急上昇・急低下する「血糖値スパイク」の原因となり、食後の眠気や倦怠感、仕事の効率ダウンを招くので、ダイエット中は控えてみるようにしましょう。
編集部
では、おにぎりや麺類を買うとき、おすすめの副菜は何ですか?
上坂さん
サラダや和え物、スープなどおかずをプラスして、糖質だけにならないようにすることです。一番注意したいのが「ダブル炭水化物」で、カップラーメン+おにぎり、パスタ+パン、調理パン+菓子パンのような組み合わせは避けましょう。
編集部
ダイエットをしている時、肉は食べてもいいですか?
上坂さん
ダイエット中こそ「たんぱく質」は大切です。たんぱく質は筋肉の材料ですが、筋肉は臓器の中でもカロリー消費が高い場所で、筋肉をつけることがダイエットにつながる理由でもあります。また、たんぱく質や脂質は胃での滞留時間が糖質よりも長いため、満腹感が続いて間食の防止もできます。そして、肉や魚などたんぱく質は血糖値の上昇が緩やかな食材です。コンビニにある焼き魚や煮魚、スモークタンや焼き鳥、厚焼き卵、ゆで卵、冷やっこ、納豆などを選んでみましょう。ただしトンカツや唐揚げのような揚げ物は、糖質とカロリーが高いので週に1回程度でとどめてください。
編集部
野菜が苦手なのですが、野菜ジュースで済ませてもいいですか?
上坂さん
野菜ジュースには、飲みやすくするために果物や砂糖が入っていることがあります。そのため、野菜ジュースを飲むと血糖値が上がりやすく、特に果糖は中性脂肪になりやすいのでダイエット中の野菜源としてはおすすめできません。野菜ジュースはどうしても野菜がとれない時の補助です。できれば、野菜はサラダやお浸し、煮物、炒め物など固形物を噛んで食べるようにしましょう。
編集部
サラダはどんなものを選ぶのがおすすめですか?
上坂さん
葉物野菜をたっぷり含んだもの、海藻入り、ツナやゆで卵がトッピングされたものなどがおすすめです。反対にポテトサラダのようなイモ類やカボチャ、トウモロコシなどは糖質が多いので主食と捉えてください。肉じゃが+ご飯、ポテトサラダ+パンは“ダブル炭水化物”になります。
おやつは食べてもOK? コンビニで購入できるおすすめスイーツ
編集部
コンビニのお菓子を見るとつい買ってしまいます。ダイエット中でも食べられるお菓子はありますか?
上坂さん
ダイエット中はできるだけお菓子類を控えたいと、我慢している方がたくさんいます。ですが、どうしてもお菓子が食べたい時は我慢するのではなく選び方を工夫しましょう。例えば、カカオ70%以上の高カカオチョコレートは、1日25g程度たべることで腸内環境を整え、血糖値や血圧を下げる働きが期待できます。またチョコレートには、老化予防に働く「カカオポリフェノール」も豊富です。ただし、食べ過ぎには注意です。
編集部
我慢ではなく選び方の工夫次第でお菓子も食べてよいのですね。そのほかに選べるお菓子はありますか?
上坂さん
プリンやゼリー、ババロア、ムース、ようかんなどもいいですね。あとは、ミックスナッツやむき栗、ほし芋には食物繊維が豊富に含まれているので、腹持ちも良くおすすめです。
編集部
アイスが好きなのですが、どのようなものを選べばよいでしょうか?
上坂さん
アイスは乳脂肪分が高い“アイスクリーム“と表示があるものを選んでください。脂質は血糖値の上昇が緩やかで、腹持ちも良いことので満足度が高くなります。反対に、乳脂肪分が低いラクトアイスには、悪玉コレステロールを上昇させるトランス脂肪酸が含まれることが多く、氷菓は砂糖水を固めたものに近いものですので、なるべく控えましょう。
編集部
糖質ゼロの飲料も最近コンビニでよく見かけるのですが、これはどうですか?
上坂さん
糖質ゼロの清涼飲料水には、「人工甘味料」が使われていることがよくあります。この人工甘味料は、食べても血糖値が上がらず、低カロリーなので太りにくいと言われていますが、最近の研究では脳や腸内環境への影響がいくつか報告されています。そのため、人工甘味料を含んだ商品ばかり食べることが習慣化しないように注意しましょう。
編集部
おやつを食べる時のポイントはありますか?
上坂さん
おやつは15時までに済ませましょう。15時以降は徐々に脂肪を溜め込む時計遺伝子「BMAL 1(ビーマルワン)」が増えて太りやすくなります。ただし15時までだからといってたくさん食べたらもちろん体重が増加するので気をつけてください。ちなみに、BMAL 1は21時から夜中の2時が最も高くなるので、遅い時間の食事や夕食後の間食は避けるようにしましょう。
編集部
最後に読者へのメッセージをお願いします。
上坂さん
最近では、コンビニに健康を意識した食品がたくさん置いてあります。買う時は自分の心身に目を向けて、賢く考えながら食べ物を選ぶことが大切です。毎日コンビニに頼るのではなく、自炊を取り入れることもダイエット成功の鍵です。本当に忙しい時など上手にコンビニを活用していきましょう。
編集部まとめ
ダイエット中に限らずコンビニでは食品の選び方が大事なことが分かりました。お腹が空いたからといって何も考えずに買って食べていたら肥満どころから健康も危ういですようです。コンビニの活用方法を知り、いざという時に頼れる場所として使っていきましょう。