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更年期の女性のための『骨粗しょう症』にならない生活習慣とは?

 更新日:2024/02/21

更年期の女性にとって、「骨粗しょう症」は重要な健康課題の一つです。日常生活の中で、骨粗しょう症のリスクを減らすためにできることはあるのでしょうか? 今回は看護師の安部さんに、骨粗しょう症予防のために更年期女性が取り入れるべき生活習慣のアドバイスを解説してもらいました。

安部 直子

監修看護師
安部 直子(看護師)

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新見女子短期大学(現・新見公立大学)看護学科を卒業後、大学病院で働きながら通信制を利用して看護学学士を取得。民間病院での勤務を経て2022年よりフリーライターとして活動。病棟、外来、救急など様々な部署や、複数の診療科での経験を活かして「誰かの役に立つ情報」を発信中。

閉経後の女性は骨粗しょう症に注意? なぜ?

閉経後の女性は骨粗しょう症に注意? なぜ?

編集部編集部

骨粗しょう症はどのような病気ですか?

安部直子さん安部さん

骨粗しょう症とは、さまざまな理由で骨がもろくなった状態を指します。「骨を強くする・骨を作る」というと子どもの成長期のイメージがありますが、大人でも古い骨を壊して新しい骨をつくる新陳代謝が行われており、これには女性ホルモンのエストロゲンが関与しています。骨量は20歳頃がピークでその後減少し、閉経後の女性はホルモンの影響で急激に骨量が減少します。さらに加齢やカルシウムの不足などで代謝のバランスが崩れてしまうと、失われた骨量は十分に回復できません。

編集部編集部

更年期の女性は骨粗しょう症に気を付けた方がいいのですね。

安部直子さん安部さん

はい。閉経前後の10年が更年期にあたり、卵巣から分泌されるエストロゲンの影響で骨を壊す作業がより強くなります。また、女性だけでなく男性も加齢による骨粗しょう症に注意しましょう。男性ホルモンを材料にしてエストロゲンが作られますが、分泌量は少ないものの重要な働きをしています。ただし、閉経後の女性よりも男性のエストロゲン値は高く、急激なホルモン低下はありません。

編集部編集部

骨粗しょう症は、高齢者がなる病気だと思っていました。

安部直子さん安部さん

確かに、骨粗しょう症は骨折して初めて気がつくことが多いので高齢者の病気と思われますが、40~50代でも骨粗しょう症になります。原因は運動不足、飲酒喫煙、遺伝や薬の影響などさまざまです。偏食や極端なダイエットにより若い女性の骨粗しょう症も問題になっています。若い時に骨量を多くしておくことが大切ですが、更年期の女性が今からできるのは骨量を減らさない取り組みです。

骨粗しょう症を予防するための食事内容は?

骨粗しょう症を予防するための食事内容は?

編集部編集部

骨の健康のために必要な栄養素は何ですか?

安部直子さん安部さん

骨に必要な栄養素はカルシウムです。カルシウムは体内への吸収率が低いため、効率よく吸収して骨に定着するよう毎日続けて摂取しましょう。ただし、食事で耐容上限量を超えることは少ないですが、サプリメントによる過剰摂取は腎臓結石や心疾患のリスクが増大する可能性があると示されています。

参考: 厚生労働省, e-ヘルスネット「骨粗鬆症の予防のための食生活」

編集部編集部

カルシウムと聞くと牛乳が思いつきますが、苦手なのでほかの食材で補いたいです。なにかおすすめはありますか?

安部直子さん安部さん

カルシウムの吸収率が優れている牛乳が選択肢としておすすめですが、乳糖不耐症で飲むと下痢をする人もいるので無理をして飲む必要はありません。ヨーグルトやチーズなどの乳製品は手軽で食べやすく、小魚や海藻などもおすすめです。また、避けるべき栄養素もあり、インスタント食品やスナック菓子に含まれるリンはカルシウムの吸収を阻害するため注意しましょう。骨吸収を促進するビタミンDやカルシウムの骨への沈着を助けるビタミンKも一緒に摂取すると効果的です。

編集部編集部

ビタミンは健康に良さそうです。どんな食材に含まれますか?

安部直子さん安部さん

ビタミンDは、魚やきのこに多く含まれます。脂溶性で尿として排泄されにくいため、サプリメントによる過剰摂取には注意が必要です。ビタミンDの過剰摂取は食欲不振や便秘、心臓や腎臓に影響する可能性が指摘されています。また、ビタミンKが多く含まれている食品は緑黄色野菜、納豆などです。血液を固める作用があるので、血液凝固阻止剤のワルファリンを内服している患者さんは納豆を食べると体に影響します。健康にいいからといって食べ過ぎず、持病のある方は主治医に相談してください。

編集部編集部

毎日の食事も病気の予防につながるのですね。

安部直子さん安部さん

はい。また、骨の質を高めるコラーゲンの材料となるたんぱく質、カルシウムの量を調整するマグネシウムなども大切な栄養素です。大豆製品に含まれるイソフラボンは、女性ホルモンに似た働きをするといわれています。ぜひ、日々の食事に取り入れてみてください。

骨粗しょう症を予防する! 運動・睡眠などの生活習慣

骨粗しょう症を予防する! 運動・睡眠などの生活習慣

編集部編集部

骨粗しょう症を予防できる運動はありますか?

安部直子さん安部さん

物理的な刺激が加わると骨の強さが増すため、水泳や自転車よりウォーキングが効果的です。立ったままかかとを下す、片足で立つなどの運動は、何かにつかまるなど転倒に注意して行ってください。筋肉を動かすことで骨まで一緒に鍛えられる筋トレも有用です。

編集部編集部

日常生活で気を付けることはありますか?

安部直子さん安部さん

十分な睡眠をとることを心がけましょう。大人でも睡眠中に成長ホルモンは分泌され、骨や筋肉の成長、生命維持に大切な役割を果たすため、質の良い睡眠が必要です。また、日光浴をするとビタミンDが体内で合成され、骨の健康に役立ちます。そして、定期的な検査を受けて病気の早期発見や治療が大切です。

編集部編集部

骨の検査はどのようなものですか?

安部直子さん安部さん

外からは骨の状態がわからず自覚症状もないので、骨密度の検査を受けるとよいでしょう。40~70歳の5歳きざみで女性が受けられる骨粗しょう症検診があります。検診は各自治体によって異なり、男性が受けられる場合もあります。
主な検査の種類は以下のものです。
骨塩定量
DXA(デキサ):X線を用いて背骨、足の付け根、手首の骨などで測定する
MD(エムディー):X線を用いて手のひらを置いて測定する
超音波:超音波を使用するためX線被爆がない、かかとやすねの骨で測定する
血液や尿検査
骨の状態を調べる
腰や背中に痛みがある、曲がってきた、身長が低くなってきたなど症状があれば医療機関を受診しましょう。

編集部編集部

病気になるとどのような治療が行われますか?

安部直子さん安部さん

内服や注射などの薬物療法が主な方法で、ほかにも運動、食事療法が行われます。整形外科、内分泌や代謝に関わる内科、婦人科などで治療が行われます。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

安部直子さん安部さん

骨粗しょう症の予防対策は、更年期の今から取り組むことが大切です。毎日の生活習慣を見直して、健康に過ごすようにしましょう。

編集部まとめ

骨粗しょう症は骨がもろくなり、骨折のリスクがある病気です。ホルモンの影響を受ける更年期女性は骨量が急激に低下するため、骨量を減らさないことが大切になります。食事・運動・睡眠など生活習慣に注意して、定期的な検診も受けましょう。

この記事の監修看護師